028 喧嘩勃発!?
「ホノール!ジア!ツィーゼ!レーヤ!無事か!?」
みんなで川で洗濯をしていると置き手紙を見たと思うルカンが慌てて来た。
「あ、ルカンお兄ちゃんだ。意外と早かったね。」
「「おはよう、ルカンお兄ちゃん!」」
「あ、あぁ、おはよう。ホノール、悪いが今後、洗濯とかどこかに行くときに俺が寝ていたら起こしてから行ってくれないか?」
息を切らしながら強い言葉でルカンがそう言った。
「あ!待って待って!ルカンお兄ちゃん!私が悪いの!私が言ったの!ルカンお兄ちゃんに内緒でやろうって!ごめんなさい!ホノールお姉ちゃんを責めないで!」
怒っているようなルカンから守るようにツィーゼが慌てて私を庇ってくれる。
「ツィーゼ、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。ルカン、私がその案に同意した。そのとき、その案の決定権を持ってたのは私だった。怒られるべきなのは私だから、ツィーゼは悪くない。」
昨日説教を回避したといえど、ツィーゼがルカンに説教されるのは駄目だ。私がいい案だ!って同意したんだもん。
「...はあ、とりあえずわかった。あと、誰も責めたり、怒ったりはしない。ただ、今度からは誰か一人でも家から出るようなら起こしてくれ。」
私たちの庇い合いの間に整ったのか、息を整えたルカンがそう言った。
「「わかった。」」
「そういえば、みんな朝食はまだか?だったら俺が調達してくるが。」
いつも朝ご飯を調達してから洗濯を洗っていて、その流れは少なくとも私が来てから変わっていない。
...ん?これはカマをかけられている?
「大丈夫だよ!ジアとツィーゼ、ホノールお姉ちゃんで行ってくれて、ルカンお兄ちゃんのご飯は家に取っておいてあるよ!」
あー...レーヤ...。レーヤが話してしまった。その言葉を聞いたルカンの周りの空気が少し冷えた気がする。
「そうか。ちなみに、それを言い出したのは?」
事実だからこそ、私は身を少し前に出して話した。
「私だよ。朝は人が少ないし、基本的にほかのスラムの人も起きてない。だから大丈夫だって思って三人で盗りに行った。」
事実をそのときの思考と一緒にルカンに伝えた。
「ホノール、昨日に続いてだが危険なことはきちんと考えて行動しろ。そのときの感情に流されて、結果的に怪我でもしたらどうするんだ。」
私なりにきちんと考えたうえで動いているのにまるで違うかのように言われてしまってカチンときた。
「じゃあ、いつも通りルカンに起きてもらうのを待ったほうがいいってこと?でもそれはさ、成長の機会がなくなるし、ルカン一人で全部を背負っているだけじゃん。状況が今までと何も変わってないよ。」
一息で私は言い切った。だって事実だもん。
「たしかに変えたほうがいいのも、成長の機会もわかるけど、いささか急ぎすぎじゃないか。」
「人の量が増える昼とほかのスラムの人が起きて活動を開始する夜よりは圧倒的に朝のほうが安全だと私なりに判断した結果なんだけど?」
「だとしても、危険なことは変わりないんだし、俺は見守るだけとかあるだろ!三人だけで行くなんて、急にステップアップしすぎだ!」
「それはそうだとは言われて思ったよ。今回のこと全て、決定権は私にあったんだから私に非がある。それはごめん。でも、」
「...ホノールお姉ちゃん...ルカンお兄ちゃん...喧嘩中?」
私たちの言い合いに袖を引っ張って小さな声でレーヤが口を挟んだ。
「あ、ごめんね。全然違うよ。ただの意見のぶつかりあいなだけ。大丈夫だよ。」
慌てて私はレーヤに目を合わせて言った。
「そっか...」
「にしてもホノールお姉ちゃん、言うようになってきたね。今までは基本的にルカンお兄ちゃんの言葉には従っていたのに。」
ツィーゼが驚きながらそう言ってきた。
たしかに、そうだ。昨日の出来事で無意識のうちにルカンに対する意識が変わったのかな?
「でも、いいことだよな。さっきの話聞いていた感じ、ホノールお姉ちゃんが俺等のことをたくさん見て、考えてくれている!って感じだったし。」
ジアはそう言ってくれても、怖かったよね。急に言い合いみたいなことをしだして。
「でもルカンと言い争いはじめて驚かしちゃったよね。ごめんね、レーヤ。」
「うっ、ホノールお姉ちゃーん。」
レーヤが涙声で私に抱きついてきた。
「ごめんね。でもありがとう。勇気出して声かけて止めてくれたんだもんね。そのおかげで取り返しのつかないことにならなくて済んだよ。」
あのままヒートアップし続けるといつの間にか流れに乗って思ってもいないことを言ってしまうかもしれないもんね。そのまま望まない分裂することだって有り得た。その前に止めてくれたレーヤには本当に感謝だ。
「俺も、悪かった。ごめんな、みんな。」
「あ、ルカンお兄ちゃん復活したぁ!自分に非があるってホノールお姉ちゃんが認めたあとは固まってたのに。」
ツィーゼがからかうように言った。
「あぁ、あそこでまさか自分の非を認めて謝罪してくれるとは思わなくて、そのまま反論に入る、臨戦態勢に入ってたからな。」
「ルカンごめん。レーヤ、喧嘩終わったってホッとしたら寝ちゃったみたいでさ、家まで抱っこしていてくれない?流石に私がレーヤを抱っこするのは身長的に無理だから。」
静かに寝息を立てているレーヤを見せて私はそう言った。
「ああ、わかった。じゃあレーヤを抱っこして俺は後ろで見ているな。」
「うん。ジア、ツィーゼ。洗濯もあと少しだし早く終わらせないとね。」
「「うん!」」
あ、そういえばレーヤを預けて大丈夫だったかな?急いできてくれたあとっぽかったけど...
あ、大丈夫そうかな。なにか考えてるみたい。
そう思いながら私は手を動かし続けた。




