表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色ノ魔女  作者: マメ電9
第一章 灰色から虹色世界へ
34/75

第三十三話 初戦闘

観客が歓声を上げる中。

ジェイトもそこに混じっており、観客席からシロナを見守っていた。


すると後ろから


「ジェイト!」


と呼ぶ声がするので振り返ってみると、血相を変えたポルクとエレティナが、人混みをかき分けて駆け寄ってくる。


「ジェイト!これってどういう事なの?!なんでシロナが??!」


ポルクはジェイトの服を引っ張りながら訴える。


「まぁ、ちょっとな‥‥それより何でこの事を?他の魔物共もそうだけどよ‥‥どっからこの事聞きつけてきたんだよ」


驚き、呆れ顔でエレティナは

「え??知らないの??街じゃもう大騒ぎなのよ?!」


と言ってきた。


ジェイトは昨日から外に出ておらず、外の状況は一切知らなかったのだ。


「今朝、街中にビラが配られたんだよ!ほらっコレ見て!」


ポルクが1枚の紙を渡してきた。

読んでみるとそれには‥‥。


闇精霊術師、人間シロナVS魔軍騎士団長スカーレット

による公開戦闘


と書かれていた。


魔軍兵の誰かが外部へ情報を漏らし、噂好きの魔物が言いふらしたのだろう。


人間見たさもあると思うが、スカーレットは3年前に騎士団長へ昇格したばかり‥‥。

魔物と人間のハーフという事もあって、中々魔物共には認めてもらえなかった。


しかし、この世は弱肉強食。

化け物並みの強さを持つ彼女に、勝てる者など今まで存在しなかったことから、最近は魔物にも、受け入れて貰えるようになったのだ。


その強さを一目見ようと、これだけの魔物が集まってるに違いない‥‥。


弟の俺でさえ、姉貴には勝てた事が無いのだから‥‥


この勝負‥‥シロナにとって結構キツイもんになるな‥‥。


「‥‥‥‥姉貴‥‥。」


ルークも魔軍兵に連れられ、関係者席の前の方に座らされた。

ここからじゃ、遠くて表情が上手く見えないが‥‥きっとアイツも不安で押し潰されそうになっているに違いない‥‥。


ルークの近くにモノンも座り、



開始のゴングが鳴り響いた!





スカーレットは戦闘態勢に入り、剣先を私に向ける。

しかし、私は迷っていた。


出来れば戦いたくない。


誰かを相手にするのも初めてだから、加減が分からないのだ。

それに、私の愛用武器は短剣。


渡されたのは重めの直剣だから、本当に加減が無理だ‥‥。

剣の振り方は学んだから、振り方がわからない訳では無いけど‥‥。


何とか穏便に済ませる方法はないのか‥‥?


私は、直剣を持ったままジリジリと後退した。


「弟ジェイトから武術を習ったそうじゃないか?。‥‥まぁ、別に剣一本勝負じゃなくてもいいぞ。魔法も使っても構わない。‥‥あと‥‥


精霊術‥‥とかな」


「弟?!あんた‥‥ジェイトのお姉さんなのか?!」


衝撃的事実!


あの、のらりくらりのジェイトの姉?!

性格が姉弟でこんなにも違うのか?!

確かに‥‥髪色も同じ赤。


「あぁ、そうだ。言っておくが‥‥私はジェイトの様には甘くないぞ‥‥。いざ、尋常に‥‥勝負!!」


先にスカーレットが前に飛び出た。

私は咄嗟に背を向け走り出す。

そして、何とか説得を試みた。


「ちょ!ちょっと待て!!私はあんたと戦いたくない!!は、話を聞いてくれないか?!」


しかし、スカーレットは聞く耳を持たない。

「問答無用だ!!人間!!」


ちょこまかと逃げる私を追うのをやめ、スカーレットは右手を突き出し魔力を練り始めた。

左耳についている魔具が反応し光り出す。


「戦え!!闇精霊術の一つや二つ!私に使って見せろ!!


フレイムオブヘイル!」


上空に無数の火の玉が生成され、私に降り掛かってきた。


「えっ?!ちょっ!!嘘だろぉお?!」


避けた火の玉は相当硬さがあるらしく、地面にぶつかった所が酷く陥没している。


あんなの!当たったら一溜りも無い!


叫びながら全力で逃げ回った。


「《シロナっ!何やってやがる!さっさと反撃しやがれ!》」


「だって!!いきなりそんな戦えって言われても困る!ちょっとでも話し合いでも出来ればっ」


戦いたくないシロナに、ロギはキレ気味に反論した。


「《甘ったれた事言ってんじゃねぇ!話し合いで全部解決してりゃぁ、俺みたいな精霊は居ねぇんだよ!

闇精霊術師なんてもんは生まれてこなかった!!

この世は弱肉強食だ!勝てなきゃ意味ねぇぞ!》」


突然の事で驚いてしまった。


「ロギ‥‥あんた‥‥」


「《悪ぃ‥‥取り乱した。だが、一つだけ言っておく。ここでテメェが死ねばトカゲも死ぬし、俺も消えるし、それに‥‥シロウの死も無駄になるって事は分かってんだろうな?》」


‥‥‥‥‥‥。

コハク‥‥。

父さん‥‥。


死なせる訳にはいかない‥‥。


だって、あのドラゴンと約束したから。

守ってくれって頼まれたから‥‥。


やるしか‥‥無い‥‥っ!


私は直剣を強く握り直し、スカーレットの方に体の向きを変えた。


「分かったよ‥‥っ!


戦えばいいんだろ!?」


でもまずは、この火の玉を何とかしなくちゃならない。

剣で切り落とすなんて技も出来ない。


どうしたら‥‥っ?


すると、ロギがアドバイスしてくれた。

「《魔法はイメージだ。基本魔法さえ覚えちまえば、後はアレンジのみ!想像して唱えろ!》」


イ、イメージ?


ゆっくり考えている時間は無い。

考えている間でさえ、火の玉は降ってくる。


「あーもー!やけクソだ!」


シロナも魔力を練りだした。


イメージだろ?

あの火の玉をあっちに打ち返したり?

いやいや‥‥じゃぁ捕まえて投げるか?


もういい!それでいこう!


イメージを固めたシロナは叫んだ。

「キャッチアンドリリース!!」


電気の線がバッと上空に広がり、飛び掛ってきている火の玉を全て絡めて一つにして、それをそのままスカーレットの方角へ腕を振り下ろす。


すると、全ての火の玉はスカーレットの元へ勢いよく飛んで行った。


土煙が舞い上がり、あたりは霞んで見えなくなる。


よく分からないが、上手くはいった!

しかし、ロギは何か言いたげ。





「《シロナ‥‥》」





シロナは何となく言いたいことを察した。


「うるさい。何も言うな」


しかし、ロギはお構い無し。





「《ネーミングセンス無ぇな》」


「何で言うんだよ?!分かってるよそんな事ぐらい自分でも!!」


恥ずかしくて顔を真っ赤にさせる。


「《まぁ、コハクに最初【クロ】って名付けようとした程だもんな》」


そう!

あの時コハクは猛烈に拒絶反応を起こし、クロはやめになった。


「ロギっ!!!!!」


シロナが一喝する頃には土煙は晴れ始めていて、そこから人影がこちらに歩いてくる。


「ほぅ、漸く戦う気になったか‥‥」


少しぐらいは効いてると思った。


しかし、煙が完全に晴れ、彼女の姿が見えた時‥‥。

私は愕然とした。


全くの無傷だったからだ。


「まだまだこんなもんじゃ‥‥私に傷など付けられないぞ?」


「そんな‥‥あの火の玉をまともに食らった筈なのに‥‥何で?!」


「自分の魔法で殺られる阿呆では無い‥‥さぁ、これで終わりじゃないだろ?」


多分魔法攻撃ではろくにダメージを与えられない!

ならば!


シロナは直剣を両手で持ち上げ、スカーレットに向かって走り出し刃を振りかざした。


それをスカーレットはいとも簡単に弾き返す。


剣と剣が弾き合う。

それを、何回も繰り返す。


「はぁぁあっ!」


「?!」


スカーレットの重い一撃。


それを何とか剣で受け止めるが、シロナは体重が軽く簡単に後ろへ飛ばされてしまった。


「クッ!」


剣を地面に突き刺し、何とか立ち上がる。


すると、スカーレットは肩を落とし言った。


「人間‥‥手を抜いているだろ?この私に、手加減して勝てると思っているのか?!」


手を抜いてるつもりは‥‥無い。


というか、この武器はシロナに合わないのだから当然のこと。


「はぁ‥‥。君がそのつもりなら致し方ない‥‥嫌でも本気を出してもらう為、奥の手を使わせてもらおう」


パチンっ!

とスカーレットが指を鳴らす。


それと同時にスカーレットの横に光の柱が現れ、その光が消えるとそこには‥‥


頑丈な鳥籠の中に、ぐったりとしたコハクが捕まっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ