第49章「最後の賭け!!」
本物のジュータル頂点のオーラ!!
しかも……強化技法まで使えるだと!?
だが、どうしてだ!?
まだ十六歳にもなっていない、ただの生徒が……一体どうすれば、ここまでの領域に到達できるというのだ!?
私の記憶が正しければ、四つの道の試験で一位を獲得した生徒……名前はアレス。四級か五級の一族である、シュワン一族の者だったはずだ!
最初は、単なる偶然だと思っていた。
最短の道を選んだからこそ、一位になれたのだと。
だが……ジュータル頂点のオーラに加え、最も複雑な系統の一つである支援系統の技法まで使えるとなれば、話はまったく違ってくる!!
いったい、このシュワン一族とは何者なのだ!?
王族の子弟をも上回る、これほどの才能を生み出すとは!
そもそも、この十年間を振り返っても、王国がこれほどの大器を得られた例はほとんどない。
シリウス・ウラシ王子殿下のような存在くらいだ!!
本当の身分を隠しているに違いない。
それに……あの目。
こいつは、本気であの少年を守ろうとしている。
たとえ、それによって二人とも命を落とすことになろうとも!!
まずい……。
一方は監督官に匹敵する力を持ち、もう一方はすでに並の監督官を超える力を備えた化け物だ!
たとえ、しばらくの間なら二人を抑え込めたとしても、私一人であの少年を捕らえ、拘束するのは難しい。
かといって、ほかの監督官たちに助けを求めれば……彼らがあの少年を殺してしまう可能性さえある!
待て……。
私はいったい、何を考えているんだ!?
アレスは、ジュータル頂点のオーラを持っている。
ならば、ほかの監督官たちには、監督官二人が規則違反を犯した生徒を捕らえるために集まっているだけだと思われるはずだ!
今は時間が限られているうえ、生徒たちの戦闘も増え続けている。
こんな状況で、わざわざ介入しようとする者はいないだろう。
それに……何もかもを考慮したとしても、アレスの言葉には、まだいくらか筋が通っている。
あの狂気じみた計画にも……ひょっとしたら、望みがあるのかもしれない。
監督官はハイヴェンへと視線を向け、思考を続けた。
それに……何も知らない相手の運命を、私が決める権利などない。
監督官はアレスに声をかけた。
「一分だ……」
「君に与える時間は、たった一分だけだ。その間、私をどう使おうと構わない」
「だが、一分が過ぎても彼を目覚めさせられなかった場合、君はここから完全に退け。その後は、私とほかの監督官たちで彼に対処する」
「覚えておけ。私の最優先事項は、犠牲者を可能な限り減らすことだ。君も、彼も、その対象に含まれている」
「それから、肝に銘じておけ。あの常軌を逸した反応速度は、まったく予測がつかない。彼を包囲すること自体、ほぼ不可能だ!」
「私が彼の動きを完全に止められるのは、最大でも五秒間。それすら、確実に成功すると保証することはできない」
「さて……君の答えは?」
アレスは背を向け、木々が密集する場所へと歩き出す。
そして、毅然とした口調で答えた。
「俺の答えか?」
「そんなの……十分すぎる時間だ」
監督官は複数のヴィラを起動させ、技法を発動した。
そして、注意をそらすために複数の幻影を作り出し、ハイヴェンへと襲いかかる!
だが――
監督官は思いがけない光景に驚愕した。
ハイヴェンは幻影を完全に無視し、本体だけを狙って、全速力で突進してきたのだ!
監督官は心の中で叫んだ。
「幻影の技法まで、一瞬で見破れるというのか!?」
「くそっ……来るぞ!」
ハイヴェンは至近距離から剣で襲いかかった。
そして、すぐに明らかになった。
近距離戦では、ハイヴェンが圧倒的に優位なのだ!
常軌を逸した速度によって、監督官はますます追い詰められていく。
監督官は心の中でつぶやいた。
「駄目だ……!」
「速度も身体能力も、差が大きすぎる!」
「もはや、あれを使うしかない!」
監督官は二歩後退し、一瞬だけ動きを止めた。
剣を頭上へと掲げ、右脚を曲げる。
そして、剣を左方向へと振るう独特の構えを取りながら、叫んだ!
「アリアン流、第七の型!!」
その直後――
ほんの一瞬のうちに、驚異的な速度と精度で連続した剣撃を繰り出した!
その動きには、隙がまったく存在しない。
そこに現れたのは、それまでとはまるで異なる次元の剣技だった!!
瞬く間に、戦況は完全に監督官の優勢へと傾いた!
ハイヴェンはすべての攻撃を防ぎ切ることができず、後退を余儀なくされた!
監督官は心の中で驚嘆した。
「十の動きを完璧に防いだだと!?」
「しかも、十五番目の動きで倒される寸前……まさに最適な瞬間に後退した!」
「今なお、驚異的な戦闘知能を保っている!」
「いや、それどころか……戦闘勘そのものが、まったく別次元にある!」
……
戦闘は続いた。
数十回にわたって攻撃を応酬した後、監督官は考えた。
「こいつは……膨大なアルケトラを消費しながら、恐ろしいほどの効率でそれを身体の周囲に凝縮している!」
「その結果、生み出されたオーラは、ジュータル中期段階……いや、上位段階にさえ匹敵する!!」
「おかげで、今の戦闘はかろうじて互角に近い状態になっている。いや、立場の弱い私のほうが、時には押されるほどだ!」
「だが、これでは足りない……」
「彼の防御に隙を作り、拘束技法を使って数秒間動きを封じる機会を見つけなければならない。そうすれば、アレスが計画を実行できる……」
「問題は、私がアリアン流を使おうとするたび、彼が即座に後退して隙を塞いでしまうことだ」
「岩の元素を利用した拘束技法で動きを封じようとしても、素手で岩を粉々に砕いてしまう!」
「もはや……彼の経験不足と、この仕掛けを知らないことに賭けるしかない」
「これが最後の望みだ……。そのためなら、どれほど膨大なアルケトラを消費することになろうと構わない!」
「失敗したら、ただ後退して援軍を要請すればいい……」
監督官は、アリアン流、第十一の型を繰り出した!
先ほどまでをも上回る、さらに苛烈な剣技が襲いかかる!
凄まじい圧力に押され、ハイヴェンは大きく後方へと退かざるを得なくなった。
だが――
ハイヴェンの右足が地面に触れる、その直前。
突如として、地面そのものが傾いた!!
監督官は心の中で叫んだ。
「賭けが当たった!」
「はっきりと見えるぞ……!」
「今だ!!」
監督官は即座にハイヴェンの防御の隙を突き、全速力で突進した!
その瞬間、地面から岩の柱が次々とせり上がり、ハイヴェンを拘束しようと襲いかかった!
ハイヴェンは圧倒的な力で、それらを破壊しようとする!
だが、監督官は彼のもとへ到達すると、アリアン流の複数の型を繰り出し、さらに猛攻を仕掛けた!
「第四の型!!」
ハイヴェンは、その攻撃を完全に防ぎ切った!
「第五の型!!」
二度目も、ハイヴェンは見事に防いでみせた!
監督官は、眼球が飛び出しそうなほど目を見開き、心の中で叫んだ!
「二つだと!?」
「この年齢で……しかも、ユルガンの印すら持っていないというのに、二つの型を連続で防いだだと!!」
「そのうえ、私の切り札の一つである『柱の森』の技法によって動きを妨げられている最中だぞ!!」
「こんな衝撃的な奇跡は……今まで一度たりとも見たことがない!!」
監督官はすぐさま、第九の型へと移行した!
ハイヴェンにかかる圧力は、さらに増していく。
そして――
監督官は続けざまに、第十の型を繰り出した!!
ハイヴェンはさらに後退しようとする。
だが、岩の柱がそれを阻んでいた。
逃げ場を塞がれ、これほど恐ろしい剣技を浴びせられ続けたことで――
ついに、ハイヴェンの動きが崩れ始めた!
彼は複数の隙をさらす。
監督官はその隙を突き、ハイヴェンの肩、腕、そして足に、次々と攻撃を命中させた!
そして、ついに最適な機会を捉えた監督官は、拘束技法を発動した!!
地面と岩の柱から、岩の触手が伸びる!
それらはハイヴェンの全身を取り囲み――
彼の動きを完全に封じ込めた!!
監督官は即座に、声の限り叫んだ!
「今だ、アレス!!」
アレスは木々の間から飛び出し、最大速度で駆け出した。
そして剣を抜き放ちながら、心の中でつぶやく。
「まだ……たった二か月しか経っていない」
「本当に……これで十分なのか……」




