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飛ばされた最強の魔法騎士 とっても自分の星に帰りたいのだが……  作者: 季山水晶
第六章 新たな課題

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97.リンクと共に

 リンクに連れられ辿り着いた場所は村はずれの原っぱ。彼がそこで指笛を吹くと何処からともなく小竜ノアが現れた。ノアは首を折り曲げてリンクに擦り寄り喜びを表している。リンクもそれに応える様に笑顔でノアの頭を撫でた。


「可愛い……私達が最初に出会った小竜ね。凄い、指笛を吹くと来てくれるんだ」


 アリスは羨ましそうにリンク達の仲睦まじい姿を見つめている。


「小竜の耳は人の百倍くらい良いのです。百キロメートル位離れていても私の声を聞き分けてくれます」


「相当な訓練が必要そうね?」


 俺には想像を絶する訓練が目に浮かんだ。だがリンクはそれを見据えた様に鼻で笑う。


「小竜は人の十歳程度の知能を持っているのです。だから特別な訓練はいりません」


 その後リンクはノアの頭を撫でながらの耳元で何かを囁く。するとノアは「キュウ」と鳴き声を上げ、何処かに行ってしまった。


「あれ?何処かに行っちゃったよ?」


 目を丸くするアリスを見て、リンクは口元に拳を近づけながらクスクスと笑いを溢した。


 間もなく、ノアは他の小竜を二頭連れて現れた。ノアと比べると少し大きめの小竜が一頭、少し小さめも小竜が一頭だ。


「わあ、お友達を連れてきたよ」


 アリスは目をパチクリさせ声のトーンを上げながら、俺の手を引き小竜たちに近づいた。


 後から来た小竜もノアと同じ緑色の胴体と、鋭いヒズメを持った野太い足。それに比べ翼になっている両腕は体幹の割には貧弱だ。


「翼が小さいな」


「ああ、小竜はもともと翼竜だったが、改良で翼は退化した。代わりに野山を駆け回る強靭な足を得たのだ」


 俺が小竜たちの足をじっと見ていると、小竜たちは俺に頭を垂れた。


「可愛い、挨拶してくれているのね」


 アリスも柔らかい視線を向けながら小竜に近寄ると、なぜか小竜たちは彼女にそっぽを向いた。


「あれ?どうして私にはお辞儀をしてくれないの?」


 アリスは足を止め、触れようとしていた手が落ちた。


「困ったな……」


 眉を顰め顎に手を当て俯いたリンクの表情が曇りだす。


「小竜は自身をゆだねるのは自身よりも強い者と決めている。それは決して変わらない彼らのルールなのだ。仕方がない、奥方様にはレア殿の後ろに乗ってもらうしか……」


 リンクの説明によると戦士希望のヴィーラ族は十歳になると小竜を与えられるが、あくまでもそれは許可であり、彼ら(小竜)に認めてもらえるよう必死に鍛錬するらしい。


 小竜の生命力は約1万。つまりそれ以下だと小竜は従ってはくれない。因みにアリスの生命力は7千程、ちと足りないのだ。


「なぁんだ、そんな事か。嫌われたかとおもっちゃった」


 アリスは胸を撫で下ろし、柔らかい瞳で小竜たちを見つめた。


「え?奥方様、そんな事……なんですか?」


 アリスのリアクションに「えっ?」とリンクは何度か瞬きをしながら首を傾げた。


「まあ、全く問題は無いな」


 俺の言葉にリンクは更に眉を顰め反対側に首を傾げる。


「どっちにしようかな?うーん、強化にしよ」


 俺をちらりと見たアリスはポンッと手を打ち鳴し、彼女自身に二倍の身体強化魔法をかけた。すると、今までそっぽを向いていた小竜二頭がアリスの方に向き直り「キュー」と小さな声を上げてお辞儀をしたのだ。


「お、奥方様いったい何をしたのですか?」


 リンクは目を大きく見開き、口をポカンと開けている。


「え?単に身体強化魔法をかけただけだけど?」


 平然とそう答えたアリスは小柄な小竜の頭を撫でながら「私この子にするね、名前は何て言うの?」周囲に笑顔を振舞った。


「こ、小柄な小竜はライラ、大柄の方はミヤビ言う名前です」


 リンクは声を上ずらせながらアリスを凝視する。


「ああ見えて彼女は強いんだよ」


 俺がリンクの肩をポンポン叩くと、暫く固まっていた彼はビクッと肩を揺らし、背負っているリュックから小竜用の鞍を取り出した。


「こ、これを使ってくれ」


「その小さなリュックにそんなに大きな鞍が入っていたのか」


 俺が驚きながらジッとそのリュックを見つめていると、ようやくリンクから笑みがこぼれる。


「これは中に入れると物を圧縮してくれるリュックなのだ」


 バレーボール位の大きさのものがビー玉程度までに小さくなるのだとか。


「亜空間ボックスではないんだな」


「ああ、これなら魔法量の少ない者も使用できる」


 ヴィーラは魔法は得意だが、惨事に備え魔法の使用を極力抑えるのが習わしらしい。


 人族の王に会いに行くのにリュック一つと言うのは不思議だと思っていたがそれなら納得だ。


「うまく乗れるかしら……」


 アリスが鞍の付いたライラに乗ろうとすると、それを察知したライラはスッと屈んだ。


「わぁ、ライラ!あなたってなんて賢いの。うーん可愛い」


 ライラに頬ずりをしながら顔を撫でまわした後、アリスはライラにまたがった。


「ねえねえ、ライラは火を噴けるの?」


 話せないライラの代わりにリンクが答える。俺はそのやり取りを黙ってみていた。


「噴けません」


「じゃあ、腕の翼で飛べるとか。竜だし」


「飛べません」


「えー。じゃあ、雷を発生させるとか」


「させられません」


「それじゃあ……」


「奥方様、何を期待されているのか知りませんが小竜は人を乗せて運んでくれるだけですよ。むしろ戦闘になれば、奥方様は小竜を守ってあげる立場になります」


 リンクはやれやれ……と頭に手を抑えながら大きなため息をついた。その会話を聞いてかライラはしょぼんと頭を垂れた。


「おいアリス、お前が出来ない出来ないというから、ライラがしょんぼりしているぞ」


 俺の言葉にアリスは慌ててライラに目をやる。


「ライラァ……ちょっと聞いただけだよ。あなたが何もできないなんて思っていないわよ。ごめんね、不快にさせちゃって、あなたが一番だよぉ」


 必死になってライラの頭を撫で、頬を摺り寄せるアリス。


 その後アリスは自身の荷物からジャーキーを取り出し、必死になってライラのご機嫌取りを行うと、それを見ていたノアもミヤビもアリスの方へと寄り添ってくる。


「え?あなた達も欲しいの?わ、私のおやつが……」


 結局半泣きになりながら三頭分のお詫びを提供したのだった。


 口は災いの元だな。

いつも読んで下さりありがとうございます。

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