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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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13K. 呼び出し



【勝麟太郎視点】


 嫌な予感しかしなかった。



 役所から呼び出し。



 良い話だった試しがない。



 勝は廊下を歩きながら、


 小さくため息をついた。



(何やらかしたかな)



 思い当たることが多すぎる。



 蘭書。



 外国の話。



 海軍の話。



 余計なことばかり言っとる。



 怒られる理由には困らん。



 部屋の前で足を止める。



 襖の向こうには上役がおる。



「勝、入れ」



 声がした。



「失礼します」



 頭を下げて入る。



 部屋には三人。



 知らない顔が一人。



 偉そうな顔が二人。



 嫌な組み合わせじゃ。



「勝麟太郎」



「はい」



「お前、英吉利の資料が読めるそうだな」



 勝は少し固まった。



(誰だそんなこと言ったの)



 心当たりはあった。



 たくさんあった。



「少しだけです」



「読めるのか読めないのか」



「読めます」



 一拍。



「少しだけ」



 部屋が静かになる。



 上役がため息をついた。



 どうやら、


 この答え方は正解ではなかったらしい。



「ならこれを読め」



 机の上に冊子が置かれる。



 外国船の報告書じゃ。



 勝は手に取る。



 ぱらぱらとめくる。



 英国。



 フランス。



 蒸気船。



 砲門数。



 航路。



(面白そう)



 思わず顔が緩む。



 しまった。



 上役に見られた。



「読めるな」



「読めます」



「なら説明しろ」



 勝は顔を上げた。



「今ですか」



「今じゃ」



 理不尽じゃ。



 だが。



 勝は紙を見る。



 数字。



 船。



 距離。



 港。



 頭の中で繋がる。



「英国海軍ですね」



 部屋が静かになる。



「この数字だと」



「日本近海へ来ているのは一部です」



 一拍。



「本体はもっと大きい」



 知らない顔の男が眉を動かした。



「分かるのか」



「だいたい」



「だいたい?」



「全部読めるわけじゃないので」



 正直に答える。



 だが。



 男は笑った。



「十分だ」



 勝は少し驚いた。



 褒められるとは思わなかった。



 そのとき。



 上役が言う。



「勝」



「はい」



「今後も読め」



 勝は固まる。



「え?」



「外国の資料じゃ」



「海軍関係じゃ」



 一拍。



「お前に回す」



 部屋が静かになる。



 勝はしばらく意味を考えた。



 回す。



 つまり。



 読む。



 まとめる。



 説明する。



 仕事じゃ。



(仕事になった)



 勝は少しだけ笑った。



 怒られると思っていた。



 違った。



 使われるらしい。



 そのとき。



 知らない男が立ち上がった。



「勝」



「はい」



「外国を知る者は少ない」



 一拍。



「だから働け」



 それだけ言って部屋を出て行った。



 勝はぽかんと見送る。



 失礼な人じゃ。



 だが。



 言いたいことは分かった。



 部屋を出る。



 廊下を歩く。



 足取りは軽い。



 仕事は増えた。



 責任も増えた。



 でも。



 面白そうじゃ。



 外国の本を読む。



 海軍を調べる。



 世界を知る。



 そして。



 気づけば。



 勝は幕府の中で、


 少しだけ重要な場所へ近づき始めていた。



 本人だけが、


 まだ気づいていなかった。

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