第37章「崩壊の代償……それは、あまりにも高くなければならない!」
リョウタが混乱し、必死に突破口を探している、その最中。
ミズシは、黙って立っていた。
重い沈黙……
その顔には、他の者たちと同じように衝撃の色が満ちていた。
それなのに――
何かが、違った……
疲れ切ったその瞳は――
まるで、底のない深淵のようだった……
彼の脳裏を、記憶が次々と閃いていく。
彼は、深い思考の中へと沈んでいた。
「何度も……」
リョウタが初めて彼らに石柱地帯のルールを説明した時の記憶が、脳裏に閃く。
「知っているふりをした……」
「何度も……」
二本目の巨大な柱へ到達し、リョウタが余計な亀裂について嘘をついた時の記憶が、脳裏に閃く。
「嘘をついた……」
「そして、その嘘を信じるように――誰よりも先に、自分自身を無理やり納得させた……」
「何度も……」
四本目の柱へ到達し、全員が躊躇していた時。
リョウタが突然手を上げ、群衆へ向かって叫んだ時の記憶が、脳裏に閃く。
「心配する必要はない……前の時と同じだ……」
「お前は、従う者たちの命を……」
「仲間たちの命を……」
「そして――自分自身の命さえも賭けた……」
「そして最後には……」
「お前は、その災厄から生き延びなかった……」
四本目の巨大な柱の横を通過していた時。
岩が崩れ始め、リョウタが全員へ叫んだ時の記憶が、脳裏に閃く。
「何が起きても、上を見るな!」
「何が起きても、周囲を見るな!」
「何が起きても、走るのを止めるな!」
「走れ!」
「全力で走れ!」
「これがお前たちの唯一の生き残る道だ!」
「いや……」
「お前はただ――」
「それを、可能な限り長く先延ばしにしようとしていただけだ……」
ヒトシとカシドの死の記憶が、脳裏に閃く。
「お前は、質問を拒んだ。」
「提案も拒んだ。」
「そして――議論そのものさえ拒んだ。」
「これが皆にとって最善だと、お前は言い張った。」
「……それについては、確かに正しかった。」
「あるいは――」
「それが、俺たちに信じ込ませたことだった……」
「そして最後に……」
「結果はどうだった?」
「何十人もの死を、ただ冷酷に見届けた。」
「お前の仮説は、一つ……また一つと崩れ落ちた。」
「そして最後に残った――」
「あの驚異的な理論さえも……」
「ただの、でたらめだった。」
「なら、なぜ英雄を気取った?」
「お前の最大の望みは――生き残ることだったくせに。」
「お前は……」
「俺たちを死へと導いた……」
その瞬間。
奇妙なことに。
死の重圧の下で――
彼の頭脳は、狂ったように叫んでいた!
たとえ思考に疲れ果てていても。
たとえ絶望の極みにあっても。
たとえ、その口から出るすべての言葉が、それとは正反対に聞こえたとしても……
彼の頭脳は――
どんな状況でも。
どんな可能性を前にしても。
死に屈することだけは、頑なに拒んでいた!
それは――
彼の能力が、まさに頂点に達していたからだ!
真実を知ったからではない。
何年もの間、自分が生きてきた幻想の正体に気づいたからでもない。
すべての信念が崩れ落ちたからでもない。
最後に残った一片の信念さえ失ったからでもない。
何もかもを、自分自身で経験したからでもない。
彼の人生のすべての記憶が、激しく脳裏を駆け巡る。
一瞬――
彼は、優越感に飲み込まれそうになった。
それどころか、リョウタの言葉のすべてを、侮蔑するように見つめていた。
その言葉の裏に隠された、すべての意図を理解した!
……そうして――
彼は、間違った答えへ辿り着いた……
そして――
狂気の境界に触れそうなほどの、圧倒的な恍惚の波の中で。
すべての思考を貫くように、一つの記憶が蘇る……
衝撃的な記憶。
その記憶は――
ほんの一瞬でいい。
それを考えるより先に、いっそ正気を失っていたかったと願わせるほどのものだった。
「一つの命を殺し、別の命を得る。」
……そして、残酷にも――
その記憶は続いた。
ミズシの全身が、数瞬の間、完全に凍りついた。
その瞳が、激しく震える。
無意識に、手が剣の柄へ伸びた。
だが――
その手は激しく震えていた。
剣を握ることすら、できない。
ハンマーの動きが、急速に迫ってくる……
リョウタは激しく汗を流しながら、それでもなお計算を続けていた。
ハンマーが――
さらに近づく。
あと数メートルしかない!
ミズシはリョウタを見る。
その瞳は、なおも激しく震えている。
そして――
心の中で叫ぶ。
「話せ……」
「話せ!」
「何でもいい!」
「何か言え!!」
次の瞬間――
悪寒が全身を駆け抜けた。
一瞬、身体が完全に凍りつく。
そして――
顔から、衝撃と恐怖が消えた。
代わりにそこに現れたのは――
青白く、冷たい顔。
死んだような眼差し。
そして次の瞬間。
ミズシは、剣の柄を強く握り締めていた。
自分自身でさえ、その力がどこから湧いたのか分からないほどに。
そして、心の中で叫ぶ。
「幻想なんかじゃない、リョウタ!!」
剣が――
エヴァンダーの心臓を貫いた。
胸を突き抜け……
背中から、刃が飛び出す。
エヴァンダーは、驚愕に満ちた目でミズシの顔を見る。
その目には、後悔の涙が満ちていた。
そして――
それが、彼の最後の言葉だった。
「ミズシ……どうして……」
エヴァンダーが地面へ倒れる。
その直後――
ミズシの身体を包む青瑪瑙のユルヴァナが、激しく輝く!
ジュター中期段階――
その全力が、ついに露わになった!
ミズシは即座に、驚異的な速度でハンマーへ向かって駆け出す。
一つ。
また一つ。
次々と、ハンマーを突破していく。
「一つ……」
「二つ……」
「四つ……」
そして――
五つ目。
加速しながら迫る三つのハンマーの間に、ミズシの身体が挟まれた。
失敗した。
その速度の計算を――
完全に。
最後の瞬間。
ミズシはユルヴァナを限界まで解放し、自身を包み込む巨大な盾を形成する!
そして、心の中で叫ぶ。
「お前の死は――俺が必ず仇を討つ、エヴァンダー!!」
……
次の瞬間。
盾が――
一瞬にも満たない時間で、崩壊した。
血が飛び散る。
肉片が舞う。
ミズシは――
完全に押し潰された……
……
その狂気を――
ただ見つめる。
言葉が、出てこない。
衝撃?
そんな言葉では、到底足りない。
これは――
衝撃などというものではない。
それそのものが、目の前に現れている。
ミズシはエヴァンダーの遺体へ目を向ける。
その顔には、なおも呆然とした表情が張り付いていた。
そして、困惑に震える声で呟く。
「エヴァンダー……」
「エヴァンダー……」
ハンマーが迫ってくる。
「時間がない……」
「急がなければ……」
「急が……なければ……」
その瞳に、涙がきらめく。
「もっと速く……」
彼は、ようやく理解し始める……
理解し始める……
……
「動け!」
内側から、声が囁く。
……
彼は、嗄れた声で呼びかける。
「エヴァンダー……」
「エヴァンダー……駄目だ……」
……
すぐ目の前にあるハンマー!
動き始めた!
……
「動け!!」
今度は――
心の中で、声が絶叫する!
……
そして――
衝撃的な光景が繰り広げられた。
意志とは無関係に。
一瞬の出来事だった。
リョウタの手が動く。
短剣の柄を掴む。
そして――
素早く引き抜く。
額の中央から。
右目の脇を通り。
そして――
左側の顎へ。
リョウタは――
自らの頭を、一直線に裂いた。
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