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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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6.決めたら動ける――けど、それで全部うまくいくわけじゃないんよ

 再び動いたのは、その日の夕刻だった。


 今度は、迷いはなかった。


「前、出るぞ!」


「了解!」


 声が通る。


 昨日と同じ声。

 でも、違う。


(止まらん)


 山縣は、すぐにそれを感じた。


 “間”がない。


 あの一瞬の迷いが、消えとる。


(……効いとる)


 決めた。


 誰に従うか。


 それだけで――


 流れが、途切れん。


「散れ!」


 声が飛ぶ。


 今度は、ぶつからない。


 同じ方向に、動く。


(揃っとる)


 完全ではない。


 でも。


(前より、ずっといい)


 そのとき。


 ――音。


 昨日と同じ、乾いた音。


 でも。


(……来る)


 今度は、分かる。


「伏せろ!」


 声が出る。


 反応が、早い。


 動きが、揃う。


(……いける)


 昨日より、明らかに違う。


 止まらない。


 流れが、続く。


(回っとる)


 山縣は、そう思った。



 だが。


「前、出ろ!」


 高杉の声。


 短く、強い。


 全体が、それに従う。


(……速い)


 判断が。


 でも。


(速すぎないか)


 一瞬、引っかかる。


 前に出る。


 揃って。


 強く。


 ――出すぎる。


「……っ!」


 前列が、崩れる。


 音。


 悲鳴。


(……近い)


 距離が、詰まりすぎた。


(これ)


(押しすぎた)


 山縣の中で、すぐに繋がる。


(判断が一つだから)


(止まらない)


(でも)


(止められない)


 さっきまでの利点が、裏返る。


(……これ)


(危ない)


「下がれ!」


 思わず叫ぶ。


 でも――


 一瞬、遅れる。


 高杉の指示が先にある。


(……あ)


 迷いではない。


 でも、ズレる。


 その一瞬で、流れが歪む。


(一本すぎる)


 山縣は、歯を食いしばった。


(柔らかさがない)


 判断が早い分、修正が効かん。


(これじゃ)


(押し切るか、崩れるか)


 どちらかになる。


 そのとき。


「横に回れ!」


 別の声。


 振り向く。


 大村益次郎。


 短い。


 でも、的確。


 数人が動く。


 流れが、少し変わる。


(……あ)


(逃げ道)


 前だけじゃない。


 横。


 分散。


(これなら)


 押し切らない。


 でも、崩れない。


 山縣は、すぐに声を出す。


「左右に分かれろ!」


「正面だけ見るな!」


 今度は、通る。


 少し遅い。


 でも、間に合う。


 流れが、整う。


(……戻った)


 完全ではない。


 でも。


(崩れてない)



 どれくらい経ったか。


 気づけば、相手は引いとった。


 静けさが戻る。


 息が、荒い。


(……終わった)


 今度は、少しだけ実感がある。


 山縣は、その場に立ったまま、ゆっくり息を吐いた。


(……回った)


 昨日よりは、確実に。


 でも。


(……危なかった)


 さっきの前進。


 あれは。


(行きすぎた)


 そのとき。


「どうじゃ」


 横から声。


 ――高杉晋作。


 いつもの顔。


 でも、少しだけ血がついとる。


(……この人)


「回ったか?」


 一拍。


 山縣は、少しだけ考えてから答えた。


「……回りました」


 短く。


「でも」


 そこで止める。


 高杉が、にやりと笑う。


「でも、なんじゃ」


(分かってて聞いてるよね)


 山縣は、小さく息を吐いた。


「止まらなすぎます」


 一拍。


「押しすぎます」


 静かに言う。


 高杉は、少しだけ目を細めた。


「ほう」


 興味がある顔。


「悪いか?」


(……そこなんだよ)


「場合によります」


 山縣は答える。


「押すときは強いです」


「でも」


 一拍。


「止めるのが遅れます」


 少しだけ、間。


 高杉は、ふっと笑った。


「ええじゃろ」


 軽く言う。


「止まるよりは」


(……まあ)


(それはそう)


 でも。


(それだけじゃ足りない)


 そのとき。


「速さと、調整は別じゃ」


 後ろから声。


 大村益次郎。


「今のは、速さだけじゃ」


 一拍。


「次は、止め方を作れ」


 短い。


 でも、はっきりしている。


(……止め方)


 山縣の中で、言葉が残る。


(動かすだけじゃない)


(止める仕組み)


 そこまで必要になる。


 山縣は、ゆっくり息を吐いた。


(……終わらん)


 回すだけじゃない。


 整えるだけでもない。


(次がある)


 そう思った。


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