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それ、ほんまに回るんかいね?……わし、なん?σ (°ロ°)?!!  作者: AZtoM183
1.それ、ほんまに回るんかいね?……わし、 なん? σ (°ロ°)?!!
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10.納得せんのは、見えとらんだけじゃろ


 その日の夜。


 火のそばで、山縣は一人考えとった。


(勝ったのに、終わらん)


 昼間のやり取りが、頭に残っとる。


 速さは出た。

 結果も出た。


(でも、納得してない)


 あの顔。


 武士の連中の、あの引っかかり。


(“負けた”って思ってないんよね)


 ただ“やり方が違う”くらいにしか見えてない。


(そりゃ揉める)


 結果が、ちゃんと“見えてない”。


 だから、評価にならん。


(……見えるようにするか)


 ぽつりと、そう思った。


 ――そのとき。


「何を考えちょる」


 軽い声。


 振り向かんでもわかる。


 ――高杉晋作じゃ。


「……納得です」


 短く答える。


「昼のやつか」


 どさっと、隣に座る。


 ――近い。


(だから近いって)


「結果は出ました」


「でも、納得してません」


 一拍。


「このままだと、また揉めます」


 高杉は、ふん、と小さく鼻を鳴らす。


「揉めりゃええ」


(いや、よくない)


「それでも回るならな」


(いや、回らなくなるって)


 山縣は、小さく息を吐いた。


「回すために、納得が要ります」


 静かに言う。


「そのためには」


 一拍。


「見えるようにする必要があります」


 高杉が、少しだけ目を細めた。


「見える?」


「はい」


 頷く。


「誰が、どれだけ動いたか」


「どの組が、どれだけ早く終わらせたか」


「全部、出します」


(数字……はないけど)


(まあ、近いことはできる)


「それを見れば」


「誰が上か、自然にわかります」


 高杉は、少し黙る。


 火の音だけが、ぱち、と鳴る。


 そのあと――


「おもしろいのう」


 口元が、ゆっくり歪む。


「比べるわけか」


「はい」


 短く返す。


「比べれば、言い訳できません」


 一瞬の間。


「……ええじゃろ」


 あっさり言う。


「やれ」


(またそれ)


 でも、もう慣れた。


(はいはい、やりますよ)


 山縣は、立ち上がった。



 翌朝。


「これからは」


 山縣は、全体に向けて言うた。


「組ごとに、動きを記録します」


 ざわ、と空気が動く。


「どれだけ早く動いたか」


「どれだけ正確だったか」


「全部、見えるようにします」


 顔が、変わる。


 さっきまでとは違う反応。


(来たな)


 これは、わかるやつ。


「なんでそんなことをする」


 武士の一人が、眉をひそめる。


「決めるためです」


 山縣は、はっきり言う。


「誰が、上か」


 一拍。


「結果で決めます」


 ざわ、と音が広がる。


 今までと違う。


 “基準”が出た。


(そう)


(ここが必要だった)


「……」


 あの武士が、黙る。


 少しだけ考える顔。


「……それで、上が決まるんか」


「はい」


 短く答える。


「身分ではなく」


「結果で」


 静かになる。


 今度は、さっきよりも反発が弱い。


(逃げ道がない)


 結果が出るなら、言い訳ができん。


 そのとき。


「ええのう!」


 高杉が、いつもの調子で笑う。


「競争じゃな!」


(いや、まあ、そうだけど)


「一番ええとこが上!」


 声を張る。


「わかりやすい!」


(雑だけど、伝わる)


 周りが、少しずつ動き始める。


 空気が変わる。


(……変わった)


 さっきまでの“もやもや”が、少し薄れた。


 代わりに。


(やるしかない空気)


 が、できた。


 山縣は、静かに全体を見る。


(これで)


(やっと、揃う)


 仕組みだけじゃなく。


 納得も。


(……回るな)


 今度こそ、そう思えた。


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