プロローグ「病魔と新将軍」
「――病原菌の育成はどうだ、ハスク」
「兄ちゃん、それなら心配要らねえよ」
ハスクと言われた蒼白の肌をした男は、眼前に積もる灰のような生物に瘴気を浴びせる。
すると、生物は瘴気を浴びせられると同時に共鳴するかのごとく謎の粉をばら撒いた。
「ネクト、カンナの調子はどうだ?」
「大丈夫わよ……時々動いてるし」
肉塊の塊を目に、ネクトと呼ばれた蒼白の肌をした女はそう言った。
「ヴァルハ、ヘルディア市街の若い女達を犯し尽くしたら――次に帝国中枢の都市である、エルヴェル大都市へと行こうじゃないか」
「お兄ちゃんの仰せのままに」
ヴァルハと呼ばれた顔立ちの整った青年は、そう言って足元に倒れる裸の女へ目をやる。
「――刺客が来たみたいだ」
ヴァルハ、ハスク、ネクト、カンナの兄である少年はぎろりと血走った目で天井を見上げた。
見れば、そこに二人の男女がいるではないか。
「お前ら――帝国の暗殺部隊だな」
「そうだっ!! 悪党は今ここで我々帝国暗殺隊が裁く!!」
「暗殺にも何にもなってないじゃないか。理想をそうやって吐き散らすな――甚だ鬱陶しい」
言いながら、少年は自身の両目に魔法をかける。
そして男を睨み付け、男の体を皮一枚にした。
「ひっ――」
隣にいた女が腰を抜かしてそのままこちらへと落下してくる。
すると、その女をヴァルハが受け止め――
「獲物が傷ついては困る……」
「あ、あぁ……」
無表情のヴァルハを見て、女は酷く怯えた様子だった。
少年はそれに溜め息を吐く。
「お兄ちゃん、ヴァルハが好みの女じゃなかったらすぐにずたずたに引き裂いて殺してやるところだったよ」
「ひゃあ、お兄ちゃん。そんな怖いこと言わないで上げてよ――あの人、何か泣いてるわよ?」
ネクトの言葉に、少年は笑みを浮かべる。
「ヴァルハ、好きに犯せ」
「お兄ちゃんの仰せのままに」
「や、やめ――っ、ああっ!!!!」
早速嬌声を上げだす女を後ろに、少年は肉塊の方へと歩んでいった。
「――カンナ、あの女が壊れるまでご飯は与えられないからな」
「――」
少年は一度、ヴァルハに犯されている女の方を振り返った。
惨めに体を弄ばれ、だらしなく嬌声を上げる女。
彼女がもうヴァルハにとって必要のない、壊れた玩具になればすぐさまカンナの餌とする。
そんな意味を孕んだ台詞を吐きながら、少年は酷く歪んだ笑みを浮かべた。
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「ここは本当に静かだな」
「そうですね。ルリオーネ様」
長い金髪を風に靡かせながら、一人の女は呟く。
その呟きを聞き逃さなかった水色の髪をした少女が、女にそう返す。
「辺りを見渡そうが……死体が転がっているだけだしな」
「ヘルディア市街は病魔にと聞きましたが、まさかこれほどの惨状だとは思ってもいませんでした」
「帝国の将軍である私が病魔を剿滅しなければ」
女は長い金髪を後ろに留め、帽子を被る。
「リンネ、ヴェラドロジークを」
「了解しました……これを」
「助かった」
少女から一つの邪聖剣を受けとり、女は刀身ごしに自分の顔を見る。
「ん……前髪が少し乱れてるな」
女は急いで手鏡を取り出し、帽子を外して前髪を正す。
そして咳払いをし、帽子を再び被る。
「こほん! さて、病魔を狩りに行くぞ!」
「はい!!」
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「――ルリオーネ将軍が何故ここにいるのだろうか」
私は双眼鏡で金髪の女を見つけ、そう零す。
彼女は確か魔界へ侵攻していたのではなかったのだろうか。
「ルリオーネ将軍?」
「誰じゃそんな気取った名の者は」
トウマとエルヴィットが矢継ぎ早にそう尋ねてきた。
「十六の歳で将軍の座に就いた女だ。いずれ大将軍にもなるかもしれない」
将軍とは、大将軍の一つ下の帝国軍の座だ。
「さておき。我々『白銀の豺虎』で病魔を殲滅するぞ!!」
私はそう宣言し、『白銀の豺虎』メンバーと共にヘルディア市街を駆けていった。
どうも、焼き鮭です。ついに第2章が始まりました。
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