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チートヒーラーの僕、救った相手に惚れられてしまう件〜転移前から相思相愛の氷魔法使いと、ハーレムパーティーで魔石の陰謀を追う〜  作者: 黒倉ばくら
第二章 ゴブリン討伐と花咲か少女

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第18話 初クエスト、クセ者だらけの同行者

「ついに来たね……この日が」

「ん」

「新しい冒険の始まりっすよ。準備は万端?」

「ねむい」

「いきなり不安要素!」

「きのう興奮して眠れなかった」

「わかる!遠足の前の夜眠れないやつ!」

「お前だって興奮してる。早く行こう」

「うす!」

外へ出ると、雲一つない晴れだった。

「いい天気だね……洗濯物干したくなってくる」

「わたしはサンドイッチが食べたくなる」

「さっき朝ごはん食べたばっかじゃん!たくさん作ってあるから安心して!」

「私の分もあるんだろうな?」

「うす!沢山作ってきたんで、三人でも大丈夫っす!……って先輩!?なんでいるんですか!!」

「私も付いていく」

「学院はどうするんっすか?なんか研究とかしなきゃいけないんじゃ?」

「さぼる」

「ええ……」

「帰れ。遊びに行くわけじゃない」

「そんなことは分かっている。準備は十分に整えてきた」

「見せてみろ」「いいだろう。ほら」

先輩が肩に下げたバッグの中を確かめたリィは、小さくうなると、渋い顔で言う。

「……足手まといにはならないで」

「君こそ、死ぬ気でペプシ君を守るんだぞ」

「うるさい。言われなくてもそうする。パーティーを組むっていうのはそういうこと」

「よろしい。ゴブリンは私が魔術でちょちょいとぶち殺すから、君たち二人は後ろで眺めているがいい」

「調子に乗るな、まろーど……」

威嚇するリィを完全に無視して、先輩は目を輝かせながら僕に言う。

「ペプシ君ペプシ君、びっくりしたか?なあ、びっくりしたか?」

「そりゃ、驚きましたよ。でも正直、心強いっす」

「んーそうだろうそうだろう。もっと頼れ、むふふ……」

「……なんかちょっとうざいっす」

「ハルト。他の二つのパーティー、どんなのだと思う」

「どうだろうね……いい人たちだといいけど」

・・・・・・

指定された集合場所........東門前の広場は馬車を待つ旅人たちでにぎわい、たくましい労働者たちが、壁際に止まった馬車の荷台から重たそうな樽や木箱を担ぎ下ろしている。

そんな活気に満ちた広場の一角に、不自然な空白ができていた。そこでは右目に眼帯を付けた筋骨隆々の戦士と、丁寧に整えられたオールバックの髪が目を引く転移者の魔法使いが激しく言い争っている。

「んだとゴラァ!?なめてんじゃねーぞテメェ!」

「……うるさいですね。魔法も使えない分際で、ティン人は声が大きい」

「……小悪鬼の前に、お主を切ってやろうか。いい肩慣らしになるでござろう」

着物を着た細身の剣士が戦士の後ろから現れ、腰の刀に手をかけた。

「ひいぃ!ご、ごごごご主人様はわた、私がまもももも」

リィと同じくらい背の高い、メイド服の上にハーフプレートを着た変な格好の斧使いが、震えながら魔法使いを守るように前に出た。

「……なんかめっちゃケンカしてる人たちがいるけど、あれじゃ……ないっすよね?」

「いや、アレだな。他にそれらしき冒険者は見当たらない」

「ええ……キャラ濃くない……?」

「おい、お前ら。ゴブリンの巣のやつらか」

「……よく割って入れるなぁ、リィ。すごいや」

「あなた方は……ああ。三組目のパーティーですか。失礼、報酬の配分で意見の相違がありまして」

「オレ達前衛がいなきゃ魔法使いのテメェなんぞなんの役にも立たねぇだろうが!金の取り分は721だ!」

「前衛?ああ、肉壁のことですか。それは我が従者メイビンがいれば十分です。私の火力が無ければゴブリンの群れを倒すことなどできない。811が妥当です」

「ちょっといいか?記憶違いでなければ、報酬の分配は等分が原則のはずだが」

「うるせェ!ルーキーは引っ込んでろ!」

「規則を学んできた勤勉さには敬意を払いますが、率直に言って今回あなた方新人の仕事はありません。報酬を受け取れるだけ幸運と思いなさい」

「……どうしよう、どっちのパーティーからも役立たずって決めつけられちゃってるよ……」

「こいつら一度ぶったたこう。そうすれば勘違いに気づく」

「そんなことしたら、これが最初で最後のクエストになりかねないって……」

「ペプシ君、このクエストの報酬はいくらだ?」

「えっと、全部で金貨30枚っす」

「なんだ、そんなものか。……先輩方!私たちから提案がある!」

「引っ込んでろって言ったろ!まァ、言うだけ言ってみな」

「聞きましょう」

「かたや一流の魔術師、かたや歴戦の戦士、対照的ではあれど確かな実力を持つ二つのパーティーが、報酬などという些末な問題で対立しているのを見るのは非常に嘆かわしい。……よって、まず報酬を二等分にする」

「自分らの分は要らねぇってか?それじゃ足りねえんだよ。俺らの取り分は7、いや8、9だ!」

「まだ話は終わっていない。……ギルドの報酬に加えて、私がもう30枚出す。つまり取り分は10、10、-10だ。これでどうかな?」

「あ、あのう……それだと皆さんのパーティーが損をするだけのような……あっ、生意気なこと言ってすみません……」

「そーだエイア。勝手に話を進めるな。わたしも金が欲しい」

「ならリィにも15枚やる。それでいいだろ」

「いいよ。エイアさいこー」

「変わり身はやっ!……先輩、僕は嫌っすよ。先輩一人が損をするなんて間違ってます」

先輩は黙って僕に顔を近づけると、『カスどもに道理を説いたってしょうがないだろ』と囁いた。

「なんだァ、内輪もめか?オレ達ゃそれで構わんぜ。なぁ?」

「然り。それだけの金子があれば、たらふく団子が食えるでござる」

「……フン。自分よりはるかに経験の浅い冒険者から、よく臆面もなく金を受け取れるものだ。……仮面の新人、あなたの申し出は分かりましたが、我々はあなたからの報酬を必要としません。あくまでもギルドからの報酬分のみを受け取ります」

「話はまとまったな。では、早速馬車に乗ろう」

「そーだな。エイアさいこー」

「異存はありません。行きましょう」

「リーダーぶってんじゃねぇ、ルーキー!」

「みたらし、餡子、三色、胡麻、フフフ、団子の極楽浄土よ……」

「なに呆けてんだ!さっさと行くぞ、テケテケ!」

みんなはさっさと進んで馬車の荷台に乗ってしまったが、僕は納得できずにいた。

........と、同じ思いだったらしいメイドが独り言をつぶやきだす。

「ほ、ほんとにこれでよかったのかなぁ……。でもでも、タクト様は納得してるみたいだし……。よく考えたら、金貨三十枚なんて普通の冒険者さんには大金だよね?ど、どうしよう、私達のせいで破産しちゃったりしたら~~........」

「……あの、メイドさん。もうみんな馬車に乗っちゃったっすよ」

「えっ!?すすすす、すいません~~~!メイリン走ります!……ふぎゅ!!」

「大丈夫っすか!?」

盛大に転んだ彼女を、慌てて助け起こす。

「........あ、はなぢ出てる。治しますね。ゆっくりでいいんで、落ち着いていきましょう」

「はい、メイリンがんばります……」

・・・・・・

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