表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/44

038 王都への大移動開始

「ふあぁぁふ。...ねむい。」

 あのルートの相談が終わった後、すぐに二人で布団に入ったけれど、いつもより起きるのが早いからすごく眠い。つい欠伸が出てしまった。...私が寝るまでずっと布団に入って座っていたけれど、ルカンはいつ寝たのかな。

「ホノールお姉ちゃん。おはよう。」

 座って頭をなんとか起こしていると、ジアが一階に降りてきた。

「おはよう、ジア。」

 すごいなあ...目を擦ったり、眠そうにしてない。

「今日は朝から動くんだよね?」

「そうだね。だから早めにご飯を出さないと...。ジアはなにか食べたいものある?」

「うーん...軽いものがいいかなあ。朝から動くと考えると。」

「そうなると、スープかなあ。昨日は野菜スープだったから、今日はロッパスープとか、どうかな?」

「うん、ロッパスープいいんじゃないかな?美味しいし。」

「じゃあパンとロッパスープを出しておくね。」

「うん。俺は荷物を玄関に動かしてくる。」

「うん、ありがとう。」

 そう言ってジアは荷物を取りに二階に向かった。


 さて、私はスープとパンを準備しないと。

 ロッパスープを私の目の前にある鍋に左手の皿の4杯分、右手にあるお皿に拳サイズのパンを10個、ゆっくり静かに下ろしてください。

 ...そう心の中で願うと、願ったとおりにご飯が降りてきた。

 ちなみに、パンを、スープを細かく願うのは最近試した結果だ。パンを出してくださいで初めてのときのように私の想像する通りのサイズに降ってきたこともあるけれど、ただ『パン』だとすごく大きいパンや小さいパンがランダムの如く降ってきたこともある。それ以降細かく言いたいものは細かく言うようにしている。

 ただ今度の機会に形や大きさを頭に想像するだけでいいのか、言葉にしないといけないのか試そうと思っている。それが判明すればまたこの魔法は便利になりそう。...そうすれば今よりももっと役に立てるかもしれない。


「よし、こんなもんかな。」

 降ってきたご飯を丁寧に盛り付けて、机に並べた。

 ちなみにお皿も降らせたものだ。魔法を使えるようになるまではないからお皿なんて使えなかったけれど、魔法でお皿を出せるようになり、使うようになった。お皿と願ったときに大きさが様々なものが出てきたから、それを時と場合に応じて使い分けている。

「できたよ、ホノールお姉ちゃん。...あ、もうご飯できてる。ありがとう。」

「ううん。こちらこそ重いものもあったのに運んでくれてありがとう。じゃあみんなを起こしに行こうか。」

「うん。俺はルカンお兄ちゃんとレーヤを起こしてくるから、ホノールお姉ちゃんはツィーゼをお願い。」

「うん。ありがとう。」

 そう言って二人で階段を上がった。



「ルカンお兄ちゃん、おはよう!」

 ジアが元気よくルカンの体を揺すっている。

「...あぁ。ありがとな、ジア。」

「レーヤー!起きろー!」

 ルカンのときと同じく、レーヤの体を激しく揺すっている。

「...。」


 後ろからそんな声が聞こえてくる。

 私もツィーゼの元に向かった。

「んー。...。」

 体を丸めて、ツィーゼがうなされているのが見えた。

「ツィーゼ、起きて!」

 そう声を張りながら私はツィーゼの体を揺らした。何を見ているのかわからないけれど、うなされているツィーゼを早く起こさないと...!

「っやっ!...っか...はあはあ。...ほ、のーる、お姉ちゃん?」

「うん。そうだよ。」

 寝ぼけて聞いてくるツィーゼにできる限り優しい声で返事をした。

「っホノールお姉ちゃん!」

 ツィーゼは勢いよく抱きついてきて、私はそれを受け止めた。

 背中に手を添えながら、ツィーゼの頭を撫でた。

『おれらはさきにいくな』

 視界の端で覚醒したらしいルカンがそう口を動かしたのが見えた。ツィーゼの頭を撫でている手を一度離して手を上げた。

 私のその反応を見てルカンたちは一階に降りていった。



「っすん...ホノールお姉ちゃん、ごめんね。」

 背中を撫でて30分ほど経過しただろうか、ツィーゼが顔を上げて謝ってきた。

「大丈夫だよ。ご飯の準備はしてあるし、気にしないで。それよりも、大丈夫?落ち着いた?」

 詰められていると感じないように優しい声で聞いた。

「うん、大丈夫!ありがとう!」

「ううん。落ち着いたならよかった。もう少ししたら一緒に降りていこうか。」

「うん!」

 パンパンに腫れた目でぎこちなく笑顔を作ってツィーゼは応えた。

 無理矢理笑顔を作らなくていいよ、って言いたいけど...笑顔を作ることで自分を保っていたりするのかな。だったら言わないほうが良いよね?



「おはよう。みんな。」

 下に降りていくと、みんながご飯を食べ終わって話しているところだった。

「おはよー!ホノールお姉ちゃん!ツィーゼ!」

「おはよう。ツィーゼ、ホノール。ご飯は食べられそうか?」

「おはよう。少しだけ食べようかな。」

 レーヤ、ルカンの言葉にツィーゼは答えた。

 よかった、少し食欲はありそうかな。

「じゃあ一緒に食べよっか。」

「うん!」

 私はツィーゼと一緒に椅子に座った。



「じゃあそろそろ行くとするか。」

 ルカンは後ろを見て話しかけてきた。

「「「「うん!」」」」

 ルカンの問いにみんなで元気よく返事をした。

 その返事に応えるようにルカンは扉を開けた。


 約二年間、みんなで過ごしたこの家は、次のスラムができても使えるように私たちが使用した皿や備え付けられていた家具はできる限りそのままに、綺麗にしてきた。

 どうなるか分からない不安な心を胸に荷物を持って私たちは前に歩を進めた。

 ...今から、私たちは王都に向かうんだ!

はじめに出てきた"ロッパ"というのは日本で言う"とうもろこし(コーン)"です。

ホノールは魔法でコーンスープを出したということになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ