第3章
奇病専門■■―奇人
⻆谷 春那
第3章
「・・・なぁ、私だけ待っていたいんだが。」
「何言っているんだ。君の姉君だろう?」
「にしても、私にも感染のリスクは、有る訳じゃないか。それこそ、お前じゃないんだから。」
「全く。僕が患者に手を出したら、どんな責任を取るつもりなんだ…?」
「お前なら、大丈夫だろ。それに、あの人は面食いだし。」
「そう言う問題じゃないだろ…。それに、別に感染のリスクは、今はないよ。結構、勘違いしている人は多いがね。」
「え、そうなのか?」
「別に、インフルエンザ患者に会ったら、確実にインフルエンザになる訳ではないだろう?きちんと対策をすれば、大丈夫なんだよ。それに、【条件】だってあるさ。発症しない人だって、多いしね。」
「流石、専門家。」
「無駄口を叩いていないで、早く此れを着てくれ。全く、君は話すと手が止まるタイプなんだから。」
そういって医者は、一着の白い衣服を取り出す。全くの隙間を確認できないその服は、ペスト医師を何故かイメージさせる。だが、質感や色的には、食品工場の服が最も、近いかもしれない。
「これは?」
「【対策】だよ。まぁ、結構ウイルス的な面も強いんだ。」
「病原体が、確認できないんじゃなかったのでは?」
「まぁ、対外的にはそうなっているがね。」
「・・・私、消されないか?」
「ま、口外しなければ大丈夫なんじゃないのかい?知らないけど。」
「・・・死んだら、枕元に立ったやる。」
「言えてないし、手が止まっている。それに、君はきっと立てないさ。」
「酷いな。」
「ある意味、褒めているのさ。君のように、『薄情』な人間、そう居ない。良くも悪くも。君は絶対、罹らないだろうね。安心して良いよ。」
「それは、けなしているのと同義な気も。」
「はい。君が無駄口を叩いている合間に、僕はもうすっかり、完璧に。着替え終わってしまいました。」
「・・・。」
「何か、弁明はあるかい?」
「・・・お前は、慣れているだろ?私は今日が、初めてさ。」
「馬鹿言え。普段は、もっと難しい服を着ているだろ?」
「・・・どれの事だ?」
「え、まだあるの?」
「・・・まぁ、人にも秘密の一つや二つ、あるものさ。私のようないい男には、特に。多趣味な男なものでね。」
「せめて、幼気な少年少女が傷つかない趣味にしてくれ…。」




