040 寝袋からの起床
夜ご飯のあとは、みんなで協力して後片付けをした。
そして今はみんなどこで寝るか、寝たいかの話し合い中だ。
「僕!右の、ここ!ここで寝たい!」
レーヤは右から二つ目がいいようだ。その寝袋の前に立って両手を上げて、ぴょんぴょんと跳ねている。
「えー、私もそこがいいー。」
ツィーゼも右から二つ目がいいらしく、レーヤと押し合いをし始めた。
「ちょっと待て、落ち着け。えーっと、ジアとホノールはどこがいい?」
ルカンが前に立って、聞いてきた。
ついに私たちの番のようだ。でも、私は特別どこがいいかはない。
「私はどこでもいいよ。余ったところで。」
「俺も、ルカンお兄ちゃんから見ていいと思う位置に置いて。」
私が返事をするとジアも同じことを言った。
ジアは三人の中だと一番上なこともあり、こういうときは臨機応変に対応してくれてる。
...大人にならなくれても、年相応に少しはわがまま言っても良いような気がするけど。どちらにしろ、無理はしてないと良いな。
ちなみに多分、二人が右から二つ目を取り合いするには場所の理由がある。
入口に一番近いのが左から一つ目、柵に一番近いのは右から一つ目。警戒、恐怖の意からその二つはまず除外される。
そして、左に、入口に近い二つ目も同じ理由、真ん中は自分が真ん中は〜のような遠慮からだろう。除外される。
そんな考えから、多分二人は右から二つ目を取り合いしている。
そんなことを考えながら二人の押し合いを見ていたけれど。
...収まりそうにないかな。
二人含めてみんな、まあまあ大きくなってきたし、個人間の問題は各個人で終えた方がいいかな、って思っていたから口は挟まなかったけれど...収拾尽きそうにないな。
「お前ら一回落ち着け。そこまで揉めるなら、俺がみんなの場所を決めてもいいか?」
立とうとしたところで同じことを思っていたのだろう、ルカンが間に入って、口を挟んだ。
「「うん。」」
そのルカンの言葉に二人は押し合いをやめて、離れた。
ルカンの決定にはみんな逆らわないだろうから、ルカンが決めてくれるならそれが一番だろう。
結論。寝る位置は、左から、ルカン、ツィーゼ、レーヤ、私、ジア、の順番になった。
何かあった時にみんなを守るためにルカンとジアがみんなを挟み、元の揉めた場所は入りたい人以外である私を入れることで、丸く収めようと考えたみたいだ。
実際、私もこれが一番丸く収まる気がする。
「じゃあ、寝るから火を消すぞ。」
みんなが寝袋に入ったのを確認してルカンがみんなに声をかけた。
「「うん。」」
レーヤとツィーゼは疲れて眠っているらしく、もう寝息が聞こえてくる。
私とジアの返事に頷いて、火は消され、辺りは真っ暗になった。
ジア、暗いところ苦手みたいなのは聞いたことないけど、大丈夫かな?屋外だし。
そう思って横を見ると、上を見上げて星を見ているジアがいた。
...うん、大丈夫そうだね。
上を見上げるジアの横顔が綺麗で一瞬息を呑んでしまったけれど、すぐに顔を逸らして考えを消した。
さっさと寝て、明日の英気を養わないとだよね。
...おやすみなさい。
寝袋に地面と寝心地はそこまで良くない環境のはずなのに、すごくぐっすり眠ってしまっていた。
昨日一日中動いたからかなり疲れてたのかな。
そんなことを思いながら、起き上がると、先に起きていたらしいルカンと目があった。
『おはよう』
みんなを起こさないためだろう、声を発せず口だけ動かしてそう挨拶をしてきた。
『おはよ』
よく見るとルカンの後ろでジアもいるみたいだ。
身体をほぐしている。
隣を見ると、レーヤとツィーゼはすやすやと寝ている。
ふふっ、ふたりとも良い寝顔。かわいい。
私は自分の寝袋を片付けて、ルカンとジアの元へ向かった。
「二人ともおはよう。早いね。」
まだ寝ているレーヤとツィーゼを起こさないように小声でジアに話しかけた。
「おはよう、ホノールお姉ちゃん。あと、俺も今起きたとこ。ルカンお兄ちゃんはいつから起きていたのか知らないけど。」
起きてすぐに体ほぐしていたってことか、すごいなあ。
「そっか。ジア、はじめての寝袋だったと思うけど、きちんと寝れた?」
「おう、大丈夫!火が消えてから、星が綺麗だから景色眺めてたんだけど、気付いたら寝てたよ。」
「そっか、よかった。じゃあ、そろそろ良い時間だろうし、私はご飯の準備してくるね。」
「あぁ、頼む。俺らはみんなの水の準備してくる。」
座ってなにかしていたルカンが立って、皿を持って行こうとした。
あれ?ルカンって寝れたのかな?いつも思うけど。
「ルカン、寝た?」
気になった私は考えるよりも前に口が動いていた。
「ん?ぁあ、みんなと同じぐらい寝たぞ。」
あくびが出そうになったのか、はじめかき消したように声が小さくなっていた。
「...そう、よかった。じゃあ、気をつけてね。」
「ああ。ジア、手伝ってくれ。」
「はーい。」
ジアの話、さっきのあくびが出そうになってたところ含め...全然寝てなさそうだなあ。
...そんなこと考えても仕方ないよね。切り替えてご飯の準備しよう。
そう思って私は皿を用意し始めた。




