表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
1.それ、ほんまに回るんかいね?……わし、 なん? σ (°ロ°)?!!
7/10

7.回り始めた、気はするんじゃがなー

 数日後。


 初めて、まともに“動いた”。


 組ごとに人が動き、

 指示が通り、

 戻ってくる。


(……回っとる)


 山縣は、そう思った。


(今度こそ、回っとる)


 前とは違う。


 誰が何をするか、わかっとる。

 どこに伝えればいいか、決まっとる。


 だから、止まらん。


「弾、届いたぞ!」


「受け取った!」


 声が、ちゃんと繋がる。


(……繋がっとる)


 思わず、少しだけ口元が緩む。


(やればできるじゃん)


 そのとき。


「おう!」


 あの声。


 ――高杉晋作が、満足そうに笑っとる。


「ええのう!」


 大きく頷く。


「ちゃんと動いとるじゃないか!」


(まあ、それはね)


(設計したからね)


 心の中で、小さく返す。


 でも、否定はせん。


 実際、うまくいっとる。


 そのとき。


「報告!」


 一人が駆けてくる。


「西側、完了しました!」


「よし!」


 別の組が動き出す。


 流れが、止まらん。


(……いい感じ)


 山縣は、静かに全体を見る。


 小さく分かれた組が、それぞれ動いとる。

 それが、ちゃんと繋がっとる。


(これなら)


(戦える)


 そう思えた。


 ――が。


「……ちっ」


 小さな舌打ち。


 聞き逃さんかった。


 視線を向ける。


 武士の一人。


 少し離れた場所で、不満そうに立っとる。


(ああ)


(残っとるな)


 身分の問題。


 表には出てこんかっただけで、消えたわけじゃない。


「どうしました」


 山縣は、近づいて声をかける。


「……なんでもない」


 そっけない返事。


(いや、その顔でそれは無理でしょ)


「動きに問題が?」


「……ない」


 短い。


 でも、目は違う方向を見とる。


「じゃあ、何が問題ですか」


 少しだけ踏み込む。


 男は、少し黙ってから言うた。


「……百姓に、指図されるのは」


 低く。


「気に食わん」


(やっぱりそこね)


 山縣は、小さく息を吐いた。


(まあ、そうなるよね)


 頭ではわかっとる。


 でも、感情が追いつかん。


「ですが」


 静かに言う。


「動きは良くなっています」


「……」


「結果も出ています」


 一拍。


「それでも、ダメですか」


 男は、黙る。


 視線を逸らす。


(完全には納得してない)


(でも、否定もできん)


 その状態じゃ。


(まあ、いきなり変わるわけないか)


 山縣は、無理に押さえつけるのをやめた。


「……様子を見てください」


 それだけ言う。


 男は、何も返さん。


 でも、去りもしない。


(ここは、時間か)


 山縣は、視線を戻した。


 全体は、うまく動いとる。


 初めての“成功”と言ってもいい。


(……でも)


(全部じゃない)


 うまくいっとるところと、

 そうじゃないところ。


 両方が、同時にある。


(まあ、そんなもんか)


 そのとき。


「どうじゃ!」


 高杉が、また笑いながら来る。


「回っとるじゃろ!」


(うん、まあね)


 少しだけ肩が触れる。


 ――近い。


(だから近いって)


「……回ってます」


 短く答える。


「じゃろ!」


 満足そうじゃ。


 山縣は、小さく頷いた。


 確かに、回り始めた。


 でも。


(このままじゃ、どこかで噛み合わん)


 その予感は、消えんかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ