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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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9. 誰に頼む?


【山縣視点】


 金はいる。



 それは分かった。



 ものすごくいる。



 それも分かった。



 問題は、


 誰が出すかじゃ。



 その日の夕方。



 高杉の部屋には、


 またいつもの顔ぶれが集まっとった。



 高杉。



 大村。



 伊藤。



 井上。



 そして山縣。



 最近、


 妙な集まりになってきた気がする。



「さて」



 高杉が言った。



「誰に頼む?」



 全員黙った。



 昨日までの勢いはどこへ行った。



 金の話になると、


 急に現実が顔を出す。



「藩は難しい」



 大村が言う。



「正式には無理じゃ」



 全員頷く。



 密航じゃ。



 堂々と予算要求できる話ではない。



 そのとき。



「商人ですね」



 伊藤が言った。



 迷いがない。



「また商人か」



 井上が笑う。



「また商人です」



 伊藤も笑う。



「金を持ってる人に頼むのは当たり前でしょう」



 それはそうじゃ。



 だが。



「なんで出してくれるんです?」



 山縣は素朴な疑問を口にした。



 伊藤は少し考える。



 そして。



「長州が強くなるからです」



 即答じゃった。



 部屋が静かになる。



「商人は損得で動く」



 一拍。



「でも」



「未来にも金を出す」



 山縣は少し考えた。



 未来。



 確かに。



 店を大きくする時もそうじゃ。



 先に金を使う。



 後で回収する。



 投資というやつじゃ。



(投資家か)



 そんな言葉が頭をよぎる。



 もちろん、


 誰も知らん言葉じゃろうが。



「なら」



 井上が身を乗り出す。



「誰じゃ」



 伊藤が笑った。



「そこです」



「まだ考えてません」



 全員が固まった。



(おい)



 山縣は思わず天井を見た。



 この男。



 勢いだけで話しとった。



 そのとき。



 高杉が笑い始めた。



「面白いのう」



「まず話を作ってから相手を探す」



「順番が逆じゃ」



「でも嫌いじゃない」



 伊藤が少し得意そうになる。



 褒められたと思っとるらしい。



 危険じゃ。



 そのとき。



「いや」



 大村が言った。



「順番は合っとる」



 全員が振り向く。



「え?」



「目的が先じゃ」



 一拍。



「相手は後で探せばよい」



 部屋が静かになる。



 山縣は少し驚いた。



 確かに。



 奇兵隊もそうじゃった。



 先に必要性があった。



 だから人が集まった。



 長州再建もそうじゃった。



 先にやるべきことがあった。



 だから仕組みが出来た。



 今回も同じかもしれん。



「なら」



 高杉が立ち上がる。



「探すか」



「誰をです?」



「未来に金を出す馬鹿を」



 伊藤が吹き出す。



 井上も笑う。



 山縣も少しだけ笑った。



 そのとき。



 ふと思う。



 長州は変わった。



 奇兵隊もそうじゃ。



 政変もそうじゃ。



 全部、


 最初は誰かの無茶から始まっとる。



 今回も、


 たぶんそうなんじゃろう。



 未来を見たい若者。



 それに金を出す誰か。



 そして。



 その全部を繋ぐ人間。



 気づけば、


 計画は少しずつ形になり始めていた。



 海はまだ遠い。



 だが。



 もう誰も、


 行かないという選択肢は考えていなかった。

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