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EP15 休日の平穏を破るモノ

お待たせして申し訳ないです。



休日二日目。


前日は変な事を考えてしまったので、レグニルスは最初からアニメ鑑賞を行う事にした。

動画配信サービスを利用しているが、東京23区と同じ内容のTVも見られるのでリアルタイムで新作もチェックしている。


地球のカレンダーで言えば2018年夏。

異世界転生している身なので、異世界転生の先輩であるアイ○ズ様とディア○ロさんの活躍は欠かさずにチェックしている。


さらに将来するかもしれない野営の勉強として、ヤマノ○スメやゆ○キャン△などもチェックした。

誰も反応しない事を承知でSNSで実況などもしている。

レグニルスは基本的に現代日本と同じ環境でオタクライフを満喫している。


ちなみに実況しても誰も反応しないのは、インターネットの接続方法に理由がある。

神様としても現代日本に異世界の情報を広めたく無いので、インターネット上に溢れる情報を全てコピー。コピー先のサーバー、言わばミラーサーバーにレグニルスはアクセスしてネットの情報を見ているのだ。


ミラーサーバーにアクセスしている為、当然だが利用者はレグニルス一人。

掲示板を荒らそうが、SNSに全裸画像をアップしようが利用者は一人なので炎上すらしない。


たった1人の利用者としてレグニルスはどうやって情報をコピーしているのか、ミラーサーバーのスペックは大丈夫なのかと心配になるが、そこは神様チートで納得している。


なんでも本当に全ての情報をそのままコピーしているので、IDとPassが分かれば他人がクラウド上にアップしている情報も覗けるらしい。


「・・・尊い」


尊いとレグニルスが呟くアニメ。

『ティーカップの森』というタイトルのアニメだ。

盆栽が趣味で引っ込み思案の女の子が女子高に進学した所からスタートする日常系アニメだ。


「・・・百合カップルの成立か」


BLは苦手だが、百合は好物なレグニルス。

殺伐とした日常を忘れる為にも、異世界生活にアニメはかかせない。


EDが流れる時間を使い、SNSに妄想を垂れ流す。

一方通行なので誰も読まないが、レグニルスの妄想は止まらない。


「異世界生活長いけど、俺のヒロインは何時現れるんだ」


アニメならヒロインが現れない展開がネットで叩かれているだろう。


しかし、現実は厳しい。

ダンジョン防衛の為に、人里離れた未開の地に居を構えるレグニルスに出会いは無い


「トロフィーヒロインと揶揄されるのを承知で、奴隷少女でも購入してみるか?」


この世界で奴隷制度が一般的かは知らないが、ヒロイン分が不足しているレグニルスは止まれない。

彼は自分を支えてくれる女の子が欲しいのだ。


「守ってあげたい系も良いし、セクトリアみたいな忠臣系も捨てがたい」


セクトリア、それはレグニルスが視聴している異世界転生系アニメのヒロインだ。

母と妹と共に奴隷となっていたが、お約束のように主人公が購入。

怪我により騎士の道を諦めていたセクトリアだが、主人公のチートにより完治。


以降、主人公の騎士としてメインヒロインのポジションにいる。

妹も主人公に懐いてロリ枠、母は異世界らしく早婚で30歳なので優しいお姉さん枠に収まっている。

補足として妹は発展途上だが、母の胸部装甲は重装甲である事も高ポイントだ。


「ホムンクルスで代用する方法もあるけど、めっちゃ高いんだよな」


マンション型ダンジョンには複数の女性型ホムンクルスがいる。

しかし、彼女達はレグニルスの配下ではない。


あくまでもお店の従業員という立場で、もしレグニルスが常識を超えた対応をすれば容赦なく反撃してくるだろう。


そして、レグニルスが配下のホムンクルスを求めなかったのは、勿論予算の壁があったからだ。

一から支配下に入るホムンクルスを作成するのと、既存のホムンクルスを派遣してもらうのはコストが違うのだ。


悲しいが、これが世界の現実である。

この世はナニか求めれば、それ相応の対価を求められる物なのだ。

そして、要求内容を下げれば、当然対価は下がる。

ギリギリの妥協点として、レグニルスは自身の配下では無い店の従業員としてホムンクルスと関係を持っていた。


それでも普通に恋愛をすれば良いのかもしれないが、彼女達は神製ホムンクルス。

レグニルスとは生物の格が違いすぎ、彼女達にとっては保護対象には見えても恋愛対象にはならない。

つまり、どう頑張ってもホムンクルスの女性はレグニルスのヒロインにはならないのだ。


「異世界ファンタジーだし、どこかの頭のおかしい爆裂娘タイプも良いな」


レグニルスは火力という欠点を持っている。


考えているキャリアプランでは硬くて回復支援が出来る前衛を目指しているが、職業上どうしても火力は貧弱だ。

一応は闇属性、特にアンデットが相手であれば火力は期待出来るが、先日戦った敵は闇属性でもアンデットでも無いコボルト(無属性)。


今のレグニルスの対抗手段は、剣による物理攻撃しか無い。レベルを上げて物理で殴れ状態である。

だからこそ、範囲攻撃できる高火力ヒロインの加入はありがたい。


爆裂娘とは言わなくても某ドラゴンもまたいで通る美少女天才魔導士でも良いのだが、レグニルスとしては人柄的にお断りしたい。


何を隠そうダンジョンマスターであるレグニルスは、下手をすると『悪人に人権はない』のモットーにより、逆に襲撃されて財産を奪われてしまう恐れもあるのだ。


「火力という点なら、スナイパーも良い。狙撃最強説」


無意味に狙撃というワードをカッコよく言い、まだ見ぬヒロイン達に思いをはせる。

人が来ないダンジョンに籠っている限り出会いは無いのだが、そこは置いておく。


妄想は現実を見たら出来ないのだ。


「歌で全体バフってのも良い」


味方は現状レグニルス一人なのだが、彼の頭の中には軍団の後で熱唱するヒロインの姿が見えている。

今は野生のモンスターしか襲ってこないが、何時かは国との戦争に巻き込まれ最終的には歌が戦争を止める可能性もある。

……かもしれない。


「引き籠り繋がりで、エリートニートの三十路さんも良い」


この異世界、正確にはマンション型ダンジョン内だけだが、MMORPGなどのオンラインゲームが出来る。

アクセス先がマンション型ダンジョンからしか接続出来ないミラーサーバーの為、他のプレイヤーがいない事が唯一の欠点だが。


「どのタイプでもJSは無いな、最低でもJK希望」


異世界なので法律的にOKでも、レグニルスはロリコンでは無い。

そういった行為をするのは18歳以上と心に決めていた。

YES!ロリータNO!タッチは大事なことなのだ。


JKを希望に入れているのは、単純に交流を深めて18歳以上になったらそういう行為をしたいというレグニルスの欲望である。


「本当に早く何とかしないと、最近はこのまま一人でも良いかと思い始めているし」


この世界に来て間もなく20日。

元の世界と同等の生活環境に慣れ、余裕も出来てきた。


自分1人の都合で生活する快適さが心地よく、レグニルスはこのまま一人で生きていくのも良いとも思い始めていた。


「ハーレム築く転生主人公ってコミュ力高いんだな」


レグニルスも健康な男なので性欲はある。


しかし、そんな物は金で解決できる。

どうしようも無くなったらダンジョン内に風俗店を作り、そこに通えば良い。

幸いな事に、月に1~2回程度なら風俗に通える金はある。金はあるのだ。


「休日は本当にくだらない事を考えるな。それに風俗通ったら一兆円貯まらないよな」


元の世界に戻るための費用。

一兆円という現実離れした額が、レグニルスを貯金ではなく浪費の道に誘い込む。

どうせ貯まらないだろう、という貯金をしない免罪符付きで。


こういう時、レグニルスは無性に仕事に逃げたくなる。

仕事にのめり込む事で、プライベートな悩みを一時的に忘れるのだ。


「って、何時までもアニメ見てる場合じゃない」


レグニルスが時計に目をやれば、既に時刻は15時。

休日二日目、現代日本で言えば日曜の15時である。


「宿題、やってない」


休日とは、ただ休む日ではない。

自己投資として勉強する時間でもあるのだ。


「スキルに対する理解を深めるって、面倒な」


コーチはレグニルスに世界のより深い知識を獲得させる為、とある書籍を休日前に渡していた。

曰く、休日中に目を通しておくように、と。


「真面目な本じゃなくて、ゲームの攻略本みたいな形式だから読みやすいけど」


コーチに渡された本は文章量も少なく、図解も多い書籍なので軽い気持ちで読める内容になっていた。

レグニルスは本を読むのは苦ではないが、コーチに強要された自己投資という状況で真面目な本を読むほど彼の学習意欲は高くなかった。


「世界の構成。なになに、世界は種子を芽吹かせる事で誕生する、と」


コーチに渡された本によれば、世界は創造神が【世界の種子】を芽吹かせる事で出来ると記述されていた。


「種子が共通してるから、芽吹いた世界は根幹部分が同じになる」


種子を創ったモノが誰なのか、それは神々にも分からない。

しかし、使用するのに何の問題も無かった。


神は世界を創り、世界は新たな神を育てる。

そして新たな神が世界を創る。

歩みは遅いが、確実に世界は広がっていった。


育った世界は育てる神によって特色が出たが、元の種子は同じなので基本は同じだった。


世界には宇宙があり、星があり、命があった。

そして魔力があり、レベルがあり、スキルがあった。


「同じOSをインストールしてるから、多少設定が違っていても根本は同じって事だよな」


しかし、レグニルスは現代日本でレベルもスキルとも無縁の生活をしていた。

寧ろ、そんなモノはゲームの中だけのモノで、無い方が普通だった。


「一体何時から自分達の世界が普通だと錯覚していた? って何処かのオサレな死神が言いそう」


魔力が極限まで存在しない世界。

それがレグニルスが生きていた現代日本の姿だった。


魔力が生じさせる法則、効果が現れない世界。

物理のテストでよくある、摩擦力は無視して計算する、などの条件と同じだ。

効果が観測出来ない程極小の為、誰にも分からない。


「ま、サーバーとかもCUIとGUIにわかれるけど、カーネルは一緒だからね」


ゲームの設定のように記載されている内容を、自身の知識に変換する事で理解していくレグニルス。

ちなみにCUIはCharacter User Interfaceの略で、GUIはGraphical User Interfaceの略だ。


ざっくり簡単に言えば、ユーザーが操作する画面に絵があるか、ないかの違いである。

チートアイテムで有名なスマホはGUIになり、CUIは文章(コマンド)で操作するので一部のマニアックな人やエンジニアが使うくらいだろう。


「んで、スキルとは何かと言えば、知ってる知識で言えばセキュリティグループとかロールが一番近いのか?」


セキュリティグループやロールとは、ITシステムの利用者権限を制御する仕組みだ。


簡単に説明すれば、利用出来る機能、アクセス出来る範囲を設定しておくのだ。

後は作成したセキュリティグループやロールに利用者のアカウントを紐付ければ、利用者はセキュリティグループやロールに設定されている機能を使えるようになる。


スキルも基本的な仕組みは同じだった。

スキルの種類とレベルに応じて、世界が持っている機能の利用、アカシックレコードにアクセスして知識を得る事が出来る。


「世界の持っている機能の利用が、アクティブスキル。って、常時起動型のパッシブスキルもこの方式だから現代日本人に優しくないな」


アクティブスキルは使用者の意思で発動し、効果時間に制限がある。

そしてパッシブスキルは使用者の意思を無視し、常に効果を発揮しているスキルだ。


「いや、常駐プロセスと非常駐プロセスで考えればいいのか」


現代日本の知識を元に、この世界の法則を理解していくレグニルス。

正直なんの役に立つのか不明だが、勉強とはそういうものだと無理矢理納得させて勉強していた。


「普通はスキルポイントを対価に、アクセス権の申請を出すのか」


この申請時に、申請者と申請先を繋ぐ通信は魔力を媒体とする。

この為、通信媒体となる魔力が極端に希薄な現代日本では、申請が通信エラーとなり誰もスキルを獲得出来ないのだ。


「・・・世界の仕組みが共通なら、現代日本でもスキルが使えるって事だよな?」


この世界ではスキルはありふれた力だが、現代日本ではそれこそチートスキルだ。

スキルが使えれば、現代日本で生き返った後も俺tueeeが約束されるだろう。


「最近は異世界から還って来た勇者が活躍する話も多いし、アリかもしれない」


金運スキルなんてものがあれば、一生働かなくても生きていけるかもしれない。


しかし、現実は甘くない。

妄想を膨らましながら、レグニルスは世界の仕組みを記した本のページをめくっていく。

本の最後のページに、ある一文が記載されていた。


「ん? 習得スキル持ったまま蘇生する場合、追加費用で1兆円? え、合計2兆円?」


2兆円。

元の世界のトップ50に入るお金持ちの資産と同じレベルの額だ。


ちなみに資産(不動産、株、債券など)なので貯金額では無い。

蘇生費用も追加費用もニコニコ現金なので、もしかすると歴史上個人としては誰も経験していない超高額の買い物になるかもしれない。


「俺tueeeが2兆円か、妄想が膨らむぜ」


蘇生費用の1兆円どころか、ローン返済の目途がたっていない現状。

そこからさらに俺tueeeの為に1兆円。

金策を考えるというより、それは既に妄想の領域だった。


何しろ、年100万円貯金したとしても、1兆円貯めるまでに100万年かかるのだ。


単純な資産なら株などで増やす事も出来るが、レグニルスの収入は魔力販売による収益のみ。

仮にこの世界で金融工学を駆使して稼いだとしても、それは直接レグニルスの蘇生費用にはならない。


「やるなら稼いだ金で魔核を買って、それで収入増やす方法あるけど」


しかし、この方法も辺境のダンジョンマスターであるレグニルスには使えない。

商売をしようにも、人がいないからだ。


「まあ、不老だからのんびりやっても良いけど、100万年は長いな。追加費用も考えたら200万年だし」


これだけの時間努力すれば、チート能力で現代日本を楽に生きても許される気がする。

そうレグニルスは妄想するのだった。


本も読み終わり、このままレグニルスの妄想は続くと思われた。

しかし、ソレは突然のアナウンスで終わりを告げるのだった。


「緊急、緊急、これは訓練では無い。ダンジョンに侵入者あり、繰り返すダンジョンに侵入者あり」

「なに、これ」


妄想にふけるレグニルスを現実に戻したのは、ダンジョンコアからの敵襲の知らせだった。

侵入者を知らせるアラートだが、このアラートをレグニルスが聞いたのは始めてだった。


「え、休日は?」


レグニルスは先程まで休日だからくだらない事を考えてしまうと嘆いたが、それはネタで働きたいと思った訳では無かった。


寧ろこのままアニメを見て、ちょっとだげ勉強して、一日中ゴロゴロしてご飯を食べて、大浴場でリラックスしてから寝る。

これがレグニルスの予定だった。


しかし、そんなレグニルスの都合など侵入者は考慮してくれない。


しかたなくレグニルスはダンジョンコアにアクセスし、侵入者の姿を確認する。

またコボルトか、ゴブリンなどのモンスターが侵入してきたと予測していたが、ダンジョンコアを通じて確認した侵入者はどちらでも無かった。


「侵入者って、人間なのか」


監視映像に移るのはモンスターでは無く、人間の集団だった。


総勢5人。

大剣を背負う者、軽装で弓を装備する者、杖とローブ姿の者、盾とメイスを持つ者、剣を腰に差し一頭の狼を従える者。


1人1人の服装も装備もバラバラだが、ひとつ共通しているのがダチョウのような鳥に跨っている事である。

人間の集団であったが、地球の住人とは全く異なる装いの人間で、まさにゲームの世界から抜け出して来たかのような者達であった。


そして、鳥たちの呼吸が荒い事から、随分長い距離を走って来たことが容易に想像出来た。


「ついに人間の侵入者が来たのか」


異世界のダンジョンマスターに転生して約一ヶ月。

それは初めての異世界人との接触だった。


ちょっとIT用語多かったですね。

どうしてもソッチ系の言葉を使って説明してしまう。


ちなみにプロットにヒロインは今のところ存在していない。

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