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<EP_042> 早島の怪鳥

「♪ジャガーズ ジャガーズ 大健闘♪こんにちは、早島の誇り、ジャガーズ早島で〜す。♪ジャガーズ ジャガーズ 大勝利♪本日は、JFL第一三節、ジャガーズ早島対ミネベアミツFCに来場くださりまして、まことにありがとうございます。♪ジャガーズ ジャガーズ 大健闘♪ジャガーズは二戦ほど勝利から遠ざかっております。♪ジャガーズ ジャガーズ 大勝利♪皆様の熱い応援で、ぜひ私たちジャガーズに勝利をお願いいたします……」


いつもの合成音声が早島運動場に響き渡る。

続々とジャガーズサポーターが集まり、スタジアムがレモンイエローに染まっていく。


「鷹野ちゃ〜ん、工藤ちゃ〜ん!頑張ってね〜」

ベンチスタートとなった鷹野と工藤がアップをしていると、ゴール裏のスタンドから女将さんの声が聞こえてくる。

二人は女将さんへ拳を突き出して応え、お互いの拳を合わせた。


試合は前半終了間際に一点を取られ苦しい展開となる。

ミネベアベミツは猿島と沢田の速攻を警戒し、全体的に引いて守りを固めており、ジャガーズも攻め手を欠き。試合時間だけが刻々と過ぎていった。


「工藤、鷹野、準備しておけ」

ベンチで平瀬に言われ、二人はアップをしていく。

しかし、選手交代はなかなか行われない。

後半残り十分となったところで、ジャガーズボールで左サイドからのコーナーキック。

選手交代が告げられ、MFとDFの代わりに二人が投入された。


「おい、お前ら、わかってるよな」

平瀬はピッチへと向かう二人の肩を抱き寄せ、ニヤリと笑う。

「はいっ!」

「よーし、行ってこい。お前らの持ち味を見せてやれ!」

平瀬は二人の背中を思い切り叩くとピッチ上へと送り出した。


コーナーキックを蹴るのは沢田。

鷹野はサイド付近の少し離れた場所、工藤はニアポストの少し離れた場所にそれぞれ陣取る。

ゴール中央には窪田と青木がいた。

相手DFは中央の長身の二人と、ファーポストの猿島の飛び込みに警戒する。

沢田は、投入された二人の配置を見ると、強く頷く。

笛が鳴らされ、沢田が手を上げると試合が再開された。


沢田は鷹野へのショートパスを出して、自らは中央へと突進する。

ニアポストを守っていた相手選手が沢田を止めようと動いた時だった。

鷹野は中央へハイボールのクロスを上げた。

当然、中央にいる青木と窪田を跳ばせまいと相手DFが競りかけていく。

その瞬間、誰にも競りかけられていない工藤の長身が空高く舞った

長い滞空時間と、高すぎる打点、そしてノーマークの工藤が叩きつけたボールはミネベアミツゴールへと吸い込まれていった。


ジャガーズサポーターの大歓声が上がり、工藤は鷹野へ駆け寄ると抱き合う。

二人でスタンドを見ると、女将と目が合う。

女将が二人へサムズアップした腕を突き出すと、肩を抱き合いながら同じように応えていく。

そんな二人の同点ゴールをチームメイトが揉みくちゃにしていった。


試合は引き分けで終了し、ジャガーズは三戦連続での勝利なしという結果になったものの、それ以上に、これからのリーグを戦い抜くための新しい武器が備わった試合であった。

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