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4「死の予感」

 ――私は何度も飛びかかってくるヴァルハを躱し、反撃として魔法を打ち込む。

 しかし、それも同じように躱され――未だ戦況は変化していなかった。

 

 「大将軍だっけ」

 「そうだ」

 「お前、強いじゃん」

 

 先ほどまで無表情だったはずのヴァルハが突然と笑みを浮かべた。

 その瞬間、私の全身に恐怖と快楽がよぎる。

  

 「うぅっ、ふぅ……」

 

 口元を押さえ、甘い声が漏れるのを阻止する。

 何だこの感覚は。

 

 「じゃあヴァルハ、ここは頼んだよ。お兄ちゃんは別の刺客の相手をしないといけないからな」

 「お兄ちゃんの仰せのままに」

 

 『お兄ちゃん』と呼ばれる少年は姿を消した。

 それを見届けたヴァルハはこちらを向き、瘴気を拳に宿らせて殴りかかってくる。

 

 あれを喰らえば、大変なことになる。

 

 「『魔殲球サジスト』――!!!」

 

 『魔殲球』を唱え、漆黒の球体がヴァルハを襲う。

 ヴァルハはそれを瘴気の煙幕で受け止め、跳躍してこちらへと飛びかかってくる。

 それを私は躱し、反撃として爪先に氷の刃を付けた蹴りを入れた。

 

 「――っ、痛い」

 

 ヴァルハは腹を負傷し、吹き飛ばされながらそう呟く。

 私はそれを追い、跳躍して彼の頭上から氷の刃の雨を降らせる。

 

 「ぐはっ」

 

 ヴァルハは全身に氷が突き刺さり、血と瘴気を噴きだす。

 私は続けて火炎を義手から放ち、彼を焼き焦がす。

 

 「まだ生きているのか」

 

 黒焦げとなり、横たわっているヴァルハに私は歩み寄る。

 彼は立ち上がろうとした。

 しかし、私は彼にかかる重力の負荷を倍増させる。

 

 「ぐはぁっ!!」

 

 ヴァルハはあまりの重力の負荷により、全身が圧迫される。

 ついには体が堪えられなくなり、全身の骨が潰れていく。

 

 「貴様は私を侮った。それが敗因だ」

 「まだ、負けてない……」

 

 ヴァルハは歯軋りをし、周囲に大量の瘴気人形を召喚した。

 

 「『炎倶裂怒エングレッド』」

 

 私は火炎の渦を出現させ、全ての瘴気人形を焼却した。

 しかし、ヴァルハにかかっていた重力が元に戻ってしまい――

 

 「女の快楽を知れ」

 「ぐっ……」

 

 ヴァルハは私を睨み付けてきては魔法を唱える。

 その途端、私の全身に謎の快楽が走り――、

 

 「これしきで屈するわけがない!!!」

 

 私は快楽に屈せずそう叫び、魔法陣を展開。

 

 「『雷戦曦叡縷ラゼギエル』!!!!」

 

 『雷戦霆獄ラゼゴ』よりも強大な電流が出現した。

 電流は凄まじい速度で地面を伝い、ヴァルハを襲う。

 

 「がああああああああああああっっっ!!!!!!!!」

 

 ヴァルハは眼球から血の涙を流し、全身に電流の痣を付ける。

 そして髪が抜け落ち、両目が地面へと零れ落ちた。

 肌が爛れ落ちてゆき、ついには骨を外界へと現す。

 

 「おに、いちゃん……」

 

 そう呟きながら、ヴァルハは地面を這い蹲る。

 

 「惨めだな……」

 

 私はヴァルハの頭を踏み付け、そして潰す。

 脳漿と血液が足元に飛び散った。

 

 「ウテナ達は大丈夫だろうか……」

 

 トウマ達の近くにはルリオーネがいるから大丈夫であろう。

 しかし、ウテナ、レイラ、ユダの三人はヴァルハを連れていたあの少年の仲間と太刀打ちできるのだろうか。

 

 「急がねば……」

 

 私が帽子を被り直し、駆けだした瞬間――

 

 「待てよ」

 

 足元を掴まれた。

 私は振り向き、その犯人を見て驚愕する。

 

 「まだ死んでない……」

 「貴様……」

 

 頭が潰され、全身も焼き焦げ――死したはずのヴァルハが、胸元に口を生やしてそう言った。

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $

 

 「――誰だ!!」

 

 レイラは危険を察知し、そう叫ぶ。

 隣を駆けていたユダとウテナが足を止め、周囲を見渡す。

 すると、路地裏の方から一人の少年が姿を現した。

 

 「ああ、君達か……」

 「何者だよ、おらぁ……!」

 

 ユダが大鎌の刃先を少年に向け、そう怒鳴る。

 すると、少年はニヤリと笑い――、

 

 「そう怒鳴るなよ。ボクは皆のお兄ちゃんなんだから」

 

 少年がそう口にした瞬間、ユダの左腕がしぼんだ。

 皮一枚になったのだ。

 

 「な、何だこれ……」

 

 使い物にならなくなった左腕を見て、ユダは目を見開いた。

 

 「危ない」

 「きゃっ!!」

 

 少年がレイラを凝視していたことに気が付いたウテナは、レイラを突き飛ばす。

 その瞬間、レイラが立っていた場所に生えていた雑草が枯れ、地面が旱魃にあったかのように罅を入れた。

 

 「おいおい、もう見抜かれちまったのかよ」

 

 少年の右頬から口が出現し、少年へそう言った。

 

 「黙れよ。ボクはまだ本気を出してないんだから……攻撃の仕様なんていくらでもある」

 

 一人で会話をする少年を見て、ユダが「きめぇ」と零す。

 

 「今、ボクをけなしたな?」

 

 凄まじい怒気を露わにした少年は、ユダを睨み付けた。

 その瞬間、ユダは見えざる衝撃により吹き飛ばされる。

 

 「がはぁっ!!」

 「ゆ、ユダっ!!!」

 

 レイラが彼の名を呼んだ。

 彼はかなり遠くまで吹き飛ばされてしまったようだ。

 

 「戦わないのかな……?」

 

 少年はウテナとレイラに歩み寄り、そして頬に生えた口で笑った。

 

 「二人はボクの好みだ。存分に可愛がってあげよう」

 

 その瞬間、ウテナがその場に倒れた。

 

 「ウテナっ!?」

 「二人目だな……ひひっ」

 

 少年は笑みを浮かべ、首元を掻き毟る。

 すると、そこから紫色の血が滴り――

 

 「半面吸血鬼の力も持ってるっていいね」

 「ああっ!!」

 

 レイラは飛んできた血の刃により、心臓を突き刺される。

 血が胸から滔々と垂れ、レイラは苦しげに呼吸をする。

 

 「確かこの子はウテナとか言ってたっけ」「言ってたよなぁ!!!」

 

 少年は両方の口を愉快さに歪め、ウテナを謎の力で眼前へと浮遊させて運んでいく。

 

 「ウテナに触るなっ!!!」

 「うるさいはえだ」

 

 少年へ氷の刃を放ったレイラ。

 しかし、少年はウテナを自身の盾として攻撃を防いだ。

 レイラはその光景に、自分がウテナを攻撃してしまったのだと絶望する。

 

 「ごめん、ウテナ――アタシ、また……」

 「ふざっけんじゃねぇええええ!!!!!」

 

 その瞬間、少年の首を大鎌が切断した。

 

 「ウテナっ!! くそっ……気を失ってやがる」

 「よくも……」

 

 首を斬り落とされた少年が口を開く。

 

 「よくもボクを攻撃したなっっ!!!!!」

 

 その瞬間、ユダは謎の力によって空中へと吹き飛ばされた。

 

 「ユダっ!!」

 

 レイラは叫ぶ。

 しかし、次の瞬間にユダは地面へと勢いよく叩きつけられた。

 

 「がはあああっ!!!!」

 

 苦悶を漏らすユダ。

 しかし、もう一度上空へと吹き飛ばされ――また地面へと叩きつけられる。

 

 「よくもユダとウテナを!!! 『殲氷地凍センヒテッド』!!!!」

 

 地面が凍ってゆき、少年の骸を襲う。

 しかし、

 

 「本当に嫌なことをしてくれるね……レイラは」

 「――っ!?」

 

 レイラは背後にいた少年により、腹部を貫かれる。

 そのまま体内を掻き乱され――耐え難い痛みに涙が溢れる。

 

 「子宮でも潰してやろうか? それとも卵巣か? はらわたか? どれがいい?」

 「やめっ――」

 「無駄さ。ユダって男は連続と地面に叩きつけられてるし――ウテナはボクが洗脳した」

 

 少年はレイラの耳元へ口を寄せ、

 

 「――君を助けてくれる人なんざ誰もいないのさ」

 「そん、なっ――」

 

 その瞬間、下腹部の方へと激痛が走る。

 

 「ああああああああっっっ!!!!!!!!」

 「どうだ、さっきいった全部の器官を潰してやったのさ。痛いだろ? でもどうせレイラは妖魔だ。再生ぐらい簡単にできるだろ?」

 

 鈍痛に思考が襲撃され、恐怖と絶望が心中を支配する。

 レイラはそんな最中――、

 

 「『殲氷地凍』!!!」

 「なに――っ!?」

 

 永久に溶けることのない氷を、少年に浴びせた。

 少年はそのまま凍ってしまった。

 

 「うぐっ!!! 痛い……!」 

 

 下腹部を押さえながら、レイラは蹲る。

 

 「ごめん、リキア――」

 

 レイラは脳内に『白銀の豺虎』のリーダーであるリキアを思い浮かべ、気を失った。

どうも、焼き鮭です。今回は結構グロいですね。

もし

「面白い!!」「待って、全員やばくね!?」「自分もリキアに電流であぶられたい」

と思った方はブックマーク、そして↓の☆から評価をしていただけると励みになります!!

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