第51章「無知なまま死ぬことを、俺は拒む!」
アレスの顔に、悲しみと後悔の色が浮かぶ。
そして、心の中で呟いた。
「俺は……本当に、あいつをここまで追い詰めてしまったのか……?」
「まさか……ハイヴェンの死の原因が、俺になるのか……?」
いや!
今は、そんなことを考えている場合じゃない!
「俺たちには、もう一つ別の刺激が必要だ……内側からの刺激が……」
「考えろ! 考えるんだ!」
「ハイヴェンが心の底から強く望んでいるものは、一体何だ……?」
……
その頃――
ハイヴェンは、あの深い場所に漂っていた。
すでに身体の大部分が消失し、頭部さえ半分が消え去っていた。
残されているのは、もう片方の顔の一部だけ。
目は閉じられたまま。
そして、意識も完全に失われようとしていた……。
そんな中――
どういうわけか、かすかな声が聞こえ始めた。
「ハイヴェン……目を覚まして……」
「どうして返事をしないんだ……?」
「今、諦めるつもりなのか!」
「あの夢はどうした?!」
「この世界の頂点に到達するという、俺たちの約束はどうしたんだ?!」
「どうせ諦めるつもりなら……そもそも、なぜ戦士の道を選んだんだ?!」
「……あの夢」という言葉を耳にした瞬間――
ハイヴェンの目が突然、大きく見開かれた!
そして、彼の身体の消失が止まった……。
すると、先ほどと同じ記憶の帯が、再び彼の目の前に現れた。
だが、今度そこに映し出されていたのは――
あの夢の記憶だった……。
次第に、頭部の失われた部分が、ゆっくりと再び集まり始める。
やがてハイヴェンは、それまで横たわっていた姿勢から、ゆっくりと起き上がり始めた。
身体の各部が、凄まじい速度で再び集まっていく。
そして、わずか数瞬のうちに、その大部分が元の姿を取り戻していた!
ハイヴェンは心の中で叫んだ。
「なぜ……俺は戦士の道を選んだんだ?!」
そして――
ついに、完全に立ち上がった!
その身体は、すべて元通りになっていた。
ハイヴェンは声の限りに叫んだ!
「無知なまま死ぬことを……俺は拒む!!」
その瞬間――
彼の身体を取り巻く、凄まじいアルケトラのオーラが燃え上がった!!
……
その頃――
ハイヴェンの身体が突然、激しく震え始めた。
アレスと監督官は、慌てて数歩後ずさる。
そして、突然!
ハイヴェンの身体から、恐ろしいほど巨大なアルケトラのオーラが、凄まじい勢いで噴き出した!!
それは天へと昇り、さらに広がり続ける。
ついには、試験場全体を覆い尽くすほどにまで膨張した!!
頭上に渦巻く、あまりにも恐ろしいオーラ。
その光景を目の当たりにした試験場の者たちは、皆、驚愕と恐怖に包まれた!
アレスと監督官は、急いで数メートル後方へと退く。
そして――
ハイヴェンは、持てるアルケトラを一度にすべて使い果たすと、そのまま地面に倒れ込んだ。
意識を失っていた……。
アレスはすぐさま彼のもとへ駆け寄り、目を覚まさせようとする。
そして、心臓の鼓動を確かめた。
その鼓動を聞き、彼が生きていると確信した瞬間――
アレスの目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
彼は手でそれを拭いながら言った。
「この馬鹿野郎……心配させやがって……」
その間、監督官は二人を見つめていた。
その顔には、驚愕の色が満ちていた。
そして、心の中で呟く。
「最初は、二十七年前のあの出来事を信じていなかった……」
「だが、この少年は……」
「俺にユルヴァナを使わせ、岩の元素における最強クラスの技法まで使わせた。」
「それだけではない。あいつの常軌を逸した反応速度のせいで、剣技で上回るために、アリアン流まで使わざるを得なかった!!」
「そのすべてが……あいつの動きを、ほんの数秒間だけでも完全に止めようとした、失敗に終わった試みのためだったとは!!」
監督官は、ハイヴェンとアレスを鋭い眼差しで見つめ、考えた。
「一人目は、これまで聞いたこともない天才……」
「そして二人目は、天才たちをも凌駕する怪物を、その内に隠している!!」
「この世代は……もしかすると、この世界の秘密を解き明かす鍵を握っているのかもしれない。」
「支配する一族の背後に隠された真実……」
「そして、ティターという階級の秘密と、彼らが世界に対して絶対的な支配力を持つ理由……」
「それらすべてを明らかにする鍵を、この世代が握っているのかもしれない……。」
「だが、この世代には、まだまだ経験も機会も足りていない……」
監督官は、少し離れた地面に落ちているアレスの剣へと視線を向けた。
そして、さらに考える。
「だからこそ……あいつが世に出るために、俺はできる限りのことをしなければならない……」
監督官は二人のもとへ数歩近づき、口を開いた。
「さて……これからどうするつもりだ?」
「試験終了まで、残りわずか三分だ。それなのに、お前はまだ人形を一体も斬り倒していないぞ……」
その時――
突然、八大人形の一体が発する、あの特徴的な鈴の音が彼らの耳に届いた!
アレスはハイヴェンの身体を木にもたれかからせ、彼に告げる。
「ハイヴェン……もう少しだけ待っていてくれ」
そう言うと、彼は鈴の音が聞こえてきた方向へと歩き始めた。
それは、すぐ後ろにある人形とは正反対の方向だった!
監督官:
「おい、少年! そっちは逆方向だぞ……」
監督官は、すぐ近くにある人形を手で指し示し、続けた。
「お前は、あいつを止めるという偉業を成し遂げたんだ。多少の規則違反には目をつぶってやってもいい。」
「お前は、これ以上の報酬を受け取るに値するぞ。」
しかし、アレスは監督官の言葉を無視した。
そして、特徴的な鈴の音が聞こえてきた場所へと走り出す。
監督官は不機嫌そうな口調で呟いた。
「まったく……なんて面倒な世代なんだ……」
そう言うと、地面に落ちていたハイヴェンの剣を拾い上げ、それで人形の首を斬り落とした!
……
アレスは人形のある場所へ到着し、その正面に立った。
剣を抜き、頭上へと掲げる。
そして、目を閉じた。
意識のすべてを、剣へと集中させる。
次の瞬間――
首へ向けて、一撃を放った!
……
人形の首は、その大部分が斬り裂かれていた!
アレスは人形を見つめ、瞳孔を限界まで収縮させながら考えた。
「この斬撃……!」
「首の九割以上を斬り落としたかもしれない!!」
「だが……」
「意味がない!」
「どれほどの割合まで斬れていようと……首を完全に斬り落とせなければ、何の意味もない!!」
アレスの手から、剣が滑り落ちた……。
そして――
アレスは地面に膝をついて崩れ落ち、両手で地面を叩きながら、怒りに震える声で叫んだ。
「くそっ……!」
「くそっ……!」
「くそっ……!」
そして、声の限りに叫ぶ。
「お前の勝ちだ、シロ!!」
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