第10話 脱法ヒールでボロ儲け
「お、うおお!?毒が消えたぞ!!助かったぜあんたたち!」
「ん、銀貨五枚」
「傷が治っていく……神よ、感謝します……」
「ん、銀貨五枚」
「痺れが取れた。あなたも神に仕える者でしたか」
「ん、銀貨五枚」
「……料金を取るのですか?教会に許可のない有償の治療行為は禁止されているはずですよ」
「ん、逃げる」
「前からゴブリンの群れが!」
「ん、ぶったたく」
「すごいダガー捌き……あっという間に倒してる」
「ハルト、後ろ!」
「……っ!?てや!」
「ゲヒィッ!?……ギャッ!」
僕の放った閃光に目を覆って後ずさったゴブリンの首に、投げ下ろされたダガーが突き刺さった。
「だいじょぶか」
振り向くと、ジャンプから着地したリィが駆け寄ってくる。
「おかげさまで平気。助かったよ」
「ん。……あのピカッとするやつ、いいね」
「えへへ……照れるっす」
そんな感じでダンジョンでのモグリの治療屋一日目が終わった。
「ぷひひひ……がっぽり稼げた」
「聞いたことない笑い方してる……」
「おまえは最高。最高の金づる」
「ちょっとは言い方考えよ?」
「じゃあなんて言えばいい」
「助かってる、とか、いてくれてよかった、とか」
「助かってる。いてくれてよかった」
「原稿そのまま読むタイプ?」
「げんこーってなに」
「なんでもない。今日は上手くやれたし、お祝いにステーキ作ろっか?」
リィはものすごい勢いでぶんぶんと頷き、目を輝かせる。
「ふふふっ……リィ、尻尾を振るわんこみたい」
「わんこってなに。バカにしないで」
「してないよ。リィを見てなごんでただけ」
「ふーん。ならいい。うまいステーキを作れ」
「うす!」
肉を買いに訪れた市場で転移者の作った味噌と醤油を見つけ、感動しながら買う。リィは高すぎると文句を言っていたが、家に帰ってバター醬油をかけたステーキを一口食べると、うまい、とつぶやいた。
「やっとリィにおいしいって言ってもらえた」
「は?何も言ってない。でもこれ、かなりまずくない。しょーゆ、いいね」
「でしょ。日本人の魂の味だから」
「にほんじん?」
「転移者のこと。……あれ、そういえばなんで外国の転移者見かけないんだろ。僕が気付いてないだけかな……」
「けぷ。……おい、ステーキいらないなら食べてやる」
「もう食べたの!?だめだよ、僕もお腹減ってるんだから!僕が食べ終わったらおかわり焼いてあげるから我慢して」
「まてない。早くくえ」
「せかさないでよ……」
大きな肉を何枚も平らげたリィは、とても満足げな顔をしながら自分の部屋へ入っていった。作った僕が幸せになるような、いい食べっぷりだった。
「これが父親の気持ちなんだろーか……」
ちょっとおこがましいかもしれないけど、これからもリィを健やかに育てていきたいと思った。少なくとも、リィがちゃんと自分のことを自分でできるようになるまでは。
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