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031 変化した生活

 降雪魔法でお金を稼ぐようになってから、一年と少し経過した。


 私たちは、降雪魔法で生計を立てて生活していることに変化はなかった。けど、小さな変化はあって。門の外で売っていることに変わりはないのに常連となってくれる方が増え、常連の方から聞いたと言って買いに来てくださる方が増えた。

 ルカンが売りに行ってくれている商家や貴族の家でもすべての家に買ってもらえるようになったわけではないけれど、一年前よりは圧倒的に増えた。だから、ルカンはいつも忙しなく動いている気がする。...前と比べて更に忙しくしてしまって、申し訳ないな何とかできないかなって常々思っているんだけど...


「...ノール、ホノールお姉ちゃん!大丈夫?疲れた?」

 そうだ、ツィーゼに教えている最中だったんだ。

「あ、ううん。ごめんね、大丈夫だよ。どう?書けた?」

「うん!どう?」

 ツィーゼは綺麗に書けた「冬」という言葉を見せてきた。

「うん、ツィーゼ流石だね。わかりやすいし、上手!」

「ほんと?」

「うん!じゃあ次はこの単語書いてみようか。」

「はーい!」

 金が入り服を買えるようになり洗濯などの頻度が下がって、少し時間ができるようになってから安定して私は文字を、ルカンは武術をみんなに教えることができている。私が文字を教えないときは私もルカンに武術を習っている。

 ジアは武術が、ツィーゼは文字が、レーヤは記憶力が、とみんなの得意なことが分かってきて、今までは見えていなかったみんなのことを知ることできた。


 向こうではルカンがジアとツィーゼに剣術を教えている。


「はあっ!」

 ジアの強く剣をぶつける音がした。

「おう、その調子!できればもうちょい力かけられないか?」

「うんっ!こうっ?」

「うん、いい感じ。じゃあそれをキープしようか。」

 ルカンは強そうなジアの剣を綺麗に横に流している。

「わかったっ!」

「レーヤはその調子。けど、どんどん威力が下がっていってしまっているから、一撃必殺の武器のほうがいいかもな。今度買ってこよう。」

 一撃必殺の武器...斧とかかな?剣はどちらかと言うと数押して連撃するタイプだもんね。

「わかった!」

「ホノール!あとで相談させてくれ!」

「ん?りょーかい!」

 武器をどうするか、どこで買うか、かなあ?ジアは剣のほうがいいって早めに気づいてくれていたけど、レーヤには少し手間取っていたみたいだったから見えてよかったな。ルカンがすごく気にしていたし、本当に見えてよかった。

 ああ、あと、ルカンが頼ってくれる回数は圧倒的に増えた気がするなあ。...嬉しいけど、もっと頼ってくれていいのになあと欲がいつも上がってきてしまう。

「ホノールお姉ちゃん!どう?」

 ツィーゼに聞かれて、意識をそっちに向けた。

「うん、いいね。どうする?このまま文字の勉強してる?」

 ツィーゼは向こうをちらちら気にしているし、加わりたいかな?

「あ、どうしよう...」

 教えられている側からすると拒否するのは少し忍びないよね。

「ずっと頭を動かしていたし身体動かして、リフレッシュする?」

 そう提案すると少し顔を明るくさせた。

「いいの?」

「うん、もちろん。ずっと座っていると身体こっちゃうからね。」

「じゃあ行ってくる!」

 笑顔でこちらを見てきた。本当に可愛い。

「うん、いってらっしゃい。片付けは私がするから先に行ってきていいよ。」

「いやいや、私も手伝うよ!一人でやるよりも二人でやったほうが早いもん!」

「そう?じゃあありがとう。」

「うん!」

 そう言って二人で片付けを始めた。



「ルカンお兄ちゃーん!入れてー!」

 ツィーゼがルカンのところに駆けていった。

「ん?おう!武器持っておいで。」

「もう持ってきてる!」

 笑顔でルカンに短剣を見せた。

「じゃあ、いつでもいいよ。」

「わかった!」

 そう言ってツィーゼは準備運動をはじめた。

「って、あ。レーヤ、どこに行くんだ?」

 レーヤがいつの間にか剣を片付けて、こちらに向かってきていた。

「ホノールお姉ちゃんの手が空いたから、勉強!」

「そうか。わかった。ジアはどうする?」

「俺はもう少し教えてほしい!」

「了解!じゃあホノール、レーヤそっちで教えてもらっても大丈夫か?」

 ルカンが手を止めてこちらに聞いてくる。

「うん。おいで、レーヤ。」

「はーい!」

 手招きをしたらそれに釣られるようにレーヤが駆けてきた。


「レーヤは何を知りたいの?」

「あのねあのね?文字も知りたいんだけどね...えっと...」

 レーヤはもじもじしている。...なんだろう?

「ん?どうしたの?なにか言いにくいこと?」

 声を潜めて聞いてみることにした。

「あの、さ、ホノールお姉ちゃん。恥ずかしいからルカンお兄ちゃんたちに言わないで欲しいんだけど...僕、夢があってね。将来、ね、頭を使う仕事に就きたいんだ!」

 きらきらした目をしてこちらを見て言ってきた。

「そっか。レーヤの得意なことも発揮できそうな、良い夢だね。それで、どうやって就けるか聞きたい、ってこと?」

 そっか、レーヤは将来就きたい職業があるんだ。

「ううん!どういう職業があるのか、教えてほしい!」

「職種、ってことか。うん、わかった。言葉だけでもいい?説明しながら下に書いていこうか?」

 書く場合は向こうに片付けた棒を持ってこないといけない。

「ううん、言葉だけで大丈夫。ところで、職種ってなに?」

 ああ、そっか。職種って言葉は教えていないんだ。

「あぁ、職種っていうのはね。簡単に言うとお仕事の種類のこと、かな。例えば、私たちが普段農村でやっていることは農作物の梱包や箱詰め。ルカンが売りに行っている貴族の方も貴族の仕事で、領地に関する政治とかほかの貴族と仲良くする社交とかの仕事があって、それを職業別に分けたものが職種、かな?うーん、わかりにくくてごめんね。」

 職種って言葉を教えたことはなかったから、教えるのに手間取ってしまった。

「ううん!なんとなくわかった!じゃあその、頭を使う仕事の職種教えて!」

「うん、もちろん!じゃあまずはね〜」

 頭から頭を使う職業を引っ張り出しながら、説明をしていった。

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