019 スラムで過ごす一日
何日かここで過ごして分かったことがある。
まず、ルカンお兄ちゃんはほかのスラムの人たちとの対応もしている。食料を分けろ!とか、(みんな寝ているのに)うるさいって言う人の対応をしている。夜中とか朝とか時間に関係なく。
次に、食料調達は基本皆当番制だけど、ルカンお兄ちゃんのときと、ジア、ツィーゼ、レーヤのときで二ペア。けど、朝、夜はルカンお兄ちゃんで、昼はルカンお兄ちゃんの見守りありでジア、ツィーゼ、レーヤのほぼ四人でだから、当番制とは言いつつもずっとルカンお兄ちゃんが出ている。
私が来てすぐのときは監視の意味も込めて、私はルカンお兄ちゃんと同じく朝昼夜の食料調達に同行していたけれど、最近はルカンお兄ちゃんが信用してくれて、残ってもいいって言ってくれるようになった。その言葉に甘えて、私はルカンお兄ちゃんのいない朝夜にみんなを見ている。たまに、ほかのスラムの人と口論になっていると、帰ってきたルカンお兄ちゃんが助けてくれるけど、あとですごく怒られる...ルカンお兄ちゃんの怒った姿は殴られも蹴られも打たれもしないのに、圧がすごい。
あと、ルカンお兄ちゃんの過去は誰も知らない。けど、ルカンお兄ちゃんは強くて、一般庶民の子供とは思えないぐらい頭が良い。正直、辺境伯家の書庫で読んだことには及ばないけど、そこらへんにいる一般的な子供よりは頭が良いと思う。
最後に一番大事なこと。ルカンお兄ちゃんの寝ている姿は誰も見たことがない。夜遅くまで起きていて、朝早くから動いている。
そろそろ、ルカンお兄ちゃんも信用してくれたし、私の過去をきちんと話そうかな...ルカンお兄ちゃんなら、話しても大丈夫な気がする。
何も根拠はないけれど。
「ルカンお兄ちゃん、突然ごめんね?」
ルカンお兄ちゃんは食料や拾ったお金を数えているところだった。
「どうした?ホノール。」
はじめの頃と比べるとみんなに向けるものと同じような優しい目を向けてくれるようになった。これも信用してくれて仲間だと思ってくれるようになったからなんだろう。
「あの、今夜少し時間が欲しくて。 ...話しておきたいことがあるの。」
「ん?わかった。じゃあ、ジアたちが寝たあとにな。」
「うん!」
話すのは怖いけれど...少し勇気を出して、私のことを信じてくれたように、私もルカンお兄ちゃんのことを信じて、家のことを話してみよう。




