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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
2.回し続けられるんかいね?Σ(´д`;)?
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5.迷わせんために、決めるんじゃろ



 翌朝。


 空気は、まだ重かった。


 昨日の余韻が、そのまま残っとる。


 声は出る。

 人も動く。


 でも――


(迷っとる)


 山縣は、そう感じた。


 ほんの一瞬の“間”。


 あれが、消えてない。


(あそこが止まる)


 昨日、何度も見た。


 どちらに従うか。

 どう動くか。


 その一瞬で、流れが切れる。


(……前提がない)


 大村益次郎の言葉が、頭に残る。


「考えさせるな」


(……それ)


(分かるけど)


(どうやって)


 山縣は、少しだけ考え込む。


(命令を一本にする?)


 頭に浮かぶ。


 でも、すぐに止まる。


(それ、前にやった)


 高杉に集める形。


 あれは、回った。


 でも――


(今回のは違う)


 現場が広い。

 状況が変わる。

 全部を一人で見るのは、無理。


(じゃあ)


(分ける?)


 そこまでは、今までと同じ。


 でも。


(それだけじゃ足りん)


 “どっちに従うか”が、まだ残る。


 山縣は、ゆっくり息を吐いた。


(……何を決める)


 数秒。


 考える。


 そのとき。


「迷っとるのう」


 横から声。


 ――高杉晋作。


(だから近いって)


「……はい」


 素直に答える。


「どうすりゃええ」


 にやり、と笑う。


(いや、それ聞く?)


 でも、今は違う。


(さっきまでと同じじゃない)


 山縣は、視線を上げた。


「決めます」


 短く言う。


「何を」


 一拍。


「“誰に従うか”を」


 空気が、少し変わる。


 高杉が、目を細める。


「ほう」


「組の中では、責任者に従う」


「これは変えません」


 一拍。


「問題は、その上です」


 視線を、全体に向ける。


「誰の指示が優先か」


「これを決めます」


 静かに言う。


(そこが曖昧だった)


 だから、止まった。


「この場では」


 一拍。


「高杉晋作の指示を最優先にします」


 ざわ、と空気が揺れる。


 武士の顔が、動く。


(来るな)


「藩の命は?」


 予想通りの声。


 低い。


 重い。


 山縣は、少しだけ間を置いた。


(ここ、逃げたら終わる)


「この場では」


 はっきり言う。


「考えません」


 空気が、一瞬で張る。


「戦の最中に」


「どちらが正しいか、考えさせる方が危険です」


 一拍。


「だから」


「ここでは、一本にします」


 沈黙。


 重い沈黙。


 だが。


(さっきより、揺れてない)


 逃げ場がない分、止まらん。


 そのとき。


「ええじゃろ」


 軽い声。


 高杉が、前に出る。


「わしに従え」


 さらっと言う。


「全部、わしが決める」


 一拍。


「責任も、全部わしじゃ」


 静かに。


 でも、はっきりと。


 空気が、変わる。


(……来たな)


 山縣は、そう思った。


(これが前提か)


 命令ではない。


 でも。


 責任が、一本に集まる。


 だから――


(迷わない)


「……」


 武士が、黙る。


 完全には納得してない。


 でも。


(止まらない)


 そのとき。


「それでええ」


 後ろから声。


 振り向く。


 大村益次郎。


「戦は、速さで決まる」


 一拍。


「正しさではない」


 短く言う。


 その一言で、空気が固まる。


(……強いな)


 山縣は、そう思った。


 理屈じゃない。


 でも、崩れない。


 山縣は、静かに息を吐いた。


(……これでいく)


 視線を、全体に向ける。


「各組」


 声を出す。


「責任者の指示に従ってください」


「判断に迷った場合は」


 一拍。


「上を見ないでください」


 少しだけ、間。


「近い指示に従ってください」


 流れが、少し動く。


(……いける)


 完全じゃない。


 でも。


(止まらん)


 それだけで、十分じゃ。


 そのとき。


「ほれ」


 肩を叩かれる。


(だから近いって)


「ええ顔しとるのう」


 高杉が笑う。


(なんの評価?)


 でも。


 さっきより、少しだけ分かる。


(この人)


(最初から、ここまで見てたな)


 山縣は、小さく息を吐いた。


(……回す)


 今度は。


(迷わん形で)

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