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023 なんの音?

 無事、初仕事が終わったー!


 ルカンお兄ちゃんがみんなに身体を向けて、言った。

「みんな初仕事、お疲れ様。」

「うん!ルカンお兄ちゃんもお疲れ様!」

「ホノールもジアもツィーゼもレーヤもよくやったな。今後はあの感じの仕事を当分続ける予定だ。七日に四回ぐらいだな。さあ!そして今日は〜?」

 なんだろう?勿体ぶって言うこと...まさか?

「え!?なになに!?」

「なんとなんと!これだけもらえました!」

 そう言ってルカンお兄ちゃんは銅貨10枚を見せた。

「え!?あれしかやってないのに、こんなに!?」

 ジアたちの驚きは当然だ。ただルヴェーを袋に入れていただけなのに、こんなにお金をたくさんもらえるなんて私も思わなかった。

「ああ!このお金で少し贅沢して、明日の夜は露店でご飯を買おうか。」

 そう言ってルカンお兄ちゃんは私たちに優しい笑顔を見せた。

「「「やったー!」」」

 みんなが手を上げて喜んだ。


 一応、昔辺境伯家の令嬢をやっていた頃と比べると、すごく多い!なんて言えない量だけど、スラムやかまくらで暮らしていた時代からするとかなり大金だなあ...

 あ、でも...いや、あとで聞いてみよう。今、この幸せな空間を壊す必要はないもんね。



「今日はみんな寝るのが早かったな。いつも使わない力をたくさん使ったから、疲れたんだろうな。」

 今日を振り返って休んでいたら、ルカンお兄ちゃんが降りてきて話しかけてきた。三人を寝かしつけ終わったんだろう。

「そうだね。今日はいつもと違う力たくさん使ったもんね。」

「ホノールは眠くないのか?」

「うん、私は一年半ぐらい前はずっと洗濯とか食器洗いとか、手作業が多かったからね。久しぶりでもそこまで疲れなかったよ。」

「そうか、よくはないがよかったな。」

「あはは、こんなところで役に立つのは想定外だったね。」

 そうだ、今なら二人しか居ない。さっき思ったことを聞いてみよう。

「ねえルカンお兄ちゃん、一個聞いてもいい?」

「ん?別にいいぞ。なんかあったか?」

 すぐに頷いてくれた。よし、じゃあ聞いてみよう。

「いや、特別なことではないんだけど、一個気になってて。...ルカンお兄ちゃんが今回仕事をしたのは、将来必要になる食料のためだって言ってたから、少し貯まった程度で贅沢に回しちゃっていいのかなって...」

 私は昼間に浮かんだ疑問をルカンお兄ちゃんにぶつけた。

「...なんだ、急になにかと思ったらそんなことか。それはもちろんだ。別に毎回贅沢するわけでもなければ、全部のお金を贅沢に回すわけでもない。初めて自分たちが正しい手段で稼いだお金なんだ。その大切さと楽しさに気づいてくれればいいんだ。」

 そっか。自分たちの労働を対価に、正式な方法で稼いだお金を使う大切さを理解できるのか...その考えがなかったな。さすがルカンお兄ちゃんだ。

「そっか、そのため...」

「ああ。」

 そんな話をしていると、一階の方からガタガタと聞こえてきた。

「...なんか下で変な音がするな。俺が少し見てくる。ホノールはここにいろよ。」

 そう言ってルカンお兄ちゃんが席を立った。でも私は。

「やだ、ついてく。ルカンお兄ちゃんが弱いとは思ってないけど、心配。」

 風なら風でいい。でも、そうじゃないかもしれない...せっかくできた家族を失うのは怖い。

「...わかった。じゃあ影に隠れて、俺がいいって言うまで出てくるなよ?」

 私の断られてもついていこうとしていることを感じたのか、そう目を見て言われた。

「わかった。」

 いいって言うまで出ていかない。それぐらいなら、できる。

「じゃあ、音を立てないようにな。」

「うん。」

 そう言って静かに階段を降りていくルカンお兄ちゃんのあとをついていった。


 それにしてもこんな夜中になんの音なんだろう...

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