19「こんなのは求めてないのじゃっ!!」
「――起きろ」
「むにゃ……ふがっ!? ま、またこの展開っ!!??」
余は耳元で声がし、すぐさま飛び起きる。
やはり隣にはリキアがいた。
彼女は凄まじい美貌を、妖艶な赤で灯し――余を見つめてくる。
「夜食の支度ができたぞ……ほら、ここにある」
「変なものとか入ってないじゃろうな……」
「何を言う。私は無理矢理にするのは基本的にはしないから安心しろ」
「何か余計に怖いんじゃが……」
余はともあれ、スープを啜った。
うむ、人間の血液には勝らんが美味じゃ。
「味はどうだ? 私が作ったのだぞ」
「悪くないぞ……」
「そう言ってもらえて嬉しいな」
「いや、本当に怖いのじゃが!!」
口調が変わるリキアにそう叫びながら、余は溜め息を吐いた。
「余は途中で気を失ったのじゃが……あのマキナとか言う少女と死神はどうなったのじゃ? 其方が余を助けに来たとか聞いたのでな」
「マキナって、あの魔族の少女か。死神はあの仮面を被った男だとすれば……あの二人はどこかへと消えていったぞ」
「どうやらマキナは死神を追っていたようじゃな……余が殺されなくて本当によかったのじゃ」
「本当によかったな」
「だ、だからさっきから何か変だぞ!!!」
「ん、何がだ……?」
リキアがそう言いながら、余に顔を近付けてくる。
すると、余の顔が段々と熱くなってきて――、
「い、いい加減離れてほしいのじゃっ!!!」
「ちょっ、乱暴はよせ……」
「してないのじゃっ!!」
色っぽい声を上げるリキアに叫び返し、余はベッドから降りる。
そして皆がいるであろう大広間へと走っていった。
「あの女に揶揄われるのはもう散々じゃ!! 余は必ず――ぶふぁっ!?」
余は柔らかい感触のする者にぶつかり、目を見開く。
見上げれば、そこには見知らぬ女の顔があった。
「お、お前は誰じゃっ! 侵入者かっ!!」
「違う違う!! 私はソフィアっていうリキアちゃんの友達よ……!!」
「エルヴィットさん、落ち着いてください。この方は敵ではありませんので」
「お前も誰じゃっ!!」
余は見知らぬ青年とソフィアとか言う胸の大きな女を交互に見渡し、戦闘態勢に入る。
すると、余の肩に誰かが触れた。
「エルヴィット……この二人は敵じゃない。あの青年の方はザギンクと言う新メンバーだ」
「ふ、ふわぁっ!?」
余は耳元で囁かれ、こそばゆい感覚のせいで変な声を出してしまった。
「可愛い反応をしてくれるじゃないか……もっとしたくなるだろ?」
「遠慮してくれ。余は其方と戯れるため、ここにいるわけではないのじゃぞ?」
「それはすまない……」
そう、肩に触れて余の耳元に囁いてきたのはリキアだった。
すると、ソフィアがリキアと余のやり取りを見て吹き出した。
「ぷっ、リキアちゃんってばその子のこと気に入ってるみたいだね」
「お前にだけは見られたくなかった」
「あはは、そう落ち込むなっての」
「う、うるさいっ!!」
珍しくリキアが赤面するのを目に、余は驚愕した。
リキアはこう言う一面もあるのじゃな……。
余は何だか新鮮な気持ちになり、にへっと顔が蕩けてしまった。
「エルヴィットさんもリキア様のことを気に入ってるみたいですね」
「んなわけあるかっ!!!」
ザギンクの言葉に余は叫び返し、そっぽを向いた。
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「――む、あの女私のことを口外しましたね」
「ふははっ、そうみたいだな」
「殺しに行きますっ!!」
黒髪の少女――マキナはそう言いながら魔法陣を展開する。
しかし、それを一人の男が呼び止める。
「別に殺さなくてもいいんじゃないか?」
「ですが……」
「たかが人間だ。マキナの情報が少し漏れたところで特に何もしてこないだろう――口外した者の思考によって異なるが」
「確かにそうですね……ガレア様がそういうなら殺しに行くのはやめておきます」
すると、男――いや、魔王ガレアは不敵に笑った。
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「魔王が出てきてるけどやばくねっ!?」「自分もリキアに囁かれて変な声を出したい」
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