第33章「もしかすると、俺は……その一人なのかもしれない……」
「妙だ……」
「どれだけ広場を観察しても……」
「どれだけパターンが変化しても……最初に導き出した結論と、ほとんど何も変わらない。」
「本当に……」
「俺たちを打ち倒したのは、極めて難しい罠だったというのか?」
「ただ観察するだけでは決して見抜けず……実際にその身で経験して、初めて理解できるような罠。」
「そして……そこに個人能力の試験が組み込まれているということなのか?!」
その思考を――
頭の奥から響く、恐ろしい声が遮る。
「あるいは……」
「もっと最悪なのは……」
「悪辣な罠……」
「変化するパターン!」
……
「それを否定することはできない。」
「石柱の区域を突破することを可能にした、あいつらの並外れた個人能力……」
「それほどの力を持った者たちが、全員こんなにも凄惨な形で死ぬなんて……到底ありえない!」
「きっと……」
「きっと……」
リョウタは、少しだけ自分を落ち着かせる。
そして再び静かに座り、広場の観察を続ける。
さらに時間が過ぎる。
……
何も分からない。
リョウタは、さらに長い時間をかけて広場を観察する。
……
やがて、突然立ち上がる。
拳を強く握り締め、その顔は険しく歪んでいた。
怒りを帯びた声が響く。
「何度も……何度も観察した。」
「それでも……何一つ見つけられない!」
「もう、かなりの時間が経った……」
「違うパターンもない。」
「新しい罠もない。」
「結果が変わることもない。」
「それどころか……」
「ハンマーの動く速度に、一秒にも満たないほどの僅かな違いすらない!」
数瞬、沈黙する……
そして、少しだけ怒りを鎮める。
「残念だが……これ以上、待つ理由はない。」
「今回、初めて気づいた。」
「慎重さと……恐怖。」
「その間にある境界線が……こんなにも脆いものだったなんて。」
声に、さらに強い決意が宿る。
「だが……俺は恐怖に支配されるつもりはない。」
「二人とも、準備しろ!」
「出発する!」
……
三人が看板から降りて、その場を離れようとした、その時――
ミズシが突然立ち止まり、リョウタを呼ぶ。
「リョウタ……」
リョウタが足を止め、振り返る。
ミズシは、どこか含みのある口調で尋ねる。
「……大事なことに、気づいていないか?」
リョウタはミズシを鋭く見つめる。
その言葉の裏にある意味を、すでに理解しているようだった。
「具体的に……何を言っている?」
ミズシが答える。
「つまり……」
「もう、かなりの時間が経っている。」
「これだけ時間が経っても……なぜ、お前は俺たちが成功すると確信できる?」
リョウタは数瞬、黙る。
そして、口を開く。
「この試験は……普通じゃない。」
ミズシは疑いと警戒を滲ませた目で彼を見る。
「説明しろ……」
リョウタは続ける。
「この難易度は……普通じゃない。」
「確かに、まだ『可能』の範囲には収まっている。」
「だが……それでも多すぎる。」
「多すぎるんだ……」
「これは、単なる戦士の能力評価じゃない。」
「あいつらは……もっと上の何かを求めている。」
「精鋭部隊のようなもの……」
「あるいは……」
「将来の指揮官になり得る者たちさえも!」
「だから、俺が思うに……」
「俺たちが選んだ、この第二の道は……特別なんだ。」
ミズシは拳を強く握り締める。
爪が皮膚へ食い込み、血の雫がそこから滴り落ちる。
そして、呟く。
「天地にかけて……」
「天地にかけて……」
「天地にかけて……」
次の瞬間――
ミズシが、リョウタへ向かって怒鳴り声を上げる!
「どうして……そこまで自分の考えを信じられるんだ!」
「自分で『不公平だ』と評した制度に……」
「そんな馬鹿げた考えを押しつけるほどに!!」
リョウタは数瞬の間、沈黙する。
そして……
恐ろしいほど静かな声で言う。
「もしかすると……」
「俺は……」
「その一人だから……」
ミズシとエヴァンダーの瞳孔が、限界まで縮まる。
リョウタは続ける。
「そうだ。」
「もし俺が、自分の原則を無視して……能力評価のための試験を作るのなら、必ず二種類にする。」
「一つは……有能な兵士を選び出すための、難しい試験。」
「そしてもう一つは……ほとんど不可能に近い難度で、精鋭部隊を浮き彫りにする試験だ。」
「ここで問題になるのは……」
「精鋭部隊を浮き彫りにするためだけに、これだけの命を犠牲にする価値があるのかということだ。」
「残念ながら……数字だけを見れば、王国は十分に大きい。」
「この程度の損失なら……補うことができる。」
「その一方で、精鋭部隊を手に入れて、それを正しく育成することができれば……」
「数人のティターを生み出せるかもしれない!」
「だから……」
「そうだ。」
「それだけの価値は……ある。」
ミズシの目が激しく揺れる。
彼はリョウタを指差し、途切れ途切れの声で言う。
「お前……」
「お前……どうして……」
「どうして、そんな矛盾を抱えたまま……生きていられるんだ!」
リョウタは、痛みを滲ませたかすかな笑みを浮かべる。
「そもそも……他に選択肢なんてないからだ。」
「俺がこの制度を不公平だと判断しているからといって……そこから簡単に離れられるわけじゃない。」
「適応すること。」
「生き残ること。」
「それでいて……制度そのものに同化しないこと。」
「さらに、その上へ進み……」
「いつか制度そのものを変えられるだけの力へ到達すること。」
「そのすべてを同時に成し遂げる……」
「それ自体が、不可能な方程式なんだ。」
沈黙……
ミズシは少しずつ落ち着きを取り戻していく。
握り締めていた手の震えも、やがて収まる。
そして、顔を上げる。
そこにあったのは――
恐ろしいほど青白い顔。
そして、死者の目に近い……虚ろな瞳。
極度の疲労が、その顔にはこれまで以上にはっきりと浮かんでいた。
まるで……何か月もの間、一度も眠ることなく、戦争の最前線に立ち続けてきた戦士のようだった!
リョウタは、その姿を見つめる。
そして、一瞬だけ目を見開いた。
やがて広場へ振り返る。
その声には、隠しきれない心配が滲んでいた。
「早く……終わらせよう。」
……
三人は看板から降りる。
リョウタが集団の前へ進み出る。
そして、全員を見渡す。
毅然とした口調で、語りかける。
「俺たちは……共に多くのことを乗り越えてきた。」
「俺がお前たちに厳しく接し……」
「何度も、理解できないような命令を出した。」
「それでも……」
「お前たちは最後まで、俺と共に踏みとどまってくれた。」
「俺の名は……リョウタ・ヒサシ。」
「この試験で……お前たちの指揮官を務められたことを、誇りに思う。」
「そして今……」
「俺たちは、最後の場所へ辿り着いた。」
「ならば……勇敢であろう。」
「俺たちの最後を……誇りあるものにしよう。」
「夢を追いながら死ぬことほど……尊いものはない。」
その言葉を境に――
徐々に、歓声が上がり始める。
そして、すぐに大きくなっていく。
「リョウタ卿、万歳!」
「リョウタ・ヒサシ、永遠に我らの指揮官!」
リョウタは、かすかに微笑む。
そして振り返り、手で広場を指し示す。
そのまま、広場へ向かって走り出す!
そして、彼らに向かって叫ぶ。
「進め、我が兵士たち!」
「勝利は、我らのものだ!」
全員が、すぐにその後を追う。
……
走りながら、リョウタは目の端でミズシを見る。
その顔には――
強い心配。
そして、恐怖。
それを隠すことができなかった。
そして、心の中で考える。
「よし……」
「まだ……俺についてきている。」
「あと数分だけ……耐えてくれ。」
「お前の中で、どれほど激しい戦いが繰り広げられているのか……俺には分かっている。」
「あと数分だけ、耐えてくれ。」
「そうすれば……俺が、すべてを直す。」
「そうだ。」
「必ず……すべてを直す……」
................................................................




