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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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4. 外国を知っとる者、おるん?



【山縣視点】


 高杉の上海話は、


 思った以上に頭に残った。



 鬼じゃない。



 でも怖い。



 強い。



 そして。



 知らん。



 結局そこじゃった。



 知らん。



 だから知りたい。



 その気持ちだけは、


 はっきりしとった。



 翌日。



 山縣は大村の部屋に呼ばれた。



 いや。



 正確には、


 勝手に行った。



 最近、


 疑問ができるとここへ来る。



 良くない癖かもしれん。



 だが便利じゃ。



 大抵答えが返ってくる。



「長州で外国を知っとる者って」



 一拍。



「どれくらいおるんです?」



 大村は筆を止めた。



 そして。



 少し考える。



「少ない」



 終わりじゃった。



(少ないんだろうなとは思ったけど)



(もう少し何か)



 山縣が顔をしかめる。



 すると。



「数えるほどじゃ」



 大村が続けた。



「蘭学者」



「医者」



「長崎へ行った者」



「通詞」



 一つずつ指を折る。



「終わりじゃ」



 山縣は固まった。



「終わり?」



「終わりじゃ」



 部屋が静かになる。



(いやいやいや)



 長州藩じゃ。



 何十万石じゃ。



 人なんて山ほどおる。



 なのに。



 外国を知る者は、


 数えるほど。



(足りなくない?)



 そのとき。



「足りん」



 大村が即答した。



 顔に出ていたらしい。



「圧倒的に足りん」



 山縣は頭を抱えた。



 高杉が見た上海。



 あの世界。



 それを知る者が、


 長州にほとんどおらん。



 その事実が、


 妙に重かった。



 そのとき。



 障子が開く。



「おー」



 高杉じゃ。



 相変わらずじゃ。



「何の話じゃ」



「外国です」



「ほう」



 高杉は笑った。



「おらんじゃろ」



 あっさり言う。



「そんなもんですか」



「そんなもんじゃ」



 一拍。



「じゃが」



 高杉の顔が少し変わる。



「おらんなら作ればええ」



 山縣は顔を上げた。



「作る?」



「そうじゃ」



 高杉は当然のように言う。



「知っとる者がおらんなら」



「知る者を増やせばええ」



 大村も頷く。



「育てる」



 静かな声。



「それが一番早い」



 山縣は少し黙った。



 育てる。



 簡単に言う。



 だが。



 人は米みたいには育たん。



 時間がかかる。



 金もかかる。



 それでも。



 必要なんじゃろう。



 そのとき。



「山縣」



 高杉が呼ぶ。



「なんです」



「お前なら誰を選ぶ」



 突然じゃった。



「え?」



「外国を見せるならじゃ」



 一拍。



「誰を行かせる」



 山縣は固まる。



 考えたこともなかった。



 賢い者か。



 若い者か。



 武士か。



 町人か。



 しばらく考える。



 そして。



「戻ってくる人」



 気づけばそう答えていた。



 高杉と大村が、


 少しだけ目を見開いた。



「ほう」



 高杉が笑う。



「なんでじゃ」



「見て終わりじゃ意味がないからです」



 一拍。



「長州へ持って帰る人じゃないと」



 部屋が静かになる。



 山縣は少し不安になった。



(変なこと言ったか?)



 だが。



 大村が小さく頷いた。



「その通りじゃ」



 高杉も笑う。



「やっぱりお前は」



 一拍。



「人を見るのう」



 山縣は少し照れた。



 人を見る。



 そんなつもりはなかった。



 でも。



 長州が変わったのも、


 結局は人じゃった。



 その日の帰り道。



 山縣は空を見上げた。



 外国を知る者。



 これから育つ者。



 そして。



 海の向こうへ行く者。



(誰になるんかね)



 まだ名前も知らない誰かが、


 長州の未来を変えるのかもしれなかった。

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