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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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34.M 回り始めた長州 ―幕府の使者―



【幕府使者視点】


 筆が止まった。



 もう三度目じゃった。



 書いては消し。



 書いては考える。



 机の上の報告書は、


 まだ半分も埋まっとらん。



 宿の外では、


 雨が降っとる。



 静かな夜じゃ。



 だが。



 頭の中だけが騒がしい。



(なんと書けばいい)



 長州視察。



 状況確認。



 帰府後報告。



 本来なら簡単な仕事じゃった。



 危険か。



 安全か。



 従うか。



 逆らうか。



 それを書けばよい。



 だが。



 今度の長州は違った。



 筆を持つ。



 そして。



 書く。



 長州藩、


 依然として危険。



 そこまでは書ける。



 事実じゃ。



 高杉晋作は健在。



 藩論は幕府に従わぬ。



 兵も集まっとる。



 危険。



 それは間違いない。



 だが。



 その先が書けない。



(何が危険なんじゃ)



 高杉か。



 違う。



 あれほどの人物は珍しい。



 だが。



 高杉が消えれば終わるかと言われると、


 そうは思えん。



 大村か。



 それも違う。



 あの男は確かに恐ろしい。



 だが。



 あれ一人で長州が動くわけではない。



 筆先が止まる。



 脳裏に、


 あの部屋が浮かぶ。



 紙。



 帳面。



 報せ。



 人。



 そして。



 あの若い男。



 山縣。



 いや。



 山縣ですらない。



(あれは)



 人ではない。



 仕組みじゃ。



 流れじゃ。



 気づけば、


 筆が勝手に動いていた。



 長州においては、


 近頃、


 報せの流れが整い始めている。



 書いた瞬間、


 使者は眉をひそめた。



(なんじゃこれは)



 こんな報告、


 老中が読んで理解するじゃろうか。



 報せの流れ。



 そんなものが、


 国を脅かすとは思うまい。



 だが。



 自分は見た。



 武士が動く。



 百姓が動く。



 町人が動く。



 そして。



 誰も命じておらんのに、


 勝手に動き始める。



 あれは。



 正直、


 怖かった。



 そのとき。



 宿の障子が鳴った。



 風じゃ。



 使者は顔を上げる。



 雨はまだ続いとる。



 遠く。



 西。



 長州の方角。



(妙なことになった)



 そう思う。



 戦に強い藩は、


 今までもあった。



 金のある藩もあった。



 優秀な人物のいる藩もあった。



 だが。



 組織そのものが変わり始めた藩は、


 見たことがない。



 筆を置く。



 そして最後に、


 一行だけ書き足した。



 要注意。



 長州藩は、


 なお警戒を要する。



 一拍。



 その下に、


 小さく続ける。



 ただし。



 警戒すべきは、


 兵数にあらず。



 人材にあらず。



 流れにあり。



 書き終えたあと、


 使者はしばらく紙を見つめていた。



(伝わらんじゃろうな)



 思わず苦笑する。



 だが。



 それでも書かねばならん。



 なぜなら。



 長州で起きたことは、


 長州だけで終わる気がせんかったからじゃ。



 雨音が続く。



 その向こうで、


 時代は静かに動き始めていた。

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