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チートヒーラーの僕、救った相手に惚れられてしまう件〜転移前から相思相愛の氷魔法使いと、ハーレムパーティーで魔石の陰謀を追う〜  作者: 黒倉ばくら
第一章 異世界と死体漁りの少女

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第8話 性能実験、という名のデート

「よく来たなウジ虫!ここは地獄の訓練所だァ!!」

「よく来たな、って……リィの家から一緒に歩いてきたじゃないですか。それにここ、魔術学院だし」

「ドクサレ脳みそのタンカスが!お前に許された言葉は「イエッサー」と「ノーサー」だけだ!」

「イエッサー!」

「では今日の予定を説明するぞ。ぺプシ君の魔法を丸裸にするため、効能、精度、消耗についての三つの実験を考えてきた。説明はめんどくさいから省くが重要なことを伝えておくと、今日君は倒れるまで魔法を使い、回復するまでふかふかのベッドの上で私の手厚い看護を受けることになる」

「ノーサー!」

「なに言ってるんだ君は。ふざけているのか?」

「倒れるのが前提なんておかしいっす!それになんか、よこしまなものを感じるっす!」

「ふうん……じゃあ君、自分の限界を知らないままあの野蛮人とダンジョンへ行きたまえよ。肝心な時に魔力切れになり、回復できないまま魔物の慰み者にされる彼女を見てから後悔しても遅いと思うがね」

「むむ……それは絶対嫌っすね」

「だろう?安全な状況で一度魔力切れを経験しておくことは、戦闘の指針を立てる際や、撤退の判断をする時に必ず役立つ」

「分かりました。やってやるっす!」

「よし、その意気だ。もっとも、耐久実験は最後だ。君が倒れてからでは、魔法を調べるもなにもないからな。まずは君の魔法の効能を明らかにしていこう。付いてきたまえ」

先輩は自信に満ちた足取りで廊下を歩いていく。僕はすれ違う教授や学生たちの視線を気にしながら、こそこそ後をついていった。

「ここだ」

先輩が開いた扉は、薬品臭い小部屋に繋がっていた。部屋の中央に据え付けてある黒いテーブルにはえぐい形をした器具かいくつかと、怪しげな薬品たちが並べられている。

「フレッシュスライムを使え、と言っていたな。……これか。よっ、と」

「わ。なんすかこのきしょい物体は」

「フレッシュスライムと呼ばれる魔法生物だ。意思を持たない低級な生命だが、組成は人体の肉体とごく近いそうだ。今日はこれに様々な外傷や毒薬を与えてみて、君が治せるかどうか試してもらう」

「そっか、本物の人間で試すわけにもいかないっすもんね」

「ではさっそく、この糸鋸で……ギコギコはしません。一度刃が入ってしまったら、スーーーーーーーーーッと降りっていってくれる」

「うっ、血が出てる……結構グロいっすね」

「さあ、この傷を治してみてくれ」

・・・・・・

「ほう、これも解毒できるのか。大したものだ」

「はぁ、はあ……なんかこれだけめっちゃ疲れた。なんだったんすかそれ?かけたとたん、スライムがドロドロになってましたけど」

「シニリティバードの老化毒だ。……いや、君の魔法は素晴らしい。あらゆる物理的な外傷を治療し、毒を無力化することができるようだ。……もっとも、毒の方は薬品庫から適当にくすねてきたものだから、君の魔術が万能だと結論付けるにはサンプル数が不足しているが」

「特別な毒とかは治せないかもってことですか?」

「ああ。とはいえ、ダンジョンの魔物と戦う分には困らないだろう。明確に治癒の奇跡あるいは魔法を対策して調合した毒……つまり、君を殺すために作られた毒でもなければ大丈夫だ」

「……………」

「どうした、ペプシ君。じっとこっちを見て。私はそんなもの作らないぞ」

「目の下、くまができてますよ。ちゃんと寝てます?」

「……昨日うっきうきで準備をしていたら、知らんうちに空が明るくなっていた」

「えい」

「……っ!?」

僕が先輩の顔にヒールを放つと、先輩は大きく目を見開いてそれをよけようとした。しかしよけきれず、魔法が命中する。

「くま、なくなりました。いやあ、綺麗な顔ですねえ」

「なんだ、治癒魔法か……」

「あ、急に魔法かけられたら怖いっすよね。ごめんなさい……」

「光魔法を当てるのは絶対に勘弁してくれよ。人間電飾になるなど私のプライドが許さん」

「了解っす!」

「うむ。では、次の実験に移ろうか」

「精度の実験でしたっけ?なんか、手術みたいなことでもするんですか?」

「というよりは、射的に近いな。まあその前に昼食を取ろう。もちろん激うま愛妻弁当は作ってきてあるな?」

「相変わらずたわけてますね!僕は先輩の妻じゃないっす!」

「よし、なら露店で買い食いしに行こう」

「いいっすね!」

という事で、学園前の露店でぶらぶらしていろいろ食べ物を買った。道端の大きな切り株に二人並んで座り、焼きそばみたいなやつをすする。

「それ、うまそうだな」

「うまいっすよ。謎の酸味がいい味出してるっす。……って、なんで口を開けてこっちを向くんっすか?」

「あーんしてくれ」

「や、人もたくさんいますし……」

「……食べさせてくれないの?」

「急にかわいくなるのはずるいんでやめてもらっていいですか?……わかったっすよ」

「……………。むふふ、美味だ」

「恥ずかしいなあ、もう……」

「はい、あーん」「え」

「観念して私のサモササンドを一かじりしろ。ほら、あーん」

「ううっ……。あ、うま」

「だろ。私のお気に入りなんだ」

「もうお気に入りの店を見つけてるんっすか?こっちの暮らし、楽しんでるみたいっすね」

「ああ、最高だよ。小うるさいばかりで無能なヒスババアも、放任と放置を勘違いした仕事ばかりのクソジジイも、私を未成年として定型化し縛り封じ込める学校という名の檻もない。そして何より、君がいる」

「親かあ。うちの両親、僕の事心配してるかな……」

「なにか向こうと連絡を取る方法があればいいんだがな」

「魔法でなんとかならないんっすかね」

「世界の壁を越える研究は、転移者が現れ始めた直後から始まっているようだ。だが、調べた限りでは全て失敗に終わっている」

「帰る方法が見つかるのは望み薄かあ……」

「……ごめんな。全部、私が悪いんだ」

「そーゆうこと言うの禁止っす」

「私が……見つけるから。世界と世界を結ぶ方法を。そして君を、必ず元の世界へ帰してみせる」

「お、いいっすねー。その時は、先輩も一緒に帰りましょう」

「嫌だ。私はスーパー魔法使いでいられるこっちに残る。君が会いに来い」

「……そっすか。そのときは、向こうの新刊をどっさり買い込んできます」

「おお、本!君はやっぱり素晴らしいよ、ペプシ君!」

・・・・・・

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