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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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11.武士じゃなくてもええんか――それ、言うんわしなん?



 翌朝。


 集まった人数は、思ったより多かった。


 武士。

 足軽。

 町人。

 百姓。


 いつもより、空気が固い。


(……そりゃそうか)


 山縣は、小さく息を吐いた。


 今日は、選ぶ日じゃ。


 誰に“例外”を任せるか。

 誰に、“判断”を渡すか。


(……言うん、わしか)


 今さらながら、少し胃が重い。


 そのとき。


「どうした」


 横から声。


 ――高杉晋作。


 いつもの距離。


(だから近いって)


「いや」


 一拍。


「胃が痛いです」


 正直に言う。


 高杉が、ふっと笑う。


「ええのう」


(何が)


「生きとる感じがする」


(意味わからん)


 でも。


 少しだけ、肩の力が抜けた。



「始めます」


 山縣は、一歩前に出た。


 視線が、一気に集まる。


(……来た)


 思った以上に、重い。


(これ)


(文化祭の実行委員より、ずっと重い)


 当たり前じゃ。


(こっちは死ぬ)


 小さく息を吸う。


「これから」


 一拍。


「前に出る判断を、任せる者を決めます」


 ざわ、と空気が揺れる。


 でも、続ける。


「身分では決めません」


 場が、ぴたりと止まる。


(……来た)


 次の瞬間。


「待て!」


 予想通りの声。


 武士。


 年は四十ほど。


 前にも、藩の命かと食い下がった男じゃ。


「何を言う」


 一歩、前に出る。


「戦場の判断を」


 一拍。


「百姓に任せるつもりか」


 空気が、ぴりつく。


(……来るよね)


 山縣は、少しだけ息を吐いた。


 でも。


(ここ、逃げたら終わる)


「はい」


 短く答える。


 ざわ、と空気が揺れる。


「見えている者に、任せます」


 一拍。


「身分ではなく」


「見えているかどうかで決めます」


 沈黙。


 重い。


 その武士が、睨む。


「武士を差し置いてか」


(……そこだよね)


 山縣は、少しだけ考える。


(否定すると、崩れる)


(でも、譲ったら終わる)


 一瞬。


 昔の記憶が、ふと浮かぶ。


(……あ)


(これ、文化祭だ)


 三年の先輩が、前に立っとった。


 でも。


 材料も、時間も、誰が何をしとるかも、


 全部見とったんは、


 毎日最後まで残っとった二年の先輩じゃった。


 肩書きと、


 実際に回しとる人は、


 同じじゃない。


(……あのときと、同じか)


 その記憶が、背中を押した。


 山縣は、顔を上げる。


「武士だから、任せる」


 一拍。


「それで、勝てますか」


 場が、止まる。


 完全に。


「……」


 誰も、すぐに答えられん。


「逆に」


 静かに続ける。


「百姓だから、任せられない」


 一拍。


「その根拠は、ありますか」


 重い沈黙。


(……言った)


 胃が、きゅっとなる。


 でも。


(もう、戻れん)


 そのとき。


「おもろいのう」


 横から声。


 ――高杉じゃ。


「わしは、ええと思うぞ」


 にやり、と笑う。


「勝てる方がええ」


 軽い。


 でも。


 その一言で、空気が少し変わる。


(……ずるいなあ)


 全部、持っていく。


 そのとき。


「正しい」


 後ろから声。


 大村益次郎。


「兵は、身分で動くものではない」


 一拍。


「役割で動くものじゃ」


 短い。


 でも、崩れない。


(……強い)


 その一言で。


 武士の男が、少しだけ黙った。


 完全じゃない。


 でも。


(止まってない)


 山縣は、ゆっくり息を吐いた。


「では」


 一拍。


「最初の一人を決めます」


 視線を、群れの中に向ける。


 百姓。


 若い。


 でも。


 昨日、一番冷静じゃった男。


(……お前だ)


 山縣は、静かに名を呼んだ。


 その瞬間。


 空気が、また動き始めた。

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