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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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5. 誰を行かせる?


【山縣視点】


 人を育てる。



 言うのは簡単じゃ。



 じゃあ。



 誰を育てるんじゃ。



 そこが問題じゃった。



 その日の夕方。



 山縣は高杉と大村の前に座っとった。



 机の上には紙。



 そして名前。



 何人かの若い者の名が書かれとる。



「なんですこれ」



「候補じゃ」



 高杉が言う。



「候補?」



「外国を見せる候補」



 山縣は紙を覗き込む。



 知らん名前が多い。



 その中で。



 一つだけ。



 妙に目立つ名前があった。



 伊藤俊輔。



「誰です?」



 高杉が笑った。



「面白いやつじゃ」



(雑だな)



 相変わらずじゃ。



「何がです」



「よく喋る」



「はい」



「生意気じゃ」



「はい」



「金が好きそうじゃ」



「はい?」



 高杉が笑う。



「じゃが頭は回る」



 山縣は紙を見る。



 全然分からん。



 その隣。



 井上聞多。



「この人は?」



「これも面白い」



 またそれじゃ。



「説明になってません」



 大村が少し笑う。



 珍しい。



「井上は行動する」



 一拍。



「考える前に動く」



「高杉殿みたいですね」



 高杉が吹き出した。



「確かに」



 部屋が少し和む。



 山縣はもう一度紙を見る。



 若い。



 みんな若い。



 自分と大して変わらん。



 いや。



 下手をすると年下もおる。



(この人たちが?)



 外国へ?



 そのとき。



「若いからじゃ」



 大村が言った。



 まるで心を読まれたみたいじゃ。



「年寄りは変わらん」



 一拍。



「若い者は変われる」



 静かな声。



 だが。



 妙に重い。



 山縣は少し黙った。



 確かにそうかもしれん。



 自分だって、


 去年の自分とは違う。



 功山寺の夜があった。



 奇兵隊があった。



 長州再建があった。



 人は変わる。



 特に若いうちは。



 そのとき。



「まあ」



 高杉が笑う。



「全員無事帰ってくる保証はないがの」



 部屋が静かになった。



 山縣も黙る。



 外国は遠い。



 船旅じゃ。



 病もある。



 事故もある。



 帰れないかもしれん。



 それでも。



 行かせる。



 そういう話を今しとる。



「だから」



 高杉が続ける。



「戻ってくるやつを選ばんとな」



 山縣は少し驚いた。



 昨日、


 自分が言った言葉じゃ。



 高杉は覚えとったらしい。



「見て終わりじゃ意味がない」



 一拍。



「持って帰ってこそじゃ」



 山縣は静かに頷いた。



 机の上には、


 未来の名前が並んどる。



 まだ誰も知らん。



 長州の若者たち。



 だが。



 もしかすると。



 この中の誰かが、


 日本を変えるのかもしれん。



 そんなことを、


 山縣は少しだけ思った。

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