第十九章「人間性の代償」
最初の小さな石が地面に触れるよりも前に、リョウタは冷たさと……そして、残酷さを帯びた声で群衆に告げる。
「何が起きても、上を見るな……」
「何が起きても、周囲を見るな……」
「何が起きても、走るのを止めるな……」
「走れ!」
「持てる力のすべてで走れ!」
「これが……お前たちの唯一の生き残る道だ!……」
...
リョウタの命令が下された、その瞬間。
全員が、何かがおかしいと感じた。
いつもよりも、リョウタの命令は明らかに鋭かった。
その言葉の意味を少しだけ理解し始め、これから自分たちが途方もない危険に直面するのだと悟った者もいた。
だが……
その考えを数秒も巡らせ終える前に――
真上から。
二つ目の石が落ちてきた……
まだ小さい。
ほとんど誰も気づかないほどだった。
三つ目……
四つ目……
次第に、その石は大きくなり、はっきりと見えるようになっていく。
やがて、一人が何かに石がぶつかる音を聞き、反射的に上を見上げる。
そして、恐怖に叫ぶ。
「上だ!」
「上から石が落ちてくる!」
数瞬のうちに、空を何十個もの落石が埋め尽くした!
そして、その警告を言い終えるよりも早く……
その言葉を断ち切るように、一つの叫び声が全員の耳を切り裂いた!
恐ろしい叫び声……
それは、上を見た者のものではなかった。
その隣を走っていた者の叫びだった。
飛び散った血が、その顔を赤く染めていた……
上を見上げた者は、言葉を最後まで言うことも、何が起きたのか理解することもできなかった。
巨大な石が、頭上へ真っ直ぐ落下する。
そして、その頭を一瞬で押し潰した。
血が飛び散り、隣を走っていた仲間の顔を汚す。
その直後――
仲間が、あの恐ろしい叫び声を上げた。
巨大な石の下にある、潰れた頭と変わり果てた遺体を見つめながら、彼は荒く息をする。
まるで、呼吸するという行為そのものが、途方もなく苦しいものになったかのように。
無意識に数歩後ずさり、震える声で呟く。
「死んだ……?」
その瞬間……
その言葉を最後まで言い切るよりも前に――
別の石が、彼の背中へ真っ直ぐ落下した!
脊椎が砕ける……
彼は地面へ崩れ落ち、激痛に叫ぶ。
だが……
数瞬のうちに……
その一帯は、落下する石と砂塵、そして無数の叫び声が渦巻く地獄へと変わった。
リョウタが声の限り叫ぶ。
「止まるな!」
「後ろを見るな!」
「走れ!!」
...
だが、問題は……
誰に言っている、リョウタ?
たとえ、それを認めたくなくても――
人間は、機械ではない。
このような極限の重圧の中では……
衝突音を聞くたびに。
叫び声を聞くたびに。
地面の震動を感じるたびに。
彼らの本能は、自分たちを押し潰そうとしている石を確認するために、上を向かせる。
あるいは、隣で押し潰されている者を見るために、横を向かせる。
あるいは――
石の下敷きになり、助けを求めて叫んでいる仲間を見るために、後ろを振り返らせる。
彼らは、どうしても見てしまう……
ほんの一瞬でも。
そして……
その一瞬の代償は、あまりにも重かった。
...
だが、その中に――
リョウタの命令を一字一句違わず実行しようと、歯を食いしばりながら走る者が一人いた。
見ない。
考えない。
ただ、走る。
その時――
突然、何か温かいものが顔に飛び散るのを感じた……
一瞬、身体が凍りつく。
頬へ手を当てる。
血……
無意識に、隣を見る。
試験の始まりからずっと、自分と並んで走っていた友人。
その姿は、もう完全には残っていなかった……
身体の上半分が、巨大な石の下へ消えていた。
彼の目が、驚愕に見開かれる。
足が……遅くなる。
そして、心の中で呟く。
「ユイ……死んだ……」
「俺は……」
「そして……」
その思考を最後まで終えるよりも前に――
一つの石が、彼の肩と首へ落下した。
彼の身体が、地面を転がる。
ヒトシが、走りながら涙を流して叫ぶ。
「止まるな!」
「頼む! 止まらないでくれ!!」
だが……
すでに恐怖は、広がっていた。
そのうちの一人が、右へ、左へと狂ったように見回し始める。
石が落ちる。
血が飛び散る。
身体が押し潰される。
叫び声が、辺りを満たしていく。
彼の精神は、すでに崩壊していた。
そして、ヒステリックに叫ぶ。
「死ぬ!」
「俺たちはみんな死ぬ!!」
そのまま、進むべき道から外れ、無秩序に走り始める!
ミズシの目が、驚愕に見開かれる。
そして、彼に向かって叫ぶ。
「違う!」
「そっちは間違った方向だ!」
だが……
もう遅かった。
彼はそのまま、落石が最も激しい場所の真下へ入り込んでしまう。
三つの巨大な石が、次々と彼の上へ落下する。
一つ目が、脚を砕く。
二つ目が、胸を押し潰す。
三つ目……
すべてを終わらせる。
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