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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
第3章 海の向こうは何しとるん?
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1.海の向こうは何しとるん?


35. 海の向こうは何しとるん?


【山縣視点】


 外国の話になると、


 急に分からん。



 長州の話なら分かる。



 城下。



 奇兵隊。



 兵糧。



 報せ。



 全部見える。



 でも。



 外国と言われると、


 急に霧がかかる。



(いや)



(知っとるよ?)



 知っとる。



 たぶん。



 黒船。



 ペリー。



 アメリカ。



 そのくらいは。



 でも。



(その先がない)



 どんな国なのか。



 何を考えとるのか。



 何が強いのか。



 全然分からん。



 その日の夕刻。



 山縣は、


 高杉と大村のいる部屋へ呼ばれた。



 嫌な予感しかしない。



(絶対ろくでもない)



 経験上。



 この二人が真面目な顔しとるときは、


 大体ろくでもない。



 襖を開ける。



 案の定じゃった。



 地図が広がっとる。



 しかも。



 長州じゃない。



(……でか)



 日本全体。



 いや。



 もっと外まで描いてある。



 海。



 島。



 見たこともない地名。



 山縣は、


 思わず地図を覗き込んだ。



「なんですこれ」



「世界じゃ」



 高杉が即答する。



(雑)



 いつも雑じゃ。



「世界って」



「世界じゃ」



(説明する気ないな)



 そのとき。



「こちらが清」



 大村が指を置く。



「こちらがロシア」



 さらに動く。



「こちらが英国」



 山縣は、


 地図を見ながら固まった。



(……遠)



 遠い。



 めちゃくちゃ遠い。



 なのに。



「全部、長州に来る」



 大村がさらっと言う。



(……は?)



 思わず顔を上げる。



「来る?」



「来る」



 大村は真顔じゃ。



「船で来る」



 一拍。



「商人も来る」



「兵も来る」



「学問も来る」



 静かな声。



 でも。



 妙に重い。



 山縣は、


 もう一度地図を見る。



 海の向こう。



 知らない国。



 知らない人。



 知らない言葉。



(……そんなの)



(分かるわけなくない?)



 そのとき。



 高杉が笑った。



「じゃろうな」



 完全に見抜かれとる。



「わしも分からん」



(え)



 山縣は目を丸くする。



「分からんのに偉そうに言ってたんですか」



「言っておらん」



 一拍。



「じゃから知りたいんじゃ」



 部屋が静かになる。



 高杉は、


 珍しく真面目な顔をしとった。



「知らん相手と戦うんは」



 一拍。



「馬鹿のやることじゃ」



 山縣は、


 思わず黙った。



 その言葉は、


 妙に納得できた。



 修学旅行のときもそうじゃった。



 外国人に道を聞かれた。



 でも。



 言葉が分からん。



 相手も分からん。



 だから。



 何もできんかった。



(同じか)



 知らんというだけで、


 立ち止まる。



 そのとき。



 大村が地図を指した。



「まずは知る」



 一拍。



「話はそれからじゃ」



 山縣は、


 ゆっくり頷いた。



 長州は見えるようになった。



 なら。



 次は、


 その外じゃ。



 海の向こう。



 まだ見えない世界。



 山縣は、


 地図の上に指を置いた。



(さて)



(何から知ればいいんかね)

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