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18「ウテナとの密会」

 「トウマ君……」

 「ウテナ……!! 良かった」

 

 僕は目を覚ましたウテナを見て、心の底から安堵した。

 すると、隣からレイラが、

 

 「トウマ君、ウテナが眠ってたからずっと心配してたんだよ?」

 「ちょっ、それは……恥ずかしいのでイワナイデクダサイ」

 

 後半が棒読みになってしまったがそれはどうでもいい。

 僕はウテナの顔を見つめ、微笑んだ。

 

 「ウテナ、怪我は大丈夫か?」

 「うん……もう少ししたらまた戦えるよ」

 「でも無茶はするなよ……?」

 

 起き上がったウテナは、ベッドから降りる。

 しかし降りた瞬間に眩暈を覚えたのか、壁に凭れた。

 僕はウテナに手を差し出して「本当に大丈夫か……?」と声をかける。

 

 「妖魔だから体の傷は治りやすい。でも――今日はちょっときついかも」

 「海賊との戦いで魔力を消費しすぎたんだよ。やっぱり寝てた方がいいとアタシは思うけどね」

 

 レイラがウテナをベッドへとやり、不安げな表情をする。

 僕はウテナの蒼白な顔を見つめ、

 

 「夜ごはんができたら、またここに来るからな……今はゆっくり休んでて」

 「うん……ありがと、トウマ君」

 

 レイラと共に部屋を出た。

 

 「ウテナ、大丈夫かな」

 「双子のアタシが大丈夫だから、きっと大丈夫だよ!」

 

 レイラは僕に満面の笑みでそう言うと、リキア達がいるであろう食堂へと走っていった。

 僕は一人、ウテナのいる部屋のドアに寄りかかり、唇を噛み締める。

 

 「ウテナ……」 

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $

 

 「夜ごはんできたから入るよ」

 『いいよ』

 

 ウテナの反応を聞き、僕はドアを開ける。

 その先にいたウテナに、僕は微笑む。 

 

 「自分で食べれるか?」

 「ちょっときついかも」

 

 ウテナは包帯が巻かれた両腕を僕に見せ、苦笑いしてはそう言った。

 それを見た僕はおぼんを持ってベッドへと近付き、

 

 「口開いてくれるか」

 「あーん」

 

 スプーンを使ってウテナの口の中へとスープを運んだ。

 

 「んっ……美味しい」

 「今日はリキアが作ったみたいだよ……僕も食べたけど、リキアの料理って本当に美味しいよね」

 「そうだね……でも、トウマ君が私に食べさせてくれたから美味しかったのかもしれないよ」

 

 ウテナは頬を赤くしてそう言い、おぼんの上に乗るスープへと目をやる。

 僕は何だか気まずくなり、ウテナのことを直視できなかった。

 

 だが、気まずさなどではない心地の良い感情が、心の中に広がっていた。

 

 「う、ウテナ……もう一口」

 「ふふっ、あーん――やっぱり美味しいね」

 「そ、そうだね……」

 

 すると、ウテナが苦しげに悶え出した。

 

 「ウテナっ!!!」

 「げほっげほっ! だい、じょうぶだから……」

 

 ウテナは咳き込み、僕を見て笑った。

 見れば、彼女の掌には血が付いており、僕はおぼんに乗っていた布巾で血を拭ってやる。

 

 「もう食べるのはやめておいた方がよさそうだね……」

 「待って」

 「でも……」

 「お願い……食べたいよ」

 

 ウテナは涙目で僕に言った。

 本当はやめさせるべきなのだろうか。僕は分からず、そのままスプーンでもう一口スープをやる。

 

 「おかゆとか作ってこようか?」

 「いや……そこまでしなくていいよ」

 「そうか……」

 

 僕はもう一口スープを食べさせ、苦笑し続ける彼女を見つめる。

 

 「そういえば、ウテナってよく喋るようになったよね」

 「そうかな……何でだろう」

 

 ついこないだまで、ウテナはレイラ以外、あまり会話をしていなかった(話しかけても少し返事してくれるぐらいだった)。

 

 何だかそれを思い出した僕は、自分がウテナと打ち解けたのだと思い、嬉しくなった。

 

 すると、ウテナが僕の手を握ってきた。

 思わず、僕は顔が熱くなる。

 

 「えっ、その、これは……」

 「トウマ君の手を握ると、何だか落ち着くな……」

 

 そう言い、ウテナは頬へと僕の手をくっつける。

 

 「私の口数が多くなったのも……こうやって手を握ってるのも全部、トウマ君のせいだからね」

 「それって悪い意味でナノデショウカ」

 「ふふっ、また棒読みになってる」

 

 ウテナの指摘に、僕は更に自分の顔が熱くなることに気が付いた。 

 

 何だろうこの感じ。

 ウテナといると、心地良い気がする。誰といるよりも、ウテナといた方が楽しいような……。

 

 「トウマの兄ちゃんと黒髪の嬢ちゃん、大将軍様から――って」

 

 ドアを豪快に開けてユダが入ってきたと思えば、彼は何故か硬直していた。

 僕はその原因がウテナと手を繋いでいることだと気付き、

 

 「えっ、あの、これは……!! 違うんだ!!」

 「お取込み中悪かったな」

 

 ユダは静かにドアを閉め、どこかへと行ってしまった。

 僕は重要であろう情報を聞き逃してしまったことにガクリと肩を落とした。

 

 「ふふっ、あの人のところへ行ってきていいよ……私のことはいいから」

 「いやっ! でもそれじゃあ……」

 「気にしないで」

 

 ウテナに笑顔でそう言われ、僕は複雑な感情になる。

 

 だが、本人がそう言っているのだ。明日のためにも、ユダからの情報は得たいところだ。

 

 「ごめんな、ウテナ……また後で来るね」

 「ん……待ってるよ」

 

 そう言って僕はウテナのいる部屋から出た。

 すると、何だか寂しくなったような気がし――僕は自分に向けて溜め息を吐いた。

 

 「全く……僕ってこんな女々しかったっけ」

 

 そう自嘲しながら、僕はユダを追いかけた。

どうも、焼き鮭です。

もし

「面白い!!」「トウマとウテナの関係やばくね!!!」「自分もリキアのスープが飲みたい」

と思った方はブックマーク、そして評価をしていただけると幸いです。

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