↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
117/128

117

 ほっそい革紐を買って、あたしの分はバッチリ直した。ヘザーが鎧の下に来るように、長さも調節したしね。んでも、将軍の分は、革紐を袋に突っ込んだだけ。

 だって、長さがわかんないし。

 イハル兄(にぃ)が同じくらいの体格だから、試させてもらえばいいんだろうけど……何かそれは違う気がするじゃん?

 同じくらいの体型の他人で、ちゃーんと合わせたから大丈夫。なーんてこと、あたしは言われたくないし。

 自分がされたくないことは、人にもしない。じゃなきゃ、いざされても文句言えないじゃん?

 で、問題は、これをいつ渡すかってこと。

 渡すなら、あたしの中で答えが出てからがいいかな、って思うんだけど……それだとホント、いつになるかわかんないよね。

 午後に暇だと、訓練に混ざりに行きたいなぁ、って思う。でもそれは、単なる暇つぶしも兼ねてるってだけで……って、あーっ!

 あたし、今日、まだ訓練してないじゃん!

 エレンさんはきっと、王女様のとこだよね? あたし一人だと、離宮どころか、王女様のとこまで行けないし……んー。

 一人で黙々とやるのって、メッチャ苦手だけど……騎士(エクエス)様たちが走り込みしてないのを確かめて、この宿舎の裏でこっそり訓練してよっかな。

 あ、そうじゃん。どうせ走り込みがしにくいなら、ここでやってても一緒だよね? リディもグレースも出かけちゃったし。

 腕立てとかだけなら、そんなにバタバタして、下に響かないだろうし……ここでやっちゃう? 素振りは危ないから外がいいんだろうけど、その時だけ外に行けばいっかな?

 うん、じゃあ、ちゃちゃっと済ませちゃおう!



 朝のうちにエレンさんと訓練を済ませて、騎士様たちに見つからないようにする。そんな日も、もう五日目。

 で、今まで別に、将軍と顔を合わせなくっても、何とも思わなくって。エレンさんと訓練するのも悪くないよね、って思ってたり。

 まあ、あたしは元々、誰に対してもそうなんだけど。

 エレンさんと訓練してると、二日に一回くらい、リアムも一緒に混ざってる。何か、前々からこんな感じで、ちょくちょく来ては訓練してるんだって。

 ……リアムってさぁ、エレンさんの興味を引くやり方、ホントよく知ってるよね。リアムと打ち合った後のエレンさんが、妙に満足げだもん。

 今、エレンさんは、ドナとやり合ってる。ホント、すっごい体力だよね。さっきまで、リアムとやり合ってたのに。

「そういえば、ユノちゃんは、今頃ヴァージル将軍がどうしてるかな、って気にならないの?」

「なんないよ?」

 別に、好きなことを好きにやってればいいじゃん、って思うし。

「ってことはさぁ、リアムはエレンさんが何やってるか気になるの?」

「もちろん。だから、こうして押しかけてきてるでしょ?」

 ……へぇ。

 あれ? じゃあ、王女様のとこにエレンさんが行くのって、リアムから逃げる意味もあったりするんじゃ?

「あのね、ユノちゃん。エレンちゃんが午後にお城に顔を出すのは、竜騎士(ウォラーレ)の筆頭としての仕事があるからなんだよ。まあ、来れるものなら来てみろ、って挑発はされたけどね」

 やっぱそっちの意味もあるんじゃん!

 一応お貴族様とはいえ、リアムじゃ、気軽に王女様のとこに押しかけられないんだろうし。エレンさん的には、一番の安全圏だよね。

「私としては、仕事の邪魔はしたくないからね。だからこうして、エレンちゃんが自由に過ごしてるこの時間に会いに来てるんだよ」

「じゃあ、リアムはエレンさんの一日の過ごし方も知ってんの?」

「だいたいはね」

 リアムらしくニッコリ笑ってるから、まあ、多分ホントのことかな。

 そりゃあ、集団生活が基本だし、毎日の行動って似たり寄ったりになるよね。あたしもそうだけど、リディやグレースだって、昨日も今日も同じように過ごしてるし。

「じゃあさぁ、エレンさんは、リアムが一日をどんなふうに過ごしてるか、知ってるのかな?」

 ほら、何て言うか、ちょっと片思いっぽいじゃん? エレンさんはどのくらいリアムに興味があるのかって、気になるっしょ?

「気にはしないみたいだね。ただ、割といろいろな人の行動を把握しているらしいよ。特に女の子に関しては、ほぼ全員、完璧に把握してるね」

「……ああ、やっぱそうなんだ」

 ってことは、あたしもバッチリ把握されてるよね。

「だから、一昨日だったかな? ヴァージル将軍が貴族令嬢に迫られているところも、上から見ていたらしいよ?」

「ふーん……将軍って、相変わらず大変そうだね」

「まあ、ヴァージル将軍は、私があげた首飾りでその子を撃退したみたいだけど」

 へぇ……そんな簡単に撃退できる首飾りなんてあるんだ? ……んー?

「……リアム、あのさ。そのあげたやつって、ひょっとして」

「この間買ったでしょ? せっかくだから、ヴァージル将軍にも恩恵があるといいな、と思ってね」

 あーっ! よく見たら、リアムってば指輪してる!

「ユノちゃんが買ったことは言ってないから安心してね」

 ってかさぁ、リアムが買ったの、恋愛成就じゃなかった? それでどうやって、撃退するわけ?

 こんな願かけするくらい、振り向いて欲しい人がいます。なーんて言っても、お貴族様の女の子は納得しないでしょ?

「ねえ、ユノちゃん。これって、見てもどんなお願いが込めてあるか、わからないでしょ?」

 リアムが指輪を見せながら言ってきた。

 ……あー、何となくわかったかも。

「家庭円満のお祈りつき、とか言ったんだね!」

「しかも、ユノちゃんからのプレゼント、っていう嘘のおまけつきでね」

 それってつまり、全部嘘じゃん!

 ……ひょっとして、外堀、ガンガン埋められてるんじゃ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。