第40章「すべてが……くだらないとは限らない。」
そして翌日。
突破者たちは、第二試験の会場へと連れて行かれた。
そこで主任監督官が、第二試験のルールを説明し始める。
「さて――」
「第二試験は、八十体の人形が無作為に配置された森へ入ってもらう。」
「人形の大きさは、おおよそ一般的な人間と同じくらいだ。」
「そして、それぞれの人形は一回につき五秒間、鐘の音を発する。」
「鐘が鳴るのは、試験時間である一時間の間に五回。」
「そのタイミングは、ランダムに設定されている。」
「ただし――最初の一回は最初の十分以内に必ず鳴る。」
「そして、もう一回は五十分を過ぎた後に必ず鳴る。」
「だが、注意してほしい。」
「二十名の監督官も、君たちと共に試験へ入る。」
「監督官はそれぞれ、自分の担当区域にある人形を守る。」
「彼らの役目は、ただ一つ。」
「君たちが、その人形を破壊するのを阻止することだ。」
「もちろん――」
「両者とも、ユルヴァナとヴィラの使用は禁止されている。」
「そして、他にもいくつかルールがある。」
「第一。」
「監督官同士の協力は禁止。」
「また、いかなる状況であっても、自分の担当区域から出ることは許されない。」
「第二。」
「人形を破壊するには――その首を一撃で斬り落とさなければならない。」
「一撃で破壊できなかった場合、その人形は完全に硬化する。」
「以後、試験終了まで、いかなる攻撃でも斬れなくなる。」
「そして――」
「その色は黒へと変わる。」
「第三。」
「監督官は全員、ピーク・ジュターに到達している。」
「そのため、身体能力は君たちを大きく上回っている。」
「そこで、その差をある程度埋めると同時に――」
「一種の実力試験とするため、君たちにはアルケトラのみ、使用を許可する。」
「もし監督官が、ユルヴァナあるいはヴィラの使用を確認した場合――」
「即座に全力を用いて君を捕らえ、失格とする!」
「また――」
「人形を斬る際に、アルケトラを使用することも禁止だ。」
「使用した場合は、即座に失格となる。」
「では――」
「アルケトラを使って人形を斬ったかどうかを、どうやって判別するのかと疑問に思う者もいるだろう。」
「その答えは――」
「アスカ・テツヤ、マーシャル・ロード閣下にある。」
「この方こそ、そもそもこの人形を製作した人物だ。」
「そして――」
「会場にあるすべての人形を、正確に感知することができる!」
「第四。」
「人形の硬度は、その首の色によって異なる。」
「最も容易な淡い青から――」
「最も難しい濃い赤まで、段階的に変化する。」
「濃い赤の人形は、わずか八体しか存在しない。」
「そして、それを破壊できたのは――」
「各世代でも、ほんの一握りの天才だけだ。」
「さらに――」
「この八体の人形は、それ以外の下位の人形とは異なる、特殊な鐘の音を発する。」
「そして、監督官にも守られていない。」
「だが……」
「その人形を斬ろうとして――」
「一度目で失敗した者は……」
「その時点で、試験を即刻終了とする!」
「それまでに破壊した人形だけが、記録される。」
「第五――」
「そして、最も重要なルールだ。」
「この試験に合格するためには、最低でも一体の人形を斬らなければならない。」
「だが――」
「合計三体の人形を斬った者。」
「あるいは――」
「八体の最高位の人形のうち、一体を斬った者は――」
「明日の最終段階を受ける必要すらない。」
「その時点で、最終試験全体に合格したものとする!」
……
ハイヴェン。
「それで――これからどうする?」
アレス。
「まず、確認しておきたいことがいくつかある。」
「俺たちが破壊できる人形の強度を把握すること。」
「それから――可能なら、監督官たちの担当区域の境界も確認しておきたい。」
「だが、その前に――」
「一つ、確かめたいことがある……」
そう言いながら、アレスはユラシャンへ視線を向ける。
そして、考える。
「昨日――」
「主任監督官が話し終えた直後、あいつは完全に姿を消した。」
「どれだけ探しても、痕跡一つ見つからなかった……」
「ユラシャン・アキタロウ……」
……
主任監督官。
「準備……」
「開始!」
試験が始まった瞬間――
学生たちは、一斉に森の中へ散っていく。
アレスは走りながら、考える。
「全員、最初の鐘が鳴った瞬間に――」
「他の連中より先に、最も簡単な青い人形を破壊する機会を狙っている。」
「だが――」
「俺には、別の目的がある……」
アレスは、遠く前方を走る少年を見つめる。
その正体は――
ユラシャンだった。
二人は、試験開始からずっと彼の後を追っていた。
最初、ユラシャンは他の者たちと同じように、無作為に動いていた。
だが――
突然。
右方向から響いてきた鐘の音が、二人の耳を貫く!
その瞬間。
ユラシャンは鐘の音が聞こえた方向を判断すると――
そこから遠ざかるように、左へ向かって走り出した!
それを見たアレスは、目をわずかに細める。
「妙だ……」
……
ハイヴェン。
「十分以上経った。」
「それなのに、まだ無作為に動き続けている。」
「人形の音を聞くたびに、その場所から遠ざかっている。」
「いったい、何をしているんだ?!」
アレス。
「お前の言う通りだ。」
「俺にもまだ――このくだらない行動の目的が分からない……」
一瞬、沈黙する。
アレスは続ける。
「考えすぎなのかもしれない。」
「だが――いくつか妙なことに気づいた。」
ハイヴェン。
「例えば?」
アレス。
「最初は、無作為に動いているように見える。」
「だが、俺が気づいたのは――」
「あいつは、人形の鐘が鳴っても、すぐにはその場所へ向かわない。」
「わざと、その方向とは垂直に進む。」
「そして――」
「別の人形の鐘が聞こえた瞬間、突然進路を曲げる。」
「今度は、反対方向へ進む。」
「そしてまた別の鐘が鳴れば――」
「再び、突然進路を曲げる。」
「それを、繰り返している。」
「それだけじゃない。」
「あいつは、監督官と学生たちが戦っている区域を、いつも完全に避けている。」
「そして――」
「ずっと同じパターンを繰り返している。」
ハイヴェン。
「いつから、お前の話はここまで意味不明になったんだ?!」
「まあ……お前を責めるつもりはない。」
「あいつは実際、もう十五回以上もこのくだらない行動を繰り返している!」
「俺まで――」
「あいつが俺たちに尾行されていることに気づいて、わざと馬鹿なふりをしているんじゃないかと思い始めたくらいだ。」
「俺たちに自分を馬鹿だと思わせて、放っておかせようとしているんじゃないかってな。」
アレス。
「お前の言う通りだ。」
「俺にも、これはただの時間の無駄にしか見えない。」
「聞け。」
「あと十分だけ追う。」
「それでも何の結果も得られなければ、もう放っておこう。」
「俺たち二人なら――」
「残り四十分もあれば、少なくとも一体は斬れるはずだ。」
ハイヴェン。
「お前がそこまで言うなら、構わない。」
「それに――」
「俺も、あいつにはかなり疑問を感じている。」
……
それから、さらに数分が経った。
アレスとハイヴェンがユラシャンを追いながら観察している、その最中。
突然――
ユラシャンが進路を変えた。
そして――
監督官と、数人の学生が戦っている場所へと割って入った!
ハイヴェン。
「ようやく本気になったのか。」
「だが――」
「なんでよりによって、監督官が他の学生たちとの戦いに気を取られている今、人形を斬る絶好の機会があるのに――」
「わざわざ戦いに介入するんだ?!」
アレス。
「介入しただけじゃない。」
「あいつは、人形を斬る絶好の機会を――」
「自分から捨てた。」
「それどころか――」
「まるで、戦いそのものをこの区域から遠ざけようとしているように見える。」
そして――
二分後。
ハイヴェン。
「本当に……かなり遠くまで離れたな……」
「お前が言った通りだ。」
「あいつは、本当に戦いを人形のある場所から遠ざけようとしている。」
「だが――」
「それが、一体誰のためだ?」
「そもそも、あいつには助けてくれる仲間すらいない。」
「それを自分の行動の理由だと考えるとしても……」
「いったい、誰のためにやっている?」
アレス。
「見ろ!」
「監督官が、戦いから逃げている!」
「人形のある場所へ戻って走っている!」
ハイヴェンの目が大きく見開かれる。
「これは……」
「まさか、あいつ……」
アレスはそれを遮るように――
狂ったように頭を抱えながら叫ぶ!
「担当区域だ!」
「あいつ――」
「監督官たちの担当区域の広さを測っているんだ!!」
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