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チートヒーラーの僕、救った相手に惚れられてしまう件〜転移前から相思相愛の氷魔法使いと、ハーレムパーティーで魔石の陰謀を追う〜  作者: 黒倉ばくら
第二章 ゴブリン討伐と花咲か少女

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第23話 救出

一方その頃、村では村人や冒険者たちが火事を収めようと奮闘していた。

「まずい、広場の木に飛び火した!このままじゃ家に燃え広がっちまう!」

燃える巨大な木を前に慌てふためく村人たちの中から、決然とした声が上がる。

「任せるでござる!」

一人、前に進み出たテケテケは、静かに気を練ると、目にも止まらぬ速さで刀を振るった。

「むうんっ、一閃!」

滑るように木が傾き、そして轟音を立てて倒れる。

「す、すげえ、あんな太い木を一撃で!」

「今だ、水をかけろ!」

・・・・・・

「離して!まだ中にサリィが!」

「諦めろ!お前まで死ぬつもりか!」

泣きながら燃え盛る家へ入ろうとする妻を、必死の形相の夫が止める。そこへ、ドン、メイリン、諏訪部の三人が駆け付けた。

「話は聞いたぜ!俺様に任せなァ!」

「冒険者様!お願い、あの子を助けて!」

「おいデカメイド、手ェ貸せ!二人であの扉ブチ破ンぞォ!」

「わ、私もですかぁ!?でもでも、ごうごう燃えちゃってますよぉ……?」

「ガキ見殺しにすんのかよ!?俺ァ一人でも行くぞ!」

「うぅ……わ、分かりました!メイリン、突撃です!」

「待ちなさい、二人とも。そのままではバックドラフト現象による爆発的な燃焼や一酸化炭素中毒による2次被害の可能性が」「るせぇ、イヤミ魔術師!テメェの御託を聞いてる暇はねェ!」

諏訪部は不快そうに眉をひそめると、軽く首を振ってから言う。

「では、君にも理解できるよう端的に言いましょう。……私の風で守ってやる。言われた通りに動け」

「なんだと、テメエ.........?」

ドンが怒りに満ちた顔で諏訪部を睨みつけるが、諏訪部も一歩も引かず、冷たい瞳でドンを見つめ返す。

「……チッ、さっさと指示を出しやがれ!」

「よろしい。……三、二、一、行け!私のために道を開けなさい!」

諏訪部の号令と共に、ドンとメイリンは走り出す。

「テメェの為じゃねえ、ガキの為だッ!」

「怖いけど、がんばらなくちゃ……!」

・・・・・・

僕たちが村へ戻ったころには、火事は収められた後だった。教会にいたケガ人たちをヒールで治してから外に出ると、ドン、メイリン、諏訪部の三人が広場の木陰で座り込んでいた。みんな、全身すすだらけだ。

「……無駄な汗をかきました。メイリン、扇ぎなさい」

「はいっ!……あれっ?すいませぇん、タクト様の扇子、部屋に置いてきちゃいましたぁ」

「なんだって?全く……」

「デケェ梁が落ちてきた時は肝が冷えたが、まァなんとかなったな!流石俺様だぜ」

「君がもう少し早く指示を理解してくれていれば、火の海の中で足止めされる事もなかったのですがね」

「るせェな、ガキが助かったんだからめでたしでいいだろうがよ!」

言い争ってはいるが、初対面の時と比べれば、ドンと諏訪部の距離は縮まっているように感じる。僕は近くに行って、声をかけてみることにした。

「皆さんお疲れ様です。ヒール要ります?」

「大丈夫です!タクト様の魔術はすごいんですよ~~!あ、でもでも、フリルがちょっと焦げちゃいましたぁ……」

「それは治せないっすね……」

「救出された少女の容態は?」

「ばっちり治しました!……怖がってずっと泣いてて、今は眠ってます。心もヒールできたらたらいいんっすけどね……」

「ほわぁ……すごくひどい火傷だったのに、もう治しちゃったんですか?ハルトさん、すごいです~~!」

「えへへ……村の教会のヒーラーさんにも褒められました。僕って才能あるのかも?」

「無暗にヒールを使いすぎではありませんか?神が一度に与える恩寵の量は限られていたはずですが、明日の戦闘に差し障りはないでしょうね?」

「全然平気っす!」

「ほう……大した自信ですね」

「オイ、調子乗んじゃねェぞ?ヒーラーなんてのは、俺ら前衛がいなけりゃなんも出来ねンだからな?」

「はいっ!あの女の子が助かったのも、みなさんが命がけで燃える家に入っていってくれたからっす!」

「おうおう、分かってンならいいんだ。……うし、寝るかァ。!明日はゴブリンどもにドギツイお礼参りかましてやるぜェ!」

村長の家へ戻ると、部屋でリィと先輩が話し合っていた。二人とも暗い顔をしている。

「戻ったか。外の様子はどうだ?」

「火事は完全に収まったっす!けが人も片っ端からヒールしときました!」

「そうか……犠牲が出なくて、本当によかった」

「二人は何を話してたんっす?……あんまり、いい話題じゃなさそうですね」

「村の見張り台、何匹もグレネードが投げつけられてた。偶然じゃない」

「おお……ゴブリンのくせにかしこい」

「周囲の村をいくつも襲っていくうちに、知恵を付けたのではないか……そんなことを、リィと話していたんだ」

「きっと巣の親玉はちょーつよい。マザーか、キングか、もしかしたらエンペラーがいるかもしれない」

「エンペラー!?よくわかんないけど強そう!」

「ん。ちょーつよい。油断するな」

「了解!ヒールは任せて!」

「うむ。では、万全の態勢で明日を迎えるためにも、眠るとしよう。さあペプシ君、私のベッドにきたまえ」

「きゃー、流れるようなセクハラっす!」

「……おまえら、いつも仲いいね」

「ん~~?羨ましいか、リィ?」

「べつに。バカっぽいと思う」

「ペプシ君は私のものだからな」

「なに言ってるのか分からない」

「一緒に寝るのは無理っすけど……よかったら、魔力でも吸います?先輩、たくさん魔術を使ったから、結構減ってるんじゃないですか?」

「………………っ!?」

「……あ、いや、ペプシ君、それは……」

「遠慮しなくていいっすよ、村の人たちを治して使った分はもう回復しましたから」

先輩の肩に手を当て、魔力を流し込む。なぜか先輩はしきりにリィの方を気にしている。

「!?!?!?!?!?!?!?!?!!!!!!??!?!?」

「どうしたんっすか先輩?リィが何か……あれ、どうしたのリィ?あはは、目が真ん丸になってる。ふくろうみたい」

リィはしばらく呆然と僕たちのことを眺めていたが、枕を掴むと僕へ投げつけてきた。

「……そういうのはっ、二人だけのときにしろっ!!」

「ぼふ!!な、なに!?魔力を分けてただけだよ!」

「エッチヘンタイエロスケベまろーど!!」

「ぎゃーーーっ!!」

部屋から追い出された僕は、何がいけなかったのだろうかと首を捻りながら自分の部屋で眠りについた。

・・・・・・

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