5「絶望と希望」
「械瑩術式『業火絢爛』!!」
龍の形をした炎の塊が、男を襲う。
「『血楔』」
エルヴィットは自身の腕を噛み、そこから溢れた血を硬化させて男に放つ。
しかし、男は炎の龍も、血の楔も全て躱していた。
「瘴拳殺――弐式『鏖怒殺囓』」
男は両腕に瘴気を纏わせ、ザギンクを連続で殴りつける。
ザギンクは機械の両腕でそれを防ぐも、勢いを殺せずに吹き飛ばされてしまった。
「くっ……手強いですね」
「では私が行きます」
槍を構えたリンネは、目にも留まらぬ速度で男の腹を貫いた。
「ごほぉっ!!」
「まだです」
リンネは槍を持ったまま体の向きを変え――男の上半身を真っ二つに引き裂いた。
「貴様の動きは精練されている――だがまだまだだな」
「しまっ――」
男は引き裂かれたまま喋り、そして拳をリンネへと振りかざした。
「リンネさんっ!!!」
ザギンクはリンネを救出しに走る。
しかし、
「遅いんだよ」
「――っ!」
リンネは頭を砕かれ、そのままギルドの壁へと吹き飛んでいった。
「お前、よくもっ……!!!」
「待つのじゃ、ザギンク!!」
苛立ちを口にしたザギンクは、冷静さを欠いていた。
エルヴィットの制止を聞き入れず、そのまま引き裂かれた男へと飛びかかっていく。
「どうやら、貴様もあの女と同じ場所に行きてぇようだなぁっっ!!!」
「ぐはぁっっ!!!」
ザギンクは腹を砕かれ、続けて蹴りを喰らい――右腕を砕かれる。
男の勢いのあまり、ザギンクも同様リンネの近くの壁へと衝突した。
「ザギンクっ!! よくも余の仲間を二人も!」
「ああ痛かった痛かった」
男は体を瘴気に包んだかと思えば、引き裂かれた体を元に戻していた。
「なんじゃと……」
それを目にしたエルヴィットは驚愕を口にする。
「俺は体が病原菌でできてんだ。菌の再生力をなめんなよ?」
「『血粉爆破』!!」
エルヴィットはもう一度自分の腕を噛み、そこから溢れた血を硬化させて男の方へと飛ばした。
男は拳でそれらを砕こうとしたが――
「なにっ!?」
その寸前、それぞれの血の塊が爆発した。
男は両腕を欠落し、血の代わりに溢れる瘴気を地面へと垂らす。
「――どうやら貴様は、俺を本気で怒らせたようだな」
両腕をくっつけた男はエルヴィットを睨み付けた。
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「――はあっ!!」
「満身創痍のくせにやるじゃん」
女の周りにいる瘴気の人形を、トウマは斬り裂いていく。
「少年ばかりではない……私も戦わせてもらおう」
「アンタの相手は直接私がしてやるわ」
女はルリオーネを見て哄笑し、そう口にした。
「聖邪剣ヴェラドロジーク、醜悪を狩れ」
「やれるもんならやってみなさいよ!!」
ルリオーネは剣を構えたまま目を瞑り、そこに女が瘴気の煙を飛ばす。
しかし、次の瞬間――
「う、嘘っ!?」
女の撒いた煙が切断され、その向こう側からルリオーネが現れた。
その速度のあまり、女は反応が遅れて何もすることができなかった。
「ぎゃああああああっっっ!!!!!!!!」
「終焉だ」
女は全身をばらばらに切断され、屋敷の床へとぼとぼとと肉塊を落とす。
「元はと言えば、私は聖騎士――悪なる者を狩るなど、容易いことだ」
すると、トウマは自身の全身が軽くなったことに気が付いた。
「斑点がなくなった……!」
それに続け、瘴気の人形も消滅した。
つまり、あの女を倒したというわけだ。
「少年、怪我はないか?」
「大丈夫だ」
「それならよかった」
そう言うと、ルリオーネは柔く微笑んだ。
そして剣を仕舞い、「さて」と口にする。
「この屋敷からどうやって脱出しようか」
あの女のせいで見知らぬ屋敷へと飛ばされてしまった二人は、屋敷の中を歩いていった。
どうも、焼き鮭です。今回はリンネが死亡してしまいましたね。
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「面白い!!」「戦況が良いのか悪いのか分からん」「自分もルリオーネに斬られたい」
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