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灰色ノ魔女  作者: マメ電9
第一章 灰色から虹色世界へ
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第三十二話 消えない憎しみ

騎士団長執務室に1人。


刻々と約束の時間が迫る中、スカーレットは瞳を閉じて左耳のピアス型魔具を触り‥‥‥‥


昔を思い出していた。



まだ子供の頃。

スカーレットが誰かに呼び止められる。

振り返るとそこに、ルークの双子の妹‥‥。

シズクが笑顔で立っていた。


「スカーレット!目を閉じてみて!」


「何だ?また何かイタズラでもするつもり?」


「いいから!‥‥ほら早くっ」


「分かったよ。ほら、閉じたぞ。これでいいか?」


私とシズクは仲が良く、姉妹のような存在であり、親友でもあった。


言う通り目を閉じていると左耳になにか違和感が‥‥。


「やっぱり似合うね!買ってきて正解だった」


目を開けて手鏡で確認する。


それは、綺麗なオレンジ色の石がはめ込まれたイヤリングだった。


「これ‥‥どうしたんだ?」


「人間の街で買ってきたの。一目見てスカーレットに似合いそうだなって思って」


「また君は人間の所に‥‥まだ子供なんだから行っちゃダメだ。危ないだろ?」


「お父さんと一緒だったから大丈夫よ!」


そう言うと彼女は獣耳をピクピク動かした。


私は自分の容姿が嫌いだ。


魔物の血が半分流れているはずなのに、私の見た目は人間と全く変わらない。

そのおかげで、施設では白い目で見られる。


だから、このイヤリングも少し複雑な気持ち‥‥。


すると彼女は続けて言った。


「私ね、人間の事全然嫌いじゃないよ?確かに、武器を持って襲ってくる人も居るけど、みんなが皆そうじゃないって私分かってるから。‥‥だからスカーレット気にしなくて大丈夫!」


私の心を読み取っているのか、心の内をズバリと当ててきた。


「私夢があるの」


「夢?」


「お兄ちゃんはきっとお父さんの跡を継いで薬師になるだろうから、私は家を出て違う仕事をするの。

魔物と人間が仲良く暮らせるような、そんな街を作りたい‥‥なんて夢」


魔物と人間



お互い敵とみなしている関係なのに、そんなこと不可能に近い。

私は当然のように


「無理だ」

と言った。


しかし、彼女は首を横に振る。


「無理じゃないよ。‥‥だって、私達は生まれてきたじゃない。魔物と、人間から、私達は産まれてきた。

それってすごい可能性を秘めてると思うの‥‥

だからスカーレット。

私達が大人になったら‥‥私の事‥‥手伝ってね‥‥‥‥」















シズク‥‥‥‥‥‥‥‥。


悪いが‥‥。


君がもし人間を許したとしても‥‥‥‥。



私は、君を殺した人間共を‥‥‥‥



許すことは‥‥‥‥







絶対有り得ない‥‥。






すると、扉のノック音がする。


「団長!そろそろお時間です」


時計の針は12時半を指していた。


「あぁ、今行く」



私は机に立て掛けていた直剣を手に取り、執務室を後にした。











一方その頃牢屋では‥‥。

シロナはルークから色々説明を受けていた。





ひとつ言っておく‥‥。


私の記憶はナディアを助けに行った所で終わっていて、その後のことは全く覚えていない。


というか知らないのだ。


なので、ルークに何故今私達は牢屋に入れられているのか‥‥。

その経緯を教えて貰ったのだが‥‥。


魔軍だのなんだの、衝撃が強いものばかりで、私の頭は大パニックを起こしていた。


そして、なにより1番驚いたのは‥‥





「ちょっと待てーー!!!わ、私の母さんは死んでない??!!!?!

しかも!その正体は元始の魔女ぉぉぉおお???!!!!」


そりゃ、驚いても仕方ない。


父からは死んだと聞かされ、それを完全に信じ込んでいたから‥‥。



しかも、よりにもよって元始の魔女!!


おとぎ話のキャラクターだと思っていた。

まさか、本当に実在していて、それも実の母親だなんて‥‥!!



「俺も驚いた‥‥正直今でも信じられない。そのロギって奴のことも俺はよく分かってないしな‥‥」


「それは私だって‥‥同じだ‥‥。まぁ信じるしか無いと思うんだけど‥‥」



元始の魔女は闇精霊術師。


それで私の中にその闇精霊が封印されていた。


それが確定的な証拠だろう‥‥。

認めるしかない。




そこで私は気づく。

コハクが居ないことに。


ここに繋がれていた様な鎖が地面に落ちているのに、肝心のコハクの姿が見当たらない。


「ルーク、コハクは?コハクはここに居ないのか?」


その質問でなのか、ルークの顔が曇る。

少し間を開け、言いにくそうに告げた。


「‥‥お前に言わないといけないことがある」


いきなり真剣な表情になるので、私も息を呑む。


「シロナ‥‥これから行われる事‥‥俺はお前を守れない‥‥助けてやれない‥‥だから頼む‥‥




絶対死ぬな」



何を言っているのか分からなかった。

いきなり死ぬなと言われても‥‥?


何があるって言うんだ??


喉まで声が出かかっていたが、それは魔軍兵の声に掻き消された。


「人間。時間だお前を強制連行する」


「‥‥え?」


鉄格子のドアが開けられ、私を繋いでいた鎖を解除し外に連れ出す魔物。


「さっ行くぞ。暴れたら即処刑だからな」


意味がわからない。

なんだ突然??

これは何だ??!

どこに連れてくっていうんだ?!


頭に沢山の?マークを浮かべて連れていかれる私の後ろに、ルークも違う魔物に連行されていた。


しかし、何故か連れていかれる先は別々。





そして、私は手錠を取られ外に放り出された。


「それじゃぁ精々頑張れよ人間」

「無駄無駄、どうせ団長に炙られておしまいだぜ」

「違ぇねぇ!」


ハハハハハ

と笑い声を上げながら扉を占める魔物兵。



外は雲ひとつない青空で、久しぶりの太陽の日差しが降り注ぐ。



え?釈放??



って一瞬思ったが、ザワザワと沢山の声がする。


私が立っている場所は大きな広場で、その周りの塀の上には観客席があり、ほぼ魔物で埋め尽くされていた。



何だここ‥‥。



沢山の魔物が私を見下ろしている。


まずい‥‥。

私の今の装備は、ローブも無ければ、短剣もない。

鞄さえ没収されていて完全丸腰状態。


人間ですよ!

どうぞ見てください!

殺してください!


と言っているようなもの‥‥。




不安が募っていき、嫌な汗が額から流れた。


すると向かい側の扉が開き、誰かが広場に入ってきた。


白い軍服を翻し、赤い髪を靡かせて‥‥。


その赤い髪からジェイトを連想させたが、その容姿はまさに人間。


魔物とは到底思えない‥‥。

でも圧倒的に人間と違う部分があった。


それは、魔力量。


圧、オーラと言ったところか‥‥。

人間が到底出せるはずのない力をビリビリと感じる。


思わず私は身構えた。



彼女の登場で観客も一斉に歓声を上げる。



「おはよう。よく眠っていたようだが身体に問題はないか?」


彼女は私のすぐ近くまで来て、手に持っていた2本の直剣の内1本を私の足元に投げた。


それを拾え

って言うことなんだろう‥‥。


でも私は彼女から目が離せなかった。


その眼光に、あからさまな殺気が宿っていたから。



「副団長等の懇願により、君の即処刑は取消とした。‥‥だが、君の命運を分けるのは‥‥君自身。


生きるか死ぬかの一騎打ち!

私に少しでも傷をつければ君の勝ちだ。


さぁ剣を取れ。


始めようか‥‥人間」



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