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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
1.それ、ほんまに回るんかいね?……わし、 なん? σ (°ロ°)?!!
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6.誰を上に置くんか、それが問題じゃろ

 翌日。


 山縣は、集まった面々を見渡しながら、静かに言うた。


「分けます」


 場が、少しざわつく。


「小さく分けます」


「いまのままでは、多すぎて回りません」


(というか、もう崩れかけとる)


 心の中で付け足す。


 高杉は、腕を組んで見とる。


 何も言わん。

 ――任せる気じゃな。


(ほんと、丸投げ)


 小さく息を吐く。


「十人前後で、一つの組にします」


「それぞれに、まとめる者を置く」


 何人かが、顔を見合わせる。


「その上に、全体を見る者――」


 一瞬だけ、視線を高杉に向ける。


「を置く形にします」


 ざわ、と空気が動く。


(来るな)


 予想しとった反応が、すぐに出る。


「待て」


 低い声。


 武士の一人が前に出る。


「まとめる者、とはなんじゃ」


 山縣は、淡々と答える。


「組の責任者です」


「指示を出し、まとめる役です」


 沈黙。


 そのあと。


「……百姓も、か?」


 場の空気が、一気に変わる。


(出た)


(そこ来るよね)


 周りの視線が、集まる。


 山縣は、少しだけ間を置いてから答えた。


「はい」


 短く。


「役割で決めます」


 ざわ、と音が広がる。


「ふざけるな!」


 別の武士が声を張る。


「百姓に、武士が従うのか!」


 空気が、一気に荒れる。


(……やっぱりこうなるか)


 山縣は、内心で小さく頷いた。


(ここ、避けて通れん)


「逆です」


 静かに言う。


 声を荒げない。


「従うのではなく、役割を果たすだけです」


「強い者、動ける者、まとめられる者」


「それで決めます」


「身分ではなく」


 言い切る。


 場が、ぴりつく。


「それが、ここでのやり方です」


 一瞬の沈黙。


 武士の顔が、歪む。


「そんなもの、通るか!」


(通らんよね、普通は)


(でも、通すんだよな……ここ)


 そのとき。


「ええじゃろ」


 軽い声。


 ――高杉晋作が、口を開いた。


 空気が、一瞬で変わる。


「わしは面白いと思うがのう」


 にやりと笑う。


「強いやつが上、ええじゃないか」


(いや、あんた昨日まで“自由”言ってたよね)


 心の中でツッコむ。


 でも、場は違う。


 高杉の一言で、空気が傾く。


「……しかし」


 さっきの武士が、まだ食い下がる。


「秩序が乱れる」


「身分が崩れる」


(いや、もう崩しに来てるでしょ)


 山縣は、少しだけ前に出た。


「乱れません」


 はっきり言う。


「いまの方が、乱れてます」


 一拍。


「誰が何をするか曖昧で」


「誰も責任を持たない状態の方が」


「よほど危険です」


 視線を、真っ直ぐ向ける。


「形を作れば、秩序は生まれます」


 静かに。


 でも、強く。


 場が、少しずつ静まる。


(……通るか?)


 数秒。


 長く感じる。


 そのあと。


「……」


 武士が、口を閉じた。


 完全に納得した顔ではない。

 でも、引いた。


(よし)


 山縣は、小さく息を吐いた。


「では、決めます」


 切り替える。


「組を分けます」


「そして、それぞれの責任者を決めます」


 視線を巡らせる。


(ここが一番難しい)


 誰を上に置くか。


 間違えれば、崩れる。


(能力で見る)


 そう決める。


 刀の腕。

 動き。

 周りの見方。


(あと……)


 一瞬、考える。


(人の話、聞けるか)


 それも重要じゃ。


「……お前」


 一人、指す。


「この組の責任者をやれ」


 百姓の男が、驚いた顔をする。


「わ、わしか?」


「走れる、周りも見えてる」


「任せます」


 ざわ、と空気が動く。


 だが、今度は止まらん。


「次」


 淡々と決めていく。


 武士も、町人も、関係なく。


 適材適所。


(これで、形になる)


 そのとき。


「ほう」


 高杉が、横で笑う。


「ええ顔しとるのう」


(なんの評価?)


「ちゃんと回りそうじゃ」


(いや、回すのわしなんだけど)


 でも、少しだけ認めとる顔じゃ。


 山縣は、視線を全体に向ける。


 小さく分かれた集団。

 それぞれに、責任者。


 さっきまでの“塊”とは違う。


(……組織になり始めた)


 まだ粗い。

 でも、形はある。


(いける)


 そう思った、そのとき。


「……ほんまに、これでええんか」


 小さな声。


 誰かが、呟いた。


 完全には、納得してない。


(まあ、そうよね)


 山縣は、内心で苦笑した。


(いきなり全部変わるわけないか)


 でも。


(回して見せるしかない)


 それでしか、納得は生まれん。


 山縣は、静かに目を細めた。


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