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<EP_008> 繋がった番号

「もしもし、上村学園でしょうか。私、JFLのジャガーズ早島でGMをやっております迫水と申します。お聞きしたいことがあるのですが」

迫水の電話に応対した職員は、サッカー部の担当職員へと繋いでくれた。

この対応の速さは、JFLチームのGMという肩書の効力だろう。

「お電話変わりました。サッカー部担当の水城と申します」

「私、ジャガーズ早島GMの迫水と申します。不躾ながらお伺いしますが、昨日、そちらを辞められた平瀬隆造監督の連絡先を知りたいのですが、教えていただけますでしょうか」

代わった担当職員へ単刀直入に尋ねる。

「え?いや、既に当校を去られた方ですので、そういうことは個人情報ですのでお教えできません」

「ならば、そちらからお電話して折り返していただくことはできませんでしょうか。こちらの電話番号をお教えしますので」

「いえ、そういった用件はお引き受けしかねます」

「わかりました。失礼いたしました。今後、選手獲得にお伺いするかもしれませんので、その時はよろしくお願いいたします」

木で鼻をくくったような対応に憤慨しながらも、丁寧に電話を切る。

高校生のリクルート用に高校サッカーに詳しい人物がジャガーズの人脈にいるはずだと思い、机のファイルを探し始めた。

すぐにファイルは見つかり、探していくと木根という人物に行き当たった。

早速電話を掛けてみることにした。


いつの間にか事務所に来ていた青木が京子と話をしており、迫水へ血相を変えて近づいてきた。

話しかけようとする青木を手で制したところで木根が電話に出た。

「お疲れ様です。木根様のお電話でしょうか?私、ジャガーズGMになった迫水と申します。今、お時間よろしいでしょうか」

「え、ええ。なんでしょう?」

急な電話に沈黙を挟まれたが、すぐに反応が返ってきた。

「先日、上村学園を退任なさった平瀬監督の連絡先を知りたいのですが」

「え?平瀬監督のですか?」

「はい」

「知ってはいますけど……」

「是非、教えてください」

言い淀む木根に迫水は言葉を被せる。

「いいですよ……」

しばしの沈黙を挟み、木根の言う電話番号をメモしていく。

「ありがとうございます。……あの、この番号に直接電話しても良いのでしょうか?」

「サッカーに関することでしたら大丈夫だと思いますよ。そういう人ですので。ただ、気難しい方ですから……」

「わかりました。急なお電話失礼しました。では、失礼します」

そう言ってスマホを切ると、デスクの前に仁王立ちになっていた青木へと向き直った。


「どうした、青木?」

青木はデスクの前で腕を組んで見下ろしていた。

「GM、平瀬監督を招聘しようっていう話は本当ですか?」

「本当だが、反対か?」

「大反対です」

青木はデスクに両手を叩きつけながら前のめりになる。

デスクが悲鳴を上げた。

「何故だ?」

胸ぐらを掴まんばかりの青木を軽くいなしながら、椅子の背もたれを軋ませつつ迫水は腹の前で指を組んだ。

「何故って、あんなのを呼んだらチームが壊れます。それに、JFLは子どもたちに夢を与える場所です。勝利を目的とした場所じゃないんです」

余裕そうな態度を崩さない迫水に苛立った様子で、青木は鼻息も荒く、言ってきた。

「夢……か……」

迫水は一度天井を仰ぎ、軽く瞑目すると、すぐに目を開け軽く前のめりになって青木と向き直った。


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