↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/53

第36章「最強の敵よ、いったいどんな大災厄がお前を殺した!」

三人は走り続ける。

そして、リョウタの命令が次々と飛ぶ。

「左!」

「右! 二メートル進んだら伏せろ!」

「右!」

「そのまま!」

そして――

以前との違いは、何よりもその効率だった。

リョウタが命令を言い終えるよりも早く、三人は即座にその指示を実行していた。

そんな動きをしばらく続け――

ついに、地平線の向こうに終着点がはっきりと見え始める!

近い……

もう、すぐそこまで来ている……

リョウタは命令を出しながら、考える。

「もう九十パーセント以上は越えた。」

「動きは、さらに速く……そして、さらに不規則になっている……」

「予測の的中率も、六十パーセント程度まで落ちた。」

「判断にも時間がかかるようになった……いや、正しい答えを導き出し、命令を出せるのは、実行されるほんの一瞬前がやっとだ!」

「それでも……こいつらはまだ持ちこたえている。」

「それどころか――俺が命令を口にした、その瞬間に実行している……!」

視界の端から、エヴァンダーとミズシを見る。

「やはり……最後にものを言うのは、個々の能力か。」

「俺たちはすでに四つの死体を通り過ぎた。」

「これほどの難易度なら、俺たちより先にここまで辿り着いた、あの四人の最上級の精鋭が死んだことにも、別に驚きはしない。」

「だが……」

「俺が本当に気になっているのは――」

「いったい、どんな大災厄が……あいつを倒したのかだ。」

リョウタは遠くにある、五人目の少年の死体へ目を向ける。

その少年は、終着点まであと少しというところまで近づいていた。

そして、地平線にはその終着点がはっきりと見えている。

リョウタは、考える。

「トシロウ・ヤマト……」

「ヤマト氏族の末裔。」

「二級貴族に数えられる名門氏族だ。」

「父親はカギ・ヤマト。ヘクター上位段階。」

「氏族内の支配派閥に属しているとはいえ、氏族長とは遠い親戚にすぎず、共通するのは四代前の祖先だけ。」

「おそらく、それが原因で彼は大きく疎外されていた。」

「だからこそ――息子を、アキタラオ氏族に属するラスト・トワイライト学院へ学ばせに送ったとしても、不思議ではない。」

「一年前……」

「合同訓練キャンプの一つで、俺は一度、あいつと公式の決闘をした。」

「それを表現するなら……」

「熾烈な……」

「死闘だった。」

「最後には……あいつの攻撃を一つ、かろうじて躱し、決定打を叩き込んだ……」

「直後、監督役が決闘を止め、俺の勝利を宣言した。」

「そのとき、あいつは怒りのあまり木剣の柄を強く握り締め――」

「粉々に握り潰した。」

「俺は、あいつを呆然と見つめていた。」

「木剣を怒りで壊したことに驚いたわけじゃない。」

「仲間たちの顔に浮かんでいた、あの衝撃の表情のせいでもない。」

「その瞬間、俺の頭を占めていたのは――ただ一つ。」

「気づいてしまったことだ……」

「俺は十六歳だった。」

「そして――」

「あいつは十五歳だった。」

「たった一年しか違わない。」

「なのに……」

「その一年の差が、もし何らかの形で消えたなら――」

「俺は、あいつに完膚なきまでに敗北する。」

「あの瞬間、そう感じた……」

「だから、あの日から――」

「俺は一時間たりとも、訓練をやめていない。」

「おそらく……あいつも同じだ。」

そして――

初めて。

リョウタの顔を、恐怖が覆った。

そのまま、思考を続ける。

「最強の敵よ……」

「いったい、どんな大災厄がお前を殺した!」

……

三人は走り続ける。

トシロウの死体まで、残り二十メートル。

リョウタは考える。

「来る……」

「いつでも……」

残り十五メートル。

心の中で叫ぶ。

「必ず来る……!」

……

そして――

一つのハンマーを通り過ぎた。

そのまま二メートルも進まないうちに――

突然!

巨大な鐘の音が、三人の耳を貫いた!

ゴォォォン――!!

ハンマーが、止まる!

そして、三人も即座に足を止めた。

リョウタは周囲を見回す。

その表情は強張っている。

音の発生源を探そうと、必死に周囲へ視線を走らせる。

エヴァンダーは素早く剣を抜き、戦闘態勢に入る。

一方、ミズシはその場に留まり、周囲を静かに――そして警戒しながら見渡していた。

巨大な鐘の音は、三秒間鳴り響いた。

そして――

三秒目。

遠くにあるハンマーが、ゆっくりと動き始める。

次第に。

次第にその動きは速くなり――

凄まじい速度で、三人へと迫ってくる!

その瞬間――

三人は理解した。

最大の災厄……

もし、数分どころか何日間もここに座り込み、必死になって予測しようとしたとしても――

決して予測できないであろう、最大の災厄。

彼らの頭脳が、それを導き出せなかったからではない。

あらゆる可能性をもってしても――

それを受け入れることそのものを、頭脳が拒絶していた。

だからこそ――

そもそも、彼らの頭に浮かびすらしなかったのだ。

なぜなら、これは――

分析し、突破を試みることのできる罠ではない。

ただ――

数分の延期すら議論する余地のない、死刑判決なのだから!

その瞬間。

三人は理解した。

パターンが――

変わった!!

思考が、一瞬にして彼らの頭の中を駆け巡る。

エヴァンダーが、リョウタへ叫ぶ!

「天にかけて! これは何だ!?」

リョウタは、いまだ遠くのハンマーを見つめている。

その顔には、明らかな驚愕。

そして、その声には困惑が滲んでいた。

「分からない……」

そして――

考える。

「天地にかけて……」

「天地にかけて……」

「俺が予測したのは、大災厄であって――」

「死刑判決じゃない!」

リョウタは、トシロウの死体へ視線を向ける。

そして、激しく見つめる。

「いったい……」

「どんな地獄を通り抜けて、ここまで来たんだ……」

「俺の計画のほうが正確だった。」

「俺たちは、お前より速かった。」

「この鐘が鳴るのは、たった四分半後だ。」

「どうやって――」

「どうやって、この地獄を三十メートル以上も越えた!?」

「どうやって、異なるパターンのハンマーを十二個以上も突破した!?」

「くそっ……」

「くそっ!!」

「俺たちがここへ来たのは――パターンが変わる、わずか十秒前だった!」

「それに、この忌々しい鐘は――」

「きっと、闘技場の最後にしか設置されていない!」

「なんて狡猾なんだ……」

「忌々しい奴らめ!!」

「本当に……」

「即時の反応だけに頼る以外、選択肢はないのか!?」

「いや……!」

「そんな賭けはできない!」

「エヴァンダーとミズシが一緒なんだぞ!」

「何か方法があるはずだ!」

「そうだ……」

「俺の計画のほうが、あいつより正確だった!」

「あいつは、何かを間違えたに違いない!」

「そうだ……!」

「あいつは、新しいパターンの分析を間違えたせいで死んだんだ!」

「おそらく……逆のパターンだ。」

「俺は、それをすでに何度も見ている……」

「まだ可能性はある!」

「完全に不可能というわけじゃない!」

……

リョウタが混乱し、必死に突破口を探しているその間。

ミズシは、ただ黙って立っていた。

重い沈黙……

その顔には、他の二人と同じように、衝撃の色が浮かんでいる。

それなのに――

何かが、違った。

その疲れ切った瞳は――

まるで、底のない深淵そのものだった。

....................................

.................................................................................



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。