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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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6. 会うてみるか



【山縣視点】


 正直。



 期待はしていなかった。



 いや。



 期待しないようにしていた。



 高杉が褒める人間は、


 大体変じゃ。



 高杉本人が変じゃから。



 その日の昼。



 山縣は高杉に連れられて城下を歩いとった。



「どこ行くんです?」



「会いに行く」



「誰に」



「面白いやつらじゃ」



(またそれか)



 最近、


 その説明しか聞いてない気がする。



 しばらく歩く。



 すると。



 前から大きな声が聞こえてきた。



「だから言うとるじゃろ!」



 若い男の声じゃ。



「今のままじゃ遅いんじゃ!」



 さらに別の声。



「そんなこと言うても金がない!」



 山縣は思わず足を止めた。



(喧嘩?)



「いや」



 高杉が笑う。



「いつものじゃ」



(いつもの?)



 意味が分からん。



 部屋へ入る。



 すると。



 二人の若い男が言い争っとった。



 一人は小柄。



 目がよく動く。



 喋る。



 とにかく喋る。



 もう一人は背が高い。



 腕を組んでいる。



 そして。



 全然引かん。



「おう」



 高杉が声をかける。



 二人が振り向く。



「高杉先生」



 さっきまでの勢いが嘘みたいじゃ。



「紹介しよう」



 一拍。



「伊藤じゃ」



 小柄な方が頭を下げる。



「伊藤俊輔です」



 だが。



 目が笑っていない。



 いや。



 違う。



 頭が動いとる。



 人を見とる。



 そんな目じゃった。



「こっちは井上」



 背の高い男が軽く頭を下げる。



「井上聞多です」



 こちらは逆じゃ。



 考えるより先に動きそうじゃ。



 山縣は思わず思った。



(高杉殿が二人に増えたら困るな)



 その瞬間。



「失礼ですね」



 伊藤が言った。



 山縣は固まる。



「顔に出てます」



(うわ)



 この男。



 よく見とる。



 高杉が大笑いする。



「じゃろう」



「だから面白いんじゃ」



 伊藤は少し得意そうじゃ。



 井上は呆れとる。



「また始まった」



 慣れた様子じゃ。



 そのとき。



「で」



 伊藤が聞いた。



「今日は何の用です?」



 高杉の顔が少しだけ真面目になる。



「外国じゃ」



 部屋が静かになった。



 伊藤も。



 井上も。



 急に笑わなくなる。



「上海の話ですか」



 伊藤が聞く。



「そうじゃ」



 一拍。



「もっと見たいと思わんか」



 井上の目が変わる。



 山縣はそれを見逃さなかった。



 さっきまでの若者じゃない。



 何かを追う目じゃ。



「思います」



 井上が即答する。



「見なければ分からん」



 高杉が頷く。



 次に伊藤を見る。



「お前は」



 伊藤は少し笑った。



「思いますよ」



 一拍。



「ただ」



「長州のためになるものを持って帰りたいですね」



 部屋が静かになる。



 山縣は少し驚いた。



 昨日、


 自分が言ったことと似ていた。



 見て終わりじゃ意味がない。



 持って帰らなきゃ意味がない。



 高杉が笑う。



「そうじゃ」



「それでええ」



 そのとき。



 山縣は初めて思った。



(ああ)



(この人たちか)



 まだ若い。



 まだ未熟じゃ。



 口も達者。



 生意気でもある。



 でも。



 目だけは同じじゃった。



 高杉と。



 大村と。



 そして。



 あの日の自分と。



 知らないものを見たい目。



 その目だけは、


 間違いなく本物だった。



 窓の外では、


 春の風が吹いていた。



 世界はまだ遠い。



 だが。



 その世界へ向かう若者たちは、


 もうここにいた。

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