05:二人っきりの再開、レムスはリアを取り返せるか。
以前侵入した高位貴族向けの寮。
その中でも特に警備が厳重な区画の一室に、ルーナの部屋はあった。
ちなみに、隣室は婚約者クリスの部屋である。
この二部屋は一々廊下に出なくても、一枚の直通の扉でつながっているため、婚約者どうし仲を深めやすいのだ。
そんな部屋に、クリスは招かれた。
もちろん部屋の中にはルーナ以外にも護衛やメイドもいる。
「今、クリスは仕事が終わって学校に戻っている所だそうよ。LLドールも一緒に、ね。戻り次第私がクリスだけを連れ出すから、あなたがLLドールを説得しなさい」
「了解しました」
「じゃあ、とりあえずそこの直通扉から入りなさい。クローゼットの中に隠れるの」
「はい」
レムスは言われるがまま扉を開け、クリスの部屋に入り、大急ぎでクローゼットに隠れた。
数分後。
「わかった。庭のテラスだな。一休みし次第すぐに向かう」
「お待ちしております」
そんな会話が聞こえた後、クリスとリアが部屋に入ってきた。
「ではクリス、着替えの服を用意しま……」
リアの発言を、クリスが彼を後ろから抱き締める事で止める。
「それは後でいいさ。それより、ずっと我慢していたんだから」
そう言ってクリスはリアをお姫様抱っこした。
「い、いけません。ルーナ様がお待ちで」
「大丈夫さ、脱いで楽しんだ後に汗はシャワーで、匂いは香水で消せばいいのだから」
「あっ……」
そして、クリスはリアをベッドの上に置くと、彼の上に乗り、抱きしめた。
その後、クローゼットの中のレムスにとっては悪夢のような、でも目が離せない光景が流れた。
全裸の二人が抱き合い、互いに愛の言葉を囁く。
二人の汗が、体液の匂いが部屋に満ちる。
レムスは瞬き一つせず、二人の交わりを見つめた。
見つめるしかなかった。
レムスはいつの間にか、涙を流していた。
しかし、レムスはその事にすら気づかなかったのだ。
それほど、目の前の光景は、想い合う二人が絡み合う美しい光景は、自らの思い人が他の男、それもあらゆる点において自分より優れた男に奪われるという絶望の光景は、レムスの心を奪っていたのだった。
なにより、自分では勃たせる事も出来なかったリアが、クリスによって何度も嬌声を上げられ、絶頂するさまは、レムスを絶望させるには十分だった。
なにせ、今までのレムスとリアの結合では、そんな事は一度もなかったからだ。
二人の愛の時間が終わり、クリスは大急ぎで準備をすると部屋から出て行った。
今部屋にいるのは、クローゼットの中のレムスと、ベッドの上で横になっている全裸のリアだけだ。
「やっと出てきたか」
レムスがクローゼットの中から出るとリアはそうつまらなそうに言った。
「……どうして?」
「何が?」
「どうして、クリスと関係を」
「は?」
リアは心底呆れて言った。
「お前、そんな事もわからないのか?」
「え?」
「そんな事説明するまでもないだろう?お前は状況判断も出来ないのか?」
リアの言葉に、レムスは絶望した
説明するまでもない。
それは、つまり……リアはレムスではなくクリスを愛しているという事。
レムスは絶望して……そして自分を見てくれない彼に怒りが沸いた。
そして、気づいたらリアを押し倒していた。
「ちょ、何を……」
「……うるさい」
「は?」
「わからせやる!君は僕の物だって!僕が世界で一番君を愛してるって!!」
そう言いながらレムスは大急ぎで服を脱ぎだした。
「お、おい。いつクリスが帰ってくるか……」
「知るもんか!見せつけてやるんだ!リアはアリアじゃない、僕の、僕だけのリアだって事を!」
全裸になったレムスはリアを抱きしめて口づけした。
「んむぅ!ま、待て、さっきまでさんざんイかされて、疲れてるんだ」
「知るもんか!」
そうしてレムスがリアの体を味わい始めたので、リアは諦めてレムスの体を抱きしめた。
「!」
レムスは久しぶりにリアに抱きしめて、あまりの嬉しさに絶頂して気を失いそうになった。
しかし
(ここで気を失ったら、二度とリアを抱けない!今日こそ、リアを気持ちよくさせるんだ!)
そう思ったレムスは、唇を噛んで意識を保った。
レムスの口の端から血が流れる。
「大丈夫か?」
「大丈夫。こんなのは痛みに入らない。今まで君に会えなかった辛さ、君が誰かに奪われるところを見ている痛みに比べたら」
そう言ってレムスはリアに今日何度目かの口づけをして、そのまま愛し合うのだった。
二人はこの時間で今までにない程絡み合った、
しかし、結局レムスはリアに何度も何度も気持ちよくさせられイかされたが、リアをイかすどころか、今日も勃たせる事も出来なかった。
レムスは結局体力が尽きて意識を失ってしまうのだった。




