第51章| おさまらぬ体調不良 <11>過去にあった化学物質による健康障害事例
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――――――――好きな人によく思われたくてハーブを飲み始めたのに・・・・・・私ったら何やってるんだろう・・・・・・。
切ない気持ちになりながら、残りの雑炊をいただいた。
「リスクアセスメント・・・・・・。 不確実なリスクを予想して動くのって、難しそうですね・・・・・・」
“これラクだな、便利だな” と “危険かもしれない” の間で、気持ちが揺れちゃうことって多いんじゃないかな。
自分のことを振り返って、そう思った。
手元のノートをもう一度見た。
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【リスクアセスメント】リスクを発見・評価し、軽減する!
■リスク→危険性や有害性の大きさ と 発生可能性の組み合わせ
・「危険性」→損失・被害・病気・ケガの重大さ×発生可能性
・「有害性」→物質の持つ有害性×ばく露の程度
で考える
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「そうですね。ですから実際のリスクアセスメントは、一度きりで終わるものではありません。リスクアセスメントの主体は事業者ですが、労働災害・安全衛生・健康など産業保健に関わる部分については、産業医や保健師も能動的な姿勢で職場に潜むリスクを見つけ、現場の人たちと話し合いながら、定期的に見直していくことを期待されています」
「産業保健スタッフが、化学物質によって健康障害が起きているかもしれないって気付くポイントは、やっぱり体調不良ですか? 」
「体調不良者が出ていないか、現場からの声を聞くことは非常に大切だと思います。それに健康診断の結果確認も、職場に潜むリスクへの気づきの機会になります。同じ職場から複数の不可解な体調不良者が出ているとき、というのは重要な着目ポイントになります。それから職場巡視で、職場環境や、現場での実際の使われ方を確かめること・・・・・・」
「同じ職場から、複数の不可解な体調不良者・・・・・・」
「ええ。近年の日本で、あとから化学物質の有害性が判明した例として、大阪の印刷会社を発端に見つかった『1,2-ジクロロプロパンによる職業性胆管がん』があります。この時は一つの職場から多くの胆管がん患者が出現したため遡って検討したところ、業務で使う洗浄剤に含まれていた『1,2-ジクロロプロパン』に発がん性があったと判明しました。
当時は国際的にもまだ『1,2-ジクロロプロパン』の発がん性は知られておらず、換気の悪い作業部屋で、職員が長年、揮発した大量の『1,2-ジクロロプロパン』を吸い込むような状態だったそうです」
「換気の悪い作業部屋・・・・・・」
「このような事件をふまえて、実はここ数年、職場での化学物質管理について厚生労働省の定める方針が大きく変わっています。国が個別に対象化学物質と対策を指定して守らせるやり方から、リスクアセスメントを義務づける化学物質の対象範囲を大きく広げて、各企業の『自律的管理』を促す、となりつつあります」
・・・・・・・・・鈴木先生の話を聞きながら、換気のあまりよくない小さなネイルサロンで、持野さんと、店長の間黒さんと交わした会話を思い出す。
(『この間、足立が訪問してお伝えした箇所については、改善していただいているんですよね? 』)
(『そうですね』)
(『それでも、風邪も、手荒れも、収まっていないということでしょうか・・・・・・』)
(『ぜーんぜん、おさまらないですね~』)
(――――――――『ほんと皆、順繰りで風邪になるよね? 誰かが熱・頭痛・咳でお休みして~、回復して出社したらまた風邪引いて~。もうこの部屋に呪いでもかかってるの? ってくらい・・・・・・・・・』)
「あっ、あの・・・・・・。私の取り越し苦労かもしれないんですけど・・・・・・。実は、同じお店から複数の体調不良者が出ているネイルサロンがあって・・・・・・・・・・・・・・・」




