39-12
時は遡り――ハジメがヴァンハイトから依頼を請けてメロワに赴いた当日。
生命としての終焉に刻一刻と近づくベッドの上の老人、ヴァンハイトは涙を流してハジメに訴える。
「私が愚かだった……まだ恋もしたことのない孫の未来が潰える段階になるまで、己の愚かさに気付かなかった。忘れていた。その報いを……子に与えるなど」
転生特典として生まれた、ヴァンハイトを絶対に愛する花の妖精の伴侶。
彼がいつの時代から転生してきたのかは定かではないが、元の世界とこちらの世界の時間軸の繋がりはあってないようなものだ。気に留めることでもない。
ハジメはヴァンハイトの同情を誘う言葉を無言で聞いていた。
この男は意図して同情を誘っている、と、ハジメの長年培った冒険者のカンが告げる。目的の為ならば演技でも虚偽でも駆使する世界での生き方が身に染みている。
なので、話の内容自体は理解できたがハジメは彼に対して何も思う所はなかった。
ヴァンハイトが自ら望んで辿り着いた結果で、しかも手遅れ。
ハジメが思う事があるとすれば、そんな男の下に生まれた娘と孫の不幸のみだ。
と――ハジメの脳裏に突然言葉が響いた。
『失礼ながら、我々は十三円卓議会の手の者に監視されています。なので正確な案件は妻の私が夫の意を汲んでお伝えします』
(ロッティ……か?)
ヴァンハイトの寝そべるベッドの隣の椅子に座っていたロティターニャ・サヴァリーは、ハジメの視線に無反応で、あくまで夫を介護する貞淑な妻として振る舞っている。しかし、響く声はロッティのそれだった。
(こちらの声は聞こえるのか?)
『私は妖精の力で主人と念話できますが、主人以外となると条件が必要で、貴方には一方的に語りかけるのが限界です。話が理解できましたら右手の薬指を、出来なかったら左足の踵をほんの少しだけ動かしてください。拒否の場合は主人の言葉を強引に遮ってご退出を』
(なるほどな。元十三円卓だけあって、十三円卓のやることは手に取るように分かるか)
ハジメも誰かに監視されている感覚はあったし、元円卓にハジメが出会うのだから監視がつく理由など幾らでも想像出来る。ヴァンハイトとしても依頼内容を円卓に知られたくないので互いに迂闊なことは言わないでおこうということだろう。
ヴァンハイトは泣き言をつらつら並べ続けている。
如何にも散り際のみっともない男の振る舞いを貫く腹づもりのようだ。
ハジメはさりげなく、ゆっくりと右手の薬指を動かした。
サインが微妙に分かりづらい部位を指定しているのは、千里眼の類で覗かれていた場合に分かりやすいサインでは意思疎通が露呈するからだろう。
サインさえバレなければ念話やテレパス、通信はまず他者に傍受されない。絶対に安全な訳ではないだろうが、そもそもこの世界だと念話の類の存在すら知らない人間の方が多いので、それを傍受する技術は余りにもニッチすぎる。ヴァンハイトの読みでは【影騎士】にそうしたニッチ極まる人材はいないと判断したのだろう。
ロッティはハジメに多くのことを伝えた。
ヴァンハイトは十三円卓議会で知り得た機密に類する情報を絶対に他人に伝えられない。念話、筆記、読唇術、手話など方法は関係なく、伝えること自体ができない。十三円卓議員になった人間にはそういう呪いがかけられる。
十三円卓もそのことは理解しているし、ゴーストチルドレンの性質もよく理解しているのでこの依頼が実現不可能で情報が漏れることはないと知っているが、ハジメが絡むこととヴァンハイトの認知機能の低下、ないし老練の知恵を警戒しているらしい。ベッドには既に瞬時にヴァンハイトを殺害出来る儀式魔法が仕掛けられているし、狙撃手も配置済みだという。
しかし、転生特典として創生されたロッティには「言葉がなくとも夫の意をすべて汲むことが出来る」という設定を付与されているため、ヴァンハイトが伝えたいことをロッティは全て知っている。
これは在任期間中も「妖精のカン」で隠し通した――むしろその伏せ札があったから十三円卓まで上り詰められた面もあるらしい――ため、十三円卓議会も知り得ない偶然の呪いの抜け道であったようだ。
(つまりこのジジイ、伝えようとは思わずにそうなったらいいなで無理矢理思考を止めることでロッティに情報を伝えつつ呪いを回避し続けてきたのか? もしそうだとしたら妖怪の類だな……)
経緯はどうあれその道の頂まで登り詰めれば人並み外れた能力のひとつくらいは身につくもの。ハジメはヴァンハイトの精神力にだけは内心で素直な称賛を送る。
同能力はロッティの一人娘、及び孫にもある程度は遺伝している。
よって、ヴァンハイトの意の下にこの三人のいずれかの協力があれば、ヴァンハイトが提示した「十三円卓議会の機密情報を渡す」という目標は達成される。ただし、ロッティは言わずもがな娘と孫は《《消える方のゴーストチルドレン》》であり、彼女たちはヴァンハイトの死後は消えてしまう。
ロッティは既に十分すぎる時を生きたためこれ以上は望まないが、娘と孫にはせめて人並みの人生があってほしいと願っている。これはヴァンハイトも同じ思いだ。
その一方でヴァンハイトは娘や孫の命の保証が確約されるまで十三円卓議会の情報を漏らすよう望まないことで依頼に保険をかけている。抜け駆けも後で約束を破るのも、ヴァンハイトと彼女たちの事情を考慮すれば不可能。情報を得るには彼女たちが消え失せないようにしてヴァンハイトの依頼を達成するしかない。
そうすれば彼の最期の未練は断ち切られ、ゴーストチルドレンは消えずに済み、ハジメは報酬を得られる。
(命を盾にしてきたか……万一洗脳されても、命令や誘導されて答えた時点で呪いは発動。呪いがなくとも不審な動きが続けば十三円卓の刺客に殺される。耄碌したフリをして刺客すら利用した三重の安全装置とはな。老獪にも程がある、が――)
ハジメはこの依頼を請けるつもりだった。
理由のひとつは、これは正しい依頼であり、恐らくハジメ以外に依頼して成功率が上昇することはまずないから。
ゴーストチルドレンを助ける術があるのであれば見つけた方がよい。助けられる命を前に何もしないのはハジメとしては正しくないし、自分である必要性が高いのは彼が依頼を請ける際に考慮する条件のひとつだ。
もうひとつの理由として、この依頼は成功すれば貴重な情報が手に入る上に失敗した際のリスクが殆ど無い。元々が無茶な依頼で、ヴァンハイトもダメ元だろうからだ。せいぜい「死神に人が助けられる訳がない」と嘲笑の後ろ指を指される程度だろう。
ゴーストチルドレンを助ける術に関しては、以前にウルが個人的に研究をしている風な口ぶりだったので彼女を頼ってみるつもりだ。
ただし、仮にそれが上手く行ったとしてもひとつだけ問題があった。
『孫娘のフーリヤが、夫亡き後の人生に全く興味を示さないんです』
フーリヤとはヴァンハイトと話す少し前に家で出くわして顔合わせ程度はした。
彼女は顔こそのんびりしている風だったが、急いでいるからと風のようにどこかへ外出してしまったので人となりはまったく分からない。ロッティは困った孫だとばかりに頬に手を当てた。
『夫に「自由な人生を送って欲しい」と言われても「ならグランパと一緒に消えるのも自由だ」って言って当然のように言ってこちらの説得に聞く耳を持たず……昔からこうと決めたら動かない所はありましたけど、夫が一番心配しているフーリヤが頷かないことには娘――つまり私の娘も自分だけ生き残るとは言えない、と。家族はフーリヤの未来が続くことを望んでいるのですが……』
フーリヤに未来が欲しいのはヴァンハイトの本心だろう。
しかし、孫娘が自らを慕い自分の為に動いてくれることが嬉しいという感情も事実。これは消し去ることが出来ない。気持ちが強い弱いの問題ではなく、相手を愛する以上は必然的にゼロにできない感情だ。
フーリヤはヴァンハイトの自我よりも抑圧された本心の一部分を優先してしまっているのかも知れない。
つまるところ、孫のフーリヤを説得できなければ妖精達は全員ヴァンハイトと運命を共にし、救う方法があったとしてもこの世に留まらない。これでは依頼は成立しない。故に、ハジメは説得でき次第請けるという形で依頼を保留せざるを得なかった。
一応、その後ハジメはフーリヤの父母――ヴィロヌとフルーシェと面会してあれこれフーリヤを説得する材料について話をした。二人もフーリヤを説得出来ずに困っているようで、前向きに話をしてくれた。特にヴィロヌの狼狽ぶりは凄まじく、一度に妻と娘を失うかも知れない恐怖と不安から頬がこけるほど痩せていた。
「元々こけてます」
「そうか。勘違いしてすまない」
フルーシェは「こけ具合が4ミリも深まって……」と心配そうに頬を指でなぞっていた。心配しているのはいいが、心配の仕方が微妙にコミカルなので緊張感が抜ける。ヴィロヌとしてはそんな妻の天然なところも今は辛いようだ。
二人は監視のことは既に知っているため、盗み聞き対策に「このままでは彼女はヴァンハイトの死に目に間に合わず父が可哀想」という言い方をしていた。ただ、その甲斐もなく修理不能とされた風車塔の鐘の音を修理していることくらいしか手がかりになりそうな話は出てこなかった。
それもまたヴィロヌにとっては「父親の言葉が届かない」と自分を責める要因になっているようだった。
この調子では、仮に風車塔を金に物を言わせて修理できても彼女の心は別の「尽くす行動」に流れるだけかもしれない。根本的に彼女に自分の人生について考えさせなければ頑固者は意見を変えないだろう。
フーリヤがこうなったのは殆どヴァンハイトのせいだ。
政治の頂点に近い位置まで上り詰めた男が今際の際で己の業に苦しめられる様を見ると、ハジメは人のちっぽけさを垣間見た気にさせられる。
(円卓に上り詰めても、人間はどこまでも人間か……それが良いことか悪いことかは、俺には分からんな)
――と、そんなことを思っていたハジメの前にひょっこり現われたのは、件のフーリヤと隣り合って歩いているショージであった。
後ろにはロッティの姿もあり、二人をにこにこ笑いながら見つめている。
ハジメの目から見てもフーリヤは美女に分類される容姿だが、ショージは不思議な事にそれをじろじろ見たり鼻の下を伸ばすこともなく適切な距離を保っている。そして、ハジメとは殆ど言葉を交わさなかったフーリヤはショージと普通に会話をしていた。
話を聞いてみると、全くの別件で偶然にもフーリヤを職場に復帰するよう説得する流れになったショージは大風車の修理の手伝いをしているらしい。ところがこの修理がビルダー能力をかなり伸ばしたショージをして困難で、音の絡繰の謎が解けないことには完全修理が難しいという。
ハジメは会話をしながらショージとフーリヤの様子を気取られぬよう静かに観察していた。
ショージは童貞めいた普段の挙動不審とは違う自然な動きでフーリヤに近づかれ過ぎないよう距離を保っているが、フーリヤはその反応に納得していないことや彼の協力で進展のなかった修理が前進したこともあって、ショージが気にかかっている様子が見て取れた。
フーリヤは世間では蝶よ花よと育てられた評判の良い美しい娘で、人に避けられたり雑に扱われたことなど殆どない筈だ。サヴァリー家の令嬢でもあるが社交界とは無縁なのも人当たりの良さに繋がったようで、そんな人間を雑に扱う方が逆におかしなことである。
ところが、ショージは理由は分からないがフーリヤに対してよく言えばフランク、悪く言うと雑な対応をしている。この「普段との反応の違い」が逆にフーリヤの心を動かしているのではないだろうか。
ショージはフーリヤの命の刻限を明らかに知らない。だからこそ、説得しようとあれこれ考える人間からは絶対に出てこない言動が飛び出す。それによってフーリヤがヴァンハイト以外の存在に思考を割く状況が生まれている。
更に、ブンゴを呼んで手早く解決する案をショージが即座に蹴ったとき、フーリヤの心が少しショージの側に傾いた気がした。
(今のは意地っ張り仲間を発見して親近感が沸いた、とかか?)
とどめのようにショージから放たれたのが、別れ際の「また明日」だ。
このとき、フーリヤの心が明らかに死と関係性の終わりを意識して揺れた。
(これは……下手に触れずに何も知らないショージに任せた方がいいかもしれん。あいつの自然体が逆にフーリヤの心を動かしている。まるで『北風と太陽』だ。家族の説得という強風では心が動かなくとも、自分の内から湧き出た感情は突っぱねられない)
ロッティも孫娘の揺れる心を察したのか、二人を見る目は優しかった。
その日の晩、盗み聞き対策をしつつウルに通信で要件を伝えると同時にショージとフーリヤの件と自分の考えを伝えてみると、彼女も意見に賛成してくれた。
同時に「ハジメさん、他人の恋路分かるんだ!!」と言われてしまった。
「いや、恋路の段階には至っていないように思うのだが……」
『分かってないなぁハジメさんは! 最初はそんなつもりじゃ……ってのもお約束のひとつでしょうがバカチンがぁ!!』
……しばらくウルの願望に近い恋愛論に付き合わされたハジメであった。
閑話休題。
フーリヤの事情を知らないショージから彼女へぶつけられる言葉は、自分の消滅をなんでもないことのように捉えていたフーリヤに終焉のなんたるかを少しずつ自覚させていった。
更に、ショージと共同で物事を行なうことで彼女の独りよがりな行為は段々と道を逸れ、最終的には沢山の人間が関わるムーブメントと化した。これによって「ヴァンハイトの為に自分が尽くす」という狭く閉じた行動が、より広い外の世界へと引きずり出される結果となった。
ヴァンハイトはもはやいつ意識が途切れても不思議ではない状態だったが、孫娘を説得できるかもしれないという情報が命を繋ぎ止め、大風車修復に全力を尽くすショージとの自覚のない共闘によって僅かな時間を絞り出した。
3時間――彼女の心を変える最期のタイムリミット。
彼女はそこで、初めて自身の未来のための行動をした。
結果的にハジメの采配は最良に近い方へと状況を導いた。
ショージは知らず、不動だった筈の山を動かしたのだ。
「――それはまぁ、なんかむかつくけど分かった。ほんで、コレはなんで復活したわけ?」
「コレ扱いはひどくないかなぁ」
仮にも数日前に死を悼んで号泣した相手であるフーリヤを雑に指さしてコレ呼ばわりするショージは目が据わっている。結果を見れば最後までいいように利用され尽くしたことになるので怒るのも無理のないことだが、ハジメとしてはショージに依頼の成否を完全に委ねていたので正直に答える。
「愛の力じゃないか?」
「やだショージったらぁ、そんなに私のこと大切にしてくれてたんだぁ」
「おめーよぉ……!!」
フーリヤはによによと嬉しそうにショージを指でつつくが、ショージは納得できない思いが強いのか「やめい!」と手で防いでいる。
愛の力は流石にウルの受け売り過ぎたか、と、ハジメは発言を訂正する。
「実際、あの種は本当に芽吹くのか、フーリヤの復活に繋がるのかは完全に未知数だったからな。全部推論になる。先に説明しやすい方からいこう」
――実のところ、フーリヤの母であるフルーシェに関しては意外なほど早く消えずに済む方法を発見出来ていた。
それが、魔術的な契約である。
強力な契約はそれだけ魂を縛る力が強く、一度結ぶと滅多なことでは解約できない。どちらかが優位の契約であったとしても、繋がりは双方に及んで影響をもたらす。故に、契約の術を持つ魔の者や神獣たちは簡単には契約を結ぼうとしない。
ハジメもウルに手ほどきを受けたおかげで魔術的な契約書を経由することで『インスタンツサモン』を使用できるが、自力で契約書を作るのはまだ難しい。一度きりの使い捨て契約であっても今のハジメでは契約書なしに発動できないほど契約とは複雑で難易度が高い。
つまり、魔王など関係なくそんな契約魔法を平然と扱えるウルの存在は異常であり、彼女がいたからこそフルーシェは消滅の運命から解放された。
否、解放というのは正確ではない。
フルーシェと夫のヴィロヌを契約で強固に繋げることで散逸する情報の補完を行なったため、結果としてフルーシェはこれから一生夫のヴィロヌに縛られて生きることになる。
後でヴィロヌがDV夫になっても蛙化してもボケて介護が必要になっても、フルーシェは一生彼を見捨てたり遠い地へ逃げることはできない。ヴィロヌもそれは同様だ。なので、これは契約というより呪いに近い。
逆を言えば、それほど強固な契約でなければ消滅の運命にある魂を留めることは出来なかった。
「ウル曰く、散逸する筈の情報を強引に押し止めているだけらしい。もしヴィロヌが死んだ場合、フルーシェは結局消滅する。何らかの特殊な効果により契約が強制破棄されることがあっても消滅する。幸い二人は合意したがな」
「村に匿ったのは、十三円卓にバレるとマズイからか?」
「そうだな。とはいえ十三円卓は情報漏洩について確信はないだろうから、どちらかといえば消滅する筈の人間を留める術について興味を持つか、或いはその方法が国のリスクとなる可能性に警戒心を抱くだろう。最悪の場合、放っておくと二人とも拉致・監禁・拷問され、用済みになるまで利用されるかもしれん。だからフルーシェは表向き死んだことになっているし、ヴィロヌは妻の死後、遺書を遺して着の身着のまま山に消えたことになっている」
「おうふ、情報のカロリーが高い……」
「生きていくのって大変だね……」
ショージもそうだが、フーリヤも流石に自分の両親に関わることなので神妙に話に耳を傾けていた。
二人の身分の偽装についてもウルは考えており、二者間の契約の際に過去のヴィロムとフルーシェが現在の姿とイメージにおいて一致しづらくなるようなさりげなく地味な効果を色々付与している。なので、村では問題なく生活できるし、外から彼らを知る誰かが来ても簡単には気付けない。
「いずれにせよ、戸籍上は既に二人とも死亡として扱われたことは確認している。今の二人は新たな転生者と転生者の連れてきた特典の女性という扱いになっている。気持ちの良い内容ではないがそれが一番不審がられないからな」
「最初から不審者みたいなもんだから、まぁそれ以上深掘りしないわな」
「ショージそれ自分にも刺さってなぁい?」
「自覚ありますぅー」
自覚はあるようでなによりである。
とはいえ、これで二人は過去の経歴や生活、人間関係の全てを捨て去ったことになる。最愛の妻をこの世に留められたヴィロムだが、死を偽装する都合上すべての財産をも失ってヴァンハイトからも相続もない。故に村……というよりハジメが彼らの生活の面倒を見ることになっている。
消滅回避の代償としてはまだマシな方なのかもしれないが、決して軽いとは言えないものを彼らは失った。
「では本題に入ろう。フーリヤ復活の絡繰についてだが……彼女は結局自分の消滅自体は受け入れていた。だが、同時に消滅後のことについて本人なりに考えていた」
「じゃあそこからは本人が説明を引き継ぎまぁす」
「任せる」
暢気にハイハイと手を挙げるフーリヤは、任せられるとにへら、と笑う。
「たぁくさんの命に魂をギュッとしました!!」
「説明になってねぇ!!」
「うん。やっぱり俺が説明する」
ハジメの掌返しにフーリヤはちょっと不満げだったが、あの説明で分かれという方が無茶である。




