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灰色ノ魔女  作者: マメ電9
第一章 灰色から虹色世界へ
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第二十八話 話合いの末




‥‥‥‥‥‥。


何も見えない。


私は‥‥何してたんだっけ‥‥?



‥‥‥‥‥‥‥‥ダメだ


何も‥‥


思い出せない。





真っ暗な空間。



またあの精神世界とやらにでも来てしまったのか?


でも、それにしては‥‥意識がボーッとする‥‥。



「シロナ‥‥。シロナ‥‥」



誰‥‥だ?


私を呼んでるのは‥‥。




暗闇の中、手探りで声のする方向に顔を向けると、白い光が差し込む。


そこに逆光で人の影が‥‥。


光はいっそう強くなり、シロナを包み込む。






「‥‥ナ」


「‥‥ロナ」





「シーローナ!何ボケっとしてるんだい?今日はシロナが買い物に行きたいって言ったから来たのに〜」


そう私の頭をポンポンと触るのは、茶髪に眼鏡をかけ、少し顎に髭を生やした‥‥




「父‥‥さん‥‥?」


ハッと気づくと私は村の商業通りに立っていた。


しかも、景色が今までと違う。

身長が縮んでおり、髪も茶色。

服も変わっている。




そうか‥‥。


私はまた‥‥夢を見ているんだ‥‥。





「ほーら!早く行くよー」


スタスタと前を歩いていく父の背中。


「あっ、待って!」



その背中は、広くて‥‥落ち着いて‥‥。


大好きだった。




少しくらいなら‥‥‥‥


夢って思わなくても。



いいよ‥‥な?


‥‥‥‥――――――――。










現実世界では、シロナは拘束されたまま深い眠りについていて。

ロギアンはシロナの精神世界の中へ戻っていた。


ロギアンは瞼を閉じ、頭に手を当て、魔法を使いシロナに夢を見させていた。




「‥‥シロナ‥‥‥‥俺が知ってる真実を、テメェに教えてやる‥‥。テメェの親父が死んだ、本当の理由を‥‥な‥‥」


シロナの事は俺に任せやがれ‥‥。


だから犬の糞ガキ‥‥





「そっちは‥‥任せたぜ」








そう。


シロナの命運を決めるのは、ルーク達の話し合い次第で決まるのだ。


だからルークは、シロナとの今までの事を、全てスカーレットに話した。


「ふぅん。成程、事情は分かった。彼女が魔物を逃がす為、凶暴魔物を引き付け守った。‥‥そしてドラゴンの子供まで助けたのは、彼女を認めざるおえないだろう」


その言葉を聞き、少し安堵したが、「しかし」と言葉が続き眉間にシワがよる。


「だからと言って、彼女がこれから我々魔物に危害を加えないとは言いきれない。それに‥‥ルークが一番嫌ってほど味わっただろ。人間に大事な父と妹の命を奪われたのだから」


それに対し、ジェイトは猛抗議。


いつも余裕な態度をとっている彼だが、今は切羽詰まった表情だ。


「姉貴!!シロナはそんな子じゃないって言ってんでしょうが。確かにその‥‥何?闇精霊?とか、ちょっと信じられんこともあるけどさ、それは本人だって知らなかった事なんだろ?」


ジェイトの言う通り。

シロナは闇精霊の事を一言も言ってなかった。

ましてや、最近魔法を使えるようになったんだ。

最初から知っていたなら、魔法も難なく使えていたはず。


それに。


「シロナは親父を殺した人間とは違う。‥‥あいつは素直じゃなくて、優しくて、自分ばっか責めて、人の事ばっかで、無茶ばかりして‥‥それでも懸命に頑張って生きようとしてる。だから‥‥シズクを殺した人間と一緒にするな‥‥!」


「ルーク‥‥」


‥‥こんな事、誰にも言ったことがなかった。

ジェイトにも、もちろんシロナにも‥‥。






初めてシロナに会った時。

何でだろな‥‥シズクが帰ってきたと思った。

背格好や、髪色が近かったからだろうけど‥‥。


死にたがっていた彼女を、見殺しに出来なかった。


もぅ俺にとって‥‥‥‥シロナは大事な‥‥‥‥‥‥。







「だが貴様等。現に先程、彼女はその力を使い、凶暴魔物を打ちのめしていたではないか‥‥。まぁ、力を制御出来ずに暴走していたようにも見えたが‥‥それは演技かもしれん。」


「はぁ?演技だぁ?んなわけ‥‥――」


「ならば、証拠を私に差し出せ。彼女が、我ら魔物に刃を向けないという証拠を!」



‥‥まずい。

具体的な物的証拠。

そんなものここには無い。

探しても出てくるわけもない。


こちらが出せる手札は、俺達の言葉のみ。


スカーレット‥‥嫌な手を使ったな。


「「‥‥‥‥‥‥」」


ジェイトも、俺も黙ってしまったその時。

扉にもたれかかっていたモノンが手を挙げた。


「あの。ちょっといいですか?」


全員がモノンへ視線を集めるが、モノンは堂々としていた。


笑顔から伝わる絶対的自信。


「あぁ、何だモノン」


「‥‥先日初めてシロナに会ったんですけど、その時はまだコアに封印術が掛けられたままで、自由に魔力調整が行えるような状態ではありませんでした。そして、彼女は闇精霊の事も詳しくは把握していません。僕が封印を解除した張本人でもありますし‥‥どうでしょう?。今後の彼女の監視兼精霊術指導担当に僕を配属させて貰えないでしょうか?」


「監視兼精霊術指導だと?」


「はい。僕ら魔軍も相当力をつけては来てますが、他の支部とはほぼ同等の軍事力。これでは本部として示しがつきません。‥‥ので、彼女の力を我が軍戦力に利用するのです。いい考えだと思うんですけど‥‥どうでしょう?団長?」


モノンの口から驚くべき言葉が発せられた。


モノンなりに考え出した打開策なのだろう。

‥‥だが、それはつまり‥‥。


シロナを戦場に送り出すって事。

兵器扱いだ。


そんなの‥‥っ!


「先生!!」


「?!、ルーク落ち着けって」


ソファーに座っていたが、いきなり立ち上がった怒りの形相の俺をジェイトが諌めた。


俺がこれだけ感情を表に晒すのは滅多にない。

だからなのか、ジェイトは驚きながら俺をソファーに座らせた。



モノンはルークと目を合わせず、団長のみを見つめる。

スカーレットもその提案を聞き、考え込んでいた。



「なるほど‥‥人間を我ら魔軍の戦力に加えると‥‥。フフフ、君は相変わらず面白い発想をするなモノン‥‥」


「いえいえ、で?どうされます?認められますか?それとも‥‥殺しますか?」



緊張の間‥‥‥‥。


気づけば手に汗を握っていた。


唾さえ喉を通らない。



しばらく沈黙が続き‥‥そして。

スカーレットの口が開く。


「‥‥いいだろう。モノンの言う通りすればいい‥‥‥‥‥‥‥‥だが。


彼女の力がどれ程のものか‥‥私自ら見極めてから最終決定を下す」


!?


「力を‥‥見極める‥‥だって??姉貴!!」


そうか‥‥

分かった。


スカーレットは最初からそのつもりだったんだ。


最初からシロナを‥‥‥‥


殺す気で‥‥‥‥。


「魔物の中に人間を引き入れるんだ。団長である私が見極める必要がある。これは、トップである私の務め‥‥‥‥モノン!早速明日の1300に闘技場にて行う!他の兵にもそう伝えろ」


そう言うとスカーレットは席を外し部屋を出ていった。


その去り際の顔は、どこか笑っているような気がしたが‥‥。


俺の心境はそれどころでは無かった。



「それでは、僕も行きますね。‥‥ルーク、ごめんよ。これしか彼女の即極刑を回避する手段が無かったんです‥‥悪く思わないでくださいね」


モノンが出ると同時に、2人の兵が部屋に入り俺の腕を掴んでまた牢獄に入れた。


ジェイトは何か言いたげだったが‥‥何を言っていいのか分からなかったのだろう。


静かに、俺の姿が見えなくなるまで立ち尽くしていた。




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