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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
1.それ、ほんまに回るんかいね?……わし、 なん? σ (°ロ°)?!!
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5.増やせばええ、って話じゃないじゃろ

 数日後。


 人が、増えとった。


(……増えすぎじゃない?)


 山縣は、思わずそう思った。


 最初に集まっとった人数の、倍。

 いや、それ以上かもしれん。


 見知らん顔が、あちこちにおる。


「おう、増えたのう!」


 楽しそうな声。


 ――高杉晋作じゃ。


「ええじゃろ!」


 満足そうに腕を組む。


「人は多い方が強い!」


(いや、雑すぎん?)


 山縣は、小さく息を吐いた。


(それ、だいたい失敗するやつ)


 視線を巡らせる。


 役割は、一応ある。

 指揮も、通るようにはなっとる。


 ――“前よりは”。


(でも)


 明らかに、歪んどる。


 同じ役割のはずなのに、人数に偏りがある。

 伝令が足りん。

 補給が追いついてない。


(バランス崩れとる)


「どうじゃ」


 高杉が、にやりと笑う。


「大きゅうなったじゃろ?」


(いや、それは見ればわかる)


「……増やしましたね」


 山縣は、淡々と言う。


「おう!」


 迷いなく頷く。


「来るもんは全部受け入れた!」


(あー、やったな)


(絶対やると思った)


 頭の中で、警報が鳴る。


(これ、キャパ超える)


 処理できる量を、超えたとき。

 何が起きるかは、わかっとる。


(崩れる)


「……制限は、かけてないんですか」


「そんなもん、いらんじゃろ」


 即答。


「来たいやつは来ればええ!」


(出た)


(理想全開)


 山縣は、少しだけ視線を落とした。


(気持ちはわかる)


(でも、それで回るほど甘くない)


 そのとき。


「おい!」


 また、声が飛ぶ。


「飯が足りんぞ!」


 補給の側からじゃ。


「さっきの分で終わりじゃ!」


 ざわ、と空気が揺れる。


(ほらな)


 さらに別の場所。


「弾が足りん!」


「どこにあるんじゃ!」


(連鎖しとる)


 ひとつ崩れると、全部に波及する。


 人が増えた分、影響も広がる。


(スケールしただけ、壊れ方も大きくなる)


 頭の中で、冷静に整理する。


 供給が足りん。

 情報が回らん。

 人の配置も追いついてない。


(完全に、オーバーしとる)


「まあまあ!」


 高杉が、また笑いながら出てくる。


「そのくらい、なんとかなる!」


(ならん)


(それ、一番危ないやつ)


 山縣は、一歩前に出た。


「なりません」


 はっきり言う。


 場が、少しだけ静まる。


「人が増えた分、必要なものも増えます」


「それに合わせて、仕組みを変えないと」


「回りません」


 一拍。


「いま、崩れかけてます」


 周りが、ざわつく。


 さっきの混乱を見ていれば、否定できん。


 高杉は、少しだけ黙る。


 でも、すぐに笑う。


「はっ」


 軽く息を吐く。


「じゃあ、どうする?」


(またそれ聞く?)


(いや、まあ、言うけど)


 山縣は、視線を上げた。


「分けます」


 短く言う。


「これ以上、ひとまとめでは無理です」


「単位を作ります」


 高杉が、少しだけ目を細める。


「単位?」


「はい」


 一歩、踏み出す。


「小さく分けて、それぞれに責任を持たせる」


「その上に、あなたがいる形にする」


 周りが、静かに聞いとる。


「いまは、全部があなたに集中してます」


「だから、処理しきれてません」


(実際、回ってないし)


「分ければ、回ります」


 言い切る。


 少しの沈黙。


 高杉は、じっと見とる。


 そのあと――


「……おもしろいのう」


 口元が、ゆっくり歪む。


「細かくするわけか」


「はい」


 短く返す。


「その方が、速く動けます」


 一拍。


 高杉は、ふっと笑った。


「ええじゃろ」


 軽い。


 でも、決めた顔じゃ。


「やれ」


(……またそれ)


 山縣は、心の中でため息をつく。


(結局、わしなんじゃな)


 でも、もう迷わん。


 視線を、全体に向ける。


 増えすぎた人。

 崩れかけた流れ。


(ここから作る)


 ただの集まりを、組織に。


(……ほんと、無茶言うよな)


 でも、少しだけ口元が緩んだ。


(まあ、やるけど)


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