039 外での食事
私たちは前にルカン、真ん中の列に左から私、ツィーゼ、レーヤ、一番後ろにジア、という隊列で歩き出した。
この隊列の理由は単純だ。
四方どこからツィーゼの父親に遭遇してもまず私たちで対応できる。武力行使される前にルカンかジアが対応し、もう一人が警戒を続け、私が先導する。その最適解だ。
今日一日中歩いても確実に北部は抜けない。迂回ルートだから短めといえど、ここは国の最北端だ。そう簡単に抜け出せない。だから、北部を抜けるまで警戒は、この隊列は続ける予定ではある。
「ここは雪がすごいが、大丈夫か?」
そんなことを考えていると先頭で警戒を続けてくれているルカンがこちらを見て聞いた。
「大丈夫!」
街を出た辺りから、ツィーゼのテンションは徐々に戻ってきたようで家を出たときよりも少し明るくなってきている。頑張ってくれているだけな可能性はあるから完全に安心できるわけではないのだけれど。
ちなみに、この隊列の利点も動き始めたあとも発見した。
それは歩くのが楽という点だ。街を離れると除雪がされておらず、雪をかき分けて動く必要があった。だが、ルカンが雪をかき分け、足跡を付ける。そこをツィーゼが歩くことで移動時間がほんの少し短くなる。ということが分かった。
かき分けるのが大変な道だと縦にルカン、ツィーゼ、私、レーヤ、ジアの順で歩くため、更にかかる時間が減っていた。
「ここは村の近くだからか除雪がされている。今日の昼食はここで取るのはどうだ?」
「私は賛成。」
みんなの体力も無限じゃないし、特にレーヤは疲れてきているのが見える。それに雪に囲まれて、お尻を冷やして食事を取ると体温も奪われるよね。だったら、除雪されているここの方がいいと思い、ルカンの話に即座に賛成した。
「俺も賛成。」
「私もー。」
「僕もいいよー!」
私に続き、ジア、ツィーゼ、レーヤがルカンの案に賛成した。
私はその場に大きめの石の上を見つけたため、払ってその前に立った。
「うん、ここでいいかな。」
そして近くに転がっていた手頃な石を右手に持った。
手のひらサイズのパン10個と、右手に持っている石10個分の焼いた鶏肉を目の前の大きめな石の上にゆっくり振ってきてほしい。
そう願うと願った通りに、パンと焼いた鶏肉が降ってきた。食べやすいし串肉でもいいかなって思ったけれど、串肉だとツィーゼの父親が連想されてしまうかなって止めておいた。
ちなみに、要望を細かく言うのは魔法使いまくり、試した結果だ。
はじめは言葉を述べるだけで欲しいサイズや欲しい量が降ってきたのに、途中からサイズがバラバラになったり、量が多すぎたり。
例えを出すなら、パンかな?
パンが欲しいって願うと欲しいサイズは手のひらサイズなのに私の身長のサイズのパンが出てきたり、パンはパンでもチーズパンが出てきたり。
そうなってしまった要因が分からなくて、欲しい通りに出てこなくなってしまったあとはこうやって少しだけ細かく言っている。洋服ほどではないけれど、少し手間取ってしまっている。
要因がわからないけれど、想像力が問題かなと思ったから今度みんながお腹空いていて時間がある時に頭に形を入れるだけで、想像するだけでその通りになるか試す予定だ。
その試験が失敗したら、たくさん出てきてしまう可能性もあるから、みんながお腹が空いているときに試したい。
「みんな、ご飯の準備ができたよー。」
ご飯の準備ができた私はみんなに呼びかけた。
「「「はーい!」」」
レーヤ、ジア、ツィーゼからそう返ってきたと思ったら、みんなが飛び出してきた。
あれ、皿持ってきてる、って思ったらあれは水?
あぁ、喉乾くもんね。みんなで持ってきたのか。てゆーか、水場近かったんだ。
「ありがとな、ホノール。」
レーヤたちを見ていると後ろからルカンに声をかけられた。
ルカンもお皿に水を持っている。
「うん。ルカンたちもお疲れ様。」
「ああ。」
すると皿を前に出して聞いてきた。
「ホノール、喉乾いていないか?ジアたちは自分の分は自分で持っているんだが、ホノールはご飯の準備してくれていたから、俺が持ってきたんだが。」
やっぱり持ってきたの飲み水なんだ。
「そうなんだ、ありがとう。じゃあもらおうかな。」
「ああ。じゃあこれ。」
そう言って右手に持っていた皿を出してくれた。
後ろに隠れていた左手にも皿があったようで、"俺のはここにあるから、心配しなくていいぞ"というように、左手を見せてくれた。
「ありがとう。」
そう言って受け取った皿から水を飲んだ。
美味しい。それに見ただけで透明で水が綺麗なことも分かる。
「これって井戸水?」
井戸水は凍ってしまうこともよくある。
まあ村の近くだから、凍らないように工夫されているとは思うけれど、どうなんだろう。
「いや、川水だ。試しに一口飲んだあとなんだが、変な味でもしたか?」
「ううん。逆。美味しくてさ。...川水なんだ。」
「ああ。あとで見に行ってくるといい。」
そんなことを話して、私たちはみんなでご飯を食べ始めた。




