<EP_062> 早島の祝祭
「♪SB ジャガーズ 大健闘♪こんにちは、早島の誇り、SBジャガーズ早島で〜す。♪SB ジャガーズ 大勝利♪本日は、SBジャガーズ早島、ファン感謝デーにお越しくださいまして、誠にありがとうございます。♪SB ジャガーズ 大健闘♪この催しは早島商工会議所の全面的なご協力によって行われております。♪SB ジャガーズ 大勝利♪皆様のご尽力で、来季はJ3という新しい舞台に立つことができました。その感謝も込めまして、皆様、ご存分にお楽しみください……」
沢田を見送った数日後、ジャガーズ練習場で、優勝パレードとSBジャガーズ早島のお披露目を兼ねたファン感謝デーが開催された。
「まったく、よくやるよ」
大勢のサポーターで賑わう練習場を見ていた迫水に、ジャガーズロールを食べながら平瀬が声をかけてくる。
「ファンの皆様あってこそのジャガーズですからね」
「よく言うぜ。このイベントだって、ジャガーズからの持ち出しはほぼゼロなんだろ?」
「ええ。早島商工会議所の全面バックアップあってのイベントですから」
「えげつねぇなぁ……」
晴れやかに言う迫水に平瀬が笑いながら眉をひそめた。
「それはそうと、先輩。監督、続投、ありがとうございます」
「ふん、JFL優勝でオファーがじゃんじゃん入ってくるかと思ったけど、無ぇからよ。もう一年は付き合ってやるよ」
迫水から顔を逸らして、平瀬はぶっきらぼうに言った。
選手による親子サッカー教室や、ミニゲームなどのイベントが行われながら、ファン感謝デーは過ぎていく。
最後に、今季限りで引退を表明した窪田の引退セレモニーが開催された。
「今季限りで引退をすることに決めました。最後に、早島に来れて最高でした。私にとって、ジャガーズ早島は最後のチームとなりましたが、最高のチームだったと思います。ジャガーズに来れて本当に良かった。早島の皆様と出会えて本当に良かったと思っています。早島に誘ってくれた、GM、平瀬監督には感謝しかありません。これまで、私を応援してくださいまして、ありがとうございました。来季から、ジャガーズ早島はSBジャガーズ早島に変わりますが、ジャガーズの魂は受け継いでいます。どうか、来季も変わらずにジャガーズを応援してください」
窪田の言葉に会場からは大歓声が上がり、自然と窪田コールが湧き上がった。
「窪田選手、ありがとうございました。続いて、同じく、今季でチームを去ることになった沢田亮介選手からビデオレターが届いております」
司会役の京子の声に、設置されたモニターには沢田の顔が映った。
「みなさま、こんにちは沢田亮介です。ファン感謝デー、楽しんでいらっしゃいますか?私は、今フランスのグルノーブルに来ています。来季からは、ここグルノーブルでプレーをさせていただくこととなりました。私のサッカー選手の最初は別チームでしたが、私のプロサッカー選手の原点は間違いなく早島です。早島に来て、初めてプロサッカー選手になれた気がしています。それは、皆様の応援があってこそでした。私にとって、ジャガーズ早島で戦えたことは誇りです。早島の想いを背負ってフランスで戦っていこうと思います。本当に、ありがとうございました。これからも、ジャガーズを応援してください。本日はありがとうございました」
沢田の言葉にも会場からは大歓声とともに沢田コールが湧き上がる。
「♪サーワダ サワダ 大健闘♪ ♪クーボタ クボタ 大勝利♪」
悪趣味な音楽に載せて、沢田と窪田を讃える応援歌が早島の空へと消えていった。




